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イギリスで運転する 給油編

給油するにはガソリンスタンド(イギリスではPetrol stationと呼びます)に行けばいいのは当然分かっているのですが、当たり前すぎて給油についての説明はありません。慣れると簡単ですが、初めて車を受け取ったときはどうしたらいいものかと思いました。


原則

まずイギリスでは給油はセルフサービスで代金は後払いが原則です。当然ながら給油時は火気厳禁でエンジンも停止です。
イギリスの給油で特に気を付ける点として、同じポンプの場所にガソリンと軽油のホースがそれぞれ設置してあるため、うっかり間違えて入れてしまう人がいるということです。
万一間違えたら、絶対にエンジンをかけずにAAやRACといった故障救援サービスを呼んで燃料タンクの中身を交換してもらうことになります。Misfuelという動詞も辞書にあるくらいだから結構間違える人多いようです。

支払い

ほとんどの場合は店舗(コンビニみたいなもの)が併設されており給油後に併設の店舗に入りレジの人にポンプ番号を言って支払いします。ポンプ番号を言い間違えると他人の給油を支払うことになりますので確実にチェックしてからレジに向かってください。
新型の給油機(ポンプ)でPay at Pumpと言われる支払いに対応している場合は、クレジットカードを差して暗証番号を入れると給油後そこで清算を済ませレジに並ぶ必要がありません。(日本ではこれは当然ですが)。クレジットカードでは先に一定の金額を引き落として、給油後代金が確定したら差額を清算する仕組みのようで、一時的にオーバーチャージされているように見えます。
新型ポンプにはPay at Kioskというボタンもあり、それを押すと従来通りのやり方で併設の店舗に入りレジの人にポンプ番号を言って支払いします。(現金で支払いたいときなど)。なおこのPay at Kioskの場合はお店の人が承認ボタンを押さないと給油ポンプが起動できないのでレジの混雑時には少々待つことがあります。
コロナをきっかけに現金を使う人が減ってきましたが、現金でも支払えます。しかしPay at Kioskで店舗のレジで支払わないといけません。カードの種類(事業者用のFuel Cardなど)によってはPay at Pumpでは対応できないものがありますのでこの場合もPay at Kioskで店舗のレジで支払わないといけません。

ちなみにイギリスのガソリンスタンドは、燃料を売っても儲けが出ず、併設の店舗で買い物をしてくれることで成り立つビジネスだとか。BBCのラジオ番組でそいういう説明をしていました。たしかについでに買い物している人が多いですね。

ガソリン(Unleaded 無鉛)

まずイギリス英語ではガソリンはガス(Gas)ではなくペトロ(Petrol)です。ただ給油機の表示ではPetrolではなく、ガソリンはunleadedと記載されています。日本語で無鉛という意味だと思いますが。今日ではもはや有鉛のガソリンはないと思いますので無鉛と有鉛を区別する必要はないと思うのですが、なぜか今でもこのように呼ばれています。
ハイオクは、石油会社によりブランド名が違います。SuperとかSupremeとかPremiumとかいろんな形容詞で呼ばれています。リッター当たりの単価が違うですぐわかりますが。また数字で95(レギュラー)、97+(ハイオク)などのようなオクタン価の数字で表記されていることもあります。
もう一つ別の表記で給油ポンプ(ノズル付近のラベル)に丸でアルファベットE数字の組み合わせで表記されているのはエタノールが含まれている量で、最近はE10と呼ばれるガソリンに10%のエタノールを含むものが主流です。ただし古い車ではE10対応していない可能性もあるので、その場合はE5を給油する必要があります。ただ今となってはレギュラーはE10が主流でE5はハイオクでないと用意していないところが多いようです。

軽油(Diesel)

まずイギリスは軽油はディーゼル(Diesel)といいます。イギリスではドイツ車の影響か乗用車でもディーゼルのほうが主流です。こちらは四角にB7と書いてあり、これはバイオディーゼル7%含有という意味になります。(バイオディーゼルとは植物油や廃油から軽油に混ぜられるような特別な処理をした燃料のことです)ほとんどのディーゼル乗用車はB7対応のはずですが念のため事前に自動車のマニュアルで対応燃料の確認して置てください。
また給油とは関係ないのですが、ディーセル車で気を付ける点としてロンドンではultra-low emission zones(ULEZ)と呼ばれるディーゼル車の規制エリアがあり古いタイプのディーゼル車は入れないところがあります(もしくは満たせない場合の規定のチャージ料金を支払います)。TransportForLondonのWebには対象エリアと対応車種の確認方法があります。ロンドンのCongestion Chargeよりも対象範囲がかなり広く、ロンドン市は対象を広げていくようなので常に最新の情報でチェックしてください。

有名ブランドの石油会社によっては高級な軽油というライナップがさらにあるところもあるのですが、普通の軽油とどう違うのか分かりません。ディーゼルエンジンではガソリンと違いオクタン価は気にしないと思うのでハイオク軽油というわけではないのでしょうが。

12月には、軽油は冬仕様に切り替わります。南イングランドは冬でも普段はそんなに気温は下がらない(朝はマイナス1ー2度くらいでしょうか)のですが、寒波が来る時がまれにありそのときはマイナス5度以下まで下がります。夏軽油でもマイナス4度(CFPP)ということなので、よほどのことがないかぎり、大丈夫そうですが、季節の変わり目ではなるべくタンクを空に近くしてから入れるようにするといいかと思います。

ポンプの油種表記(Petrol pump labels)

ポンプには間違えにくいようにホースのノズル付近のラベルで色分けしてはあります、しかし色分けだけに頼らずに必ずホースのラベルの表記およびメーターの表示のリッター当たりの単価の2つを確認してください。ラベルが外れたりしているとホース自体はどちらも黒なので間違えやすいのです。(選んだもの以外は給油前にリッター当たりの単価の表示が消えるのでそこで違うものを選んだことに気が付くことができます。)
油種の表記方法ですがUnleadやDieselというのは今では古い規格で、EUに合わせたのか、現在の規格ではガソリンでは丸の中にE数字でエタノールの含有率(パーセント)、ディーゼルでは四角の中にB数字でバイオディーゼルの含有率(パーセント)と書くが正式な表記です。(こちらのほうが正式だとはイギリスの人も誰も知らないのでは)さらにハイオクでは95や97などのオクタン価も書かれています。正式にはこの95とかいう数字はRON (Research Octane Number)というようです。オクタン価はレギュラーなら95ですが、ハイオクは石油会社により数字は97だったり98だったりいろいろあります。政府の文書ではハイオクのことをsuper unleadedは97+とあるので97以上ならハイオクと認められるようです。
https://inews.co.uk/essentials/lifestyle/cars/car-news/petrol-pump-labels-changed-what-you-need-to-know-337806

当然なのですが、自分の車がガソリン車なのかディーゼル車なのかはどちらなのか念を入れて確認しましょう。またEやBの含有率も自分の車がどこまで対応しているのか知っておく必要があります。先に述べたようにレギュラーはE10が主流になっているので対応してなければE5のハイオクを入れる必要があります。自分の車に何を入れるべきかの認識が間違っているようではいくらホースを正しいものを選んでも間違えになります。特にレンタカーや代車の場合はつい、いつもの癖で選んでしまうことがありますで要注意です。

お得に給油するには

以前はスーパーマーケットに付属しているガソリンスタンドが比較的安かったのですが、仕入れが変わったのかそれほど価格差はないようです。また高速道路のサービスではかなり単価が高めなので、入る前に給油しておくことをお勧めします。(夏休みの混雑シーズンなどでは高速道路ではそもそも売り切れになるリスクもあります。)
ブランドの石油会社と比べるとスーパーマーケットの燃料は質が低いのではという都市伝説があるのですが、そんことはないと消費者団体のページでは説明しています。

コラム 2021 Fuel supply crisis

2021年の秋にガソリンスタンドから燃料がなくなってしまった珍事件。主な原因はパニック買い(Panic buying)で、燃料売り切れの表示を見て皆が焦って一斉に他の販売していることろで、かけこみ給油したら、本当に足りなくなってしまったという珍事でした。

きっかけは一部のBPのガソリンスタンドが一時的に閉鎖したことでした。その前にもコロナでトイレットペーパー売り切れとかあったので、一般大衆はまたかと不安に思ったのでしょう。売切れたら困るから早めに給油しておこうと備えたら、本当に売り切れになってしまったのです。
政府は在庫は十分にあるのだから心配しないで今必要な分だけ給油してくださいといってもかえって逆効果でした。その結果、NHSの看護婦さんとかも給油できなくて病院に行けませんとか連鎖反応的に各所に悪影響が出始める始末。
やっとタンクローリーがやってきても、長蛇の列で1時間以上待たされることもありました。いくら製油所に在庫があっても運転手不足でガソリンスタンドへの配送が間に合わないということで、ついに政府は陸軍に応援を頼み燃料輸送を手伝ってもらうことに。しかし、いくら大型免許を持っているとはいえ、都市部の狭いガソリンスタンドにタンクローリーを運転していくのは特別なスキルが必要で習熟練習までしてなんとか乗り切りました。

おまけ レトロな給油ポンプ

Redingの郊外にあるWargraveという小さな街を歩いていたら、偶然目にした給油ポンプ。今は実際には使われていないようですが。針によるアナログメーターなんてあったのですね。
イギリスをゆっくり歩くと、博物館にあるようなものが町中にひっそりあるのを見つけることがあります。

レトロな給油ポンプ