見出し画像

【創作】後悔のない自殺の仕方 #2

5年、もっと言うと保険金がおりるまでは
もう少し生きなきゃいけなくなった。

ある意味、余命が僕には5.6年くらい出来たわけだ。

どうせならこの作り出した余命のうちに
もっとやれることをやってやろうと思った。


最初にしてやったことは、女を抱いた。
23の男だ、そんな欲だってそれなりにある。

生きるための日銭を稼ぐだけのBARのバイト
大して偉くもない年下の先輩に文句を言われた。

そんな些細な日々の積もるストレスをsexで
解消してやった。雑に抱いてやった。

源氏名しか知らない女の喘ぎ声は
酔っ払って吐きそうな時にヘッドフォンから
流れるギターと、いい歌詞を歌う
あのミュージャンの声みたいだった。


そんな最低な僕にも彼女がいる。
大好きだった女の子に振られた時に
友達とお酒のノリで入れたマッチングアプリで
知り合った女の子だった。

告白をされ
どうせそんなに続かないだろう、
大好きだったあの子を忘れられるならと
何となくで付き合ってみた子だった。

でも幸か不幸か、2年も続いている。
2年も経てばさすがに
情が多少入ってしまうもので。
自意識過剰でも何でもなく、
彼女は僕のことを好きでいてくれてる。

そんなところに僕が自殺してしまえば
きっと彼女はとてつもなく傷ついてしまう。

それは彼女のこれからを濁してしまう。
彼女以外の女を抱いてる僕が言うのもあれだが
そんな可哀想なことは出来ない。

いつか別れを切り出して、
僕が自殺をしたってことが
知られないようにしないといけない。

でも、今すぐにでも別れを切り出す勇気が
僕にないのも事実なのでそれは余命が
あと2年くらいになった時にでも切り出そう。


自殺するまで後5年と11ヶ月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?