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Ukaのひとり旅紀行ー名古屋編①ー
今年のGWの一大イベントは名古屋へのひとり旅だった。
ひとり旅、といっても1泊2日の短い旅だけれど。
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漠然と「旅がしたい」とよく思う。
日常に疲れた時、誰も私のことを知らない場所に行きたくて「旅がしたい」と自室の天井に呟いている。
それでも結局「お金が・・・」とか「休みが・・・」とか理由をつけて、実行に移すことはほとんどないままここまで来た。
それにこれまでの人生、GWといえば何かしら家族で動くことも多く、うまく日程を確保できなかったのも理由のひとつ。
さらに言えば、私はとんでもない出不精だった。
そんな私のひとり旅紀行。
名古屋編です。
《1日目》12:27 新幹線に乗り込む
私の中で旅といえば新幹線だ。
他の交通手段よりも値段は張るけれど、新幹線に乗るのが旅の目的みたいなところもあるのでここは譲れない。
となると交通費を浮かせるのは難しいから他のところで、と思っていたところで、JR東海の“ぷらっとこだま”なる乗車券の存在を知った。
“ぷらっとこだま”とは。
新幹線“こだま”に乗車するチケットと1ドリンク引換券がセットになった乗車券である。
乗り遅れや便の変更が利かないなどの制約はあるが、普通に新幹線に乗るよりも断然お得。
大阪まで乗るのであればお尻が痛くなるのでのぞみにしたけれど、名古屋までならアリかも?と往復“ぷらっとこだま”での旅を決行することにした。
今回の旅の主目的は、現在名古屋で公演されている劇団四季のCATSを観ること。
逆にいえばそれ以外予定として決まったものはなく、完全に観劇に照準を合わせての旅程だ。
12:27東京発のこだま、名古屋行き。
ちょうどお昼時だったので、乗車前に売店で買ったたまごサンドと“ぷらっとこだま”のドリンク引換券で入手したお茶を旅のお供に新幹線に乗り込んだ。
発車早々同じ号車のお客さんの飲み物が豪快に溢れてしまうアクシデントはあったけれど、客室乗務員さんのスマートな対応でことなきを得る。
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各駅停車のゆったりとした旅は、車窓から見える景色とともに始まった。
《1日目》15:30 チェックイン
今回宿泊したのは『ランプライトブックスホテル名古屋』。
“本の世界を旅するホテル”をコンセプトにしたちょっと風変わりなホテルである。
1階にはフロントとカフェ。
・・・と、壁一面の本棚。
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さながらブックカフェのような様相だが、宿泊しなくてもブックカフェとして利用しているお客さんもいるそうだ。
“旅”と“ミステリー”をテーマにした本が取り揃えられたブックカフェは、ついつい長居してしまうほど居心地がいい。
宿泊であればカフェのワンドリンクチケットが付いているので、早速アイスティーをオーダーして本を選び、カウンター席に陣取る。
一冊目は益田ミリさんの『ちょっとそこまで旅してみよう』。
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はじめましての本はだいたいタイトルと装丁に惹かれることが多い。
『ちょっとそこまで旅してみよう』もそのタイトルがなんだかいまの自分と近しい気がして、数多ある本の中から吸い寄せられるように手を取った。
あと、以前益田ミリさんの『わたし恋をしている。』という本を読んで等身大の女の子感が気に入った、というのもあった。
『ちょっとそこまで旅してみよう』は、益田ミリさんの“ちょっとそこまで”な旅を記録したエッセイだ。
誰とどこに行ったとか、旅先で出会ったおいしいもの、その中でミリさんが感じたことがつらつらと綴られている。
国内でも海外でも、友だちとでも母親とでもひとりでも。
綴られた言葉からミリさんが純粋に旅を楽しんでいるのが伝わってくる。
冒頭にも書いたようにとんでもなく出不精な私には、旅は気軽に行けるものではない。
それでも「旅がしたい」という気持ちを一丁前に持ち合わせている私にとって、ミリさんの“ちょっとそこまで”マインドはとても羨ましく映った。
まさかフィンランド旅行まで"ちょっとそこまで"に含めてしまうのはなかなかツワモノだと思うが…。
各旅行記の最後におおまかな費用と内訳が書いてあるので、実際に行こうと思い立ったときの参考にもできるのが嬉しい。
ランプライトブックスホテルの本は、フロントで手続きをすれば2冊まで部屋に持って上がることができる。
私以外にも何人か宿泊客と思しき人がいて、みんなフロントで本を借りて部屋に上がっていった。
その光景だけでわくわくしてしまう。
とりあえずカフェを楽しみたかったので、部屋で本を読むのは夜のお楽しみにしようと決めた。
《1日目》18:30 CATS、開演
劇団四季の『CATS』は小学生の頃以来の観劇だった。
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大人気公演だが原作が詩集なのでストーリーを汲むのがかなり難しく…
小学生だった頃は、結局目の前で猫たちが何をしていたのかさっぱりわからなかったのを覚えている。
今回観劇に至った経緯としては、とにかく観劇がしたい!という純粋な欲。
そして大人になったいまならもう少ししっかりストーリーを楽しめるんじゃないかという期待だった。
最初は遠征費も嵩むしC席でいいか…とか思っていたのだが、バリュー料金(曜日などの影響で集客が少ないと見込まれる日はちょっと安くなる)ならいっか、と気づいたらS席を取っていた。
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観やすっ…。
着席してすぐに衝動的にS席を取った過去の自分を褒め称える。
最近は小劇場での観劇が多かったので、久々の壮大な舞台セットに圧倒された。
そしてCATSの地方公演といえば、ゴミ捨て場のセットに隠されたご当地要素を探すのも観劇の醍醐味!
目を凝らして探したところ、金のシャチホコは発見した。
(というかシャチホコ、捨てちゃダメでは・・・?)
さすが劇団四季、歌もダンスも圧巻。
小劇場のこぢんまりとした空気感や人情溢れる作品の色は大好きだけれど、劇団四季の観る者すべてを呑み込む世界観に触れないと得られない栄養があると思う。
観劇してみて、やはりCATSはストーリーが難解だと感じた。
難解というか、ストーリー自体はシンプルだけれど、観劇中にそれを読み取ることがとても難しい作品だと思う。
小学生の頃の私が「?」と思ったのも頷ける。
ただあの頃よりもよほどストーリーを追えた分、前回の数倍楽しかったのは事実だ。
そして観劇を重ねるうちに自分の中で知らず知らずのうちに劇中観たいポイントが定まっていたらしい。
猫たちを遠巻きに見るグリザベラのはっとした表情や、マジックを成功させたミストフェリーズが心底安堵した顔で布を握りしめていることに気づくことができた。
各場面での役者さんの細かいお芝居に意識を向けることが出来たのも、今回楽しめたと感じる要因の一つかもしれない。
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江畑晶慧さんのグリザベラ、素敵でした。
《1日目》21:50 再びホテルへ。深夜の読書タイム
観劇後の余韻冷めやらぬまま、再びホテルへ。
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時間も時間なので夕飯はコンビニ飯だ。
カップスープとパンを買い込み、部屋で済ませることにする。
部屋に上がる前に1冊借りていくことにした。
部屋でも読書を楽しんで欲しい。
そんな思いから、一番コンパクトなシングルルームにも肘掛けソファとリーディングライトが備え付けられている。
シャワーと夕飯をごく簡単に済ませ、さっそくソファに上がって深夜の読書タイムと洒落込んだ。
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夜のお供に選んだのは、小川糸さんの『私の夢は』。
こちらもタイトルに惹かれたのと、著者である小川糸さんの著作である『食堂かたつむり』が大好きな一冊なので手に取ってみた。
同時並行で『食堂かたつむり』が世界各国で出版されている時期の著作とあって、『食道かたつむり』の話がたくさん出てくる。
同作の出版イベントや講演会で日本各地、あるいは海外をめぐりながら、その土地の風景や食事に親しむ日々の記録。
仕事の側面も強い旅なので過密なスケジュールの合間を縫って旅を楽しみ、感覚をブラッシュアップしている姿に、外から刺激を受けるからこそいい著作が生まれるのか…などと一人納得する。
糸さんが"ペンギン"と呼ぶ旦那さんが帯同していることもあり、ご夫婦のほっこりとするエピソードもところどころに書かれていた。
こんなにゆったりとした時間(といっても仕事なので実際は大忙しだっただろうけど)を一緒に共有してくれるパートナーとの出会いって素敵だなぁ、と思う。
旅の記録というよりも日記に近かった。
『食堂かたつむり』だけでなく、当時ちょうど執筆中だった『つるかめ助産院』の話もところどころで出てきて興味深い。
助産院の話を書いているのにまだ子どもがいなかった糸さん、いいタイミングで周囲のご友人が次々とお子さんに恵まれるから取材対象に困らない、と赤裸々に書いているのが面白かった。
『つるかめ助産院』、実は読んだことないんだよなぁ。
これを機に読んでみよう、と思い立って心にメモしておく。
日付も超えて、0:24、読了。
2日目はチェックアウトぎりぎりまでゆっくりして名古屋港水族館に向かう予定。
モーニングの最終受付に間に合えばいいので早起きの予定はないけれど、自然に訪れた睡魔に身を任せることにする。
本と舞台、大好きな世界の余韻に浸りながら、1日目の夜は更けて行った。
名古屋編②につづく。
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