見出し画像

イギリスで列車に乗る 切符編 その1

イギリスの鉄道(National rail )について説明していきます。まず最初に切符について説明したいと思います。
書いているうちに長くなってしまったので、まずは典型的なケースをその1で説明して、その2に続きます。(隙間時間での読みやすさから3000字を超えないように心掛けます。)
なお、運賃も毎年上がっていますし、切符のルールは変更されたり、種類が変わることがありますので、購入時にどのような条件なのか再度確認することをお勧めします。


イギリスの鉄道について基礎知識

イギリスの鉄道は民営化されているものの、複雑な体制で、線路やインフラを所有する会社(Network rail)と切符等の発売をしている共通の旅客会社(National rail)そして、実際に各地域で車両を運行している各鉄道会社に分かれます。各運行会社は通常は自社のエリアを中心に走行しますが、一部列車は行先により他社エリアを走るものもあります。
なお、本記事では全国共通の内容を主に説明しますが、各鉄道会社やルートによりいろいろな切符のルールがあるので実際の利用時には鉄道会社のWebsiteで切符の条件を再度確認することをお勧めします。(期間限定で鉄道会社独自の割引切符があったりします。)
なおロンドンの地下鉄や各都市のトラムなどの市内交通はNational Railとは別の交通事業体が運行しています。それゆえこの記事のNational Railを対象とした切符とは体系が違いますのでご留意ください。

ライターのKanaさんがロンドンについてはNote記事を作成していますのでご紹介します。


片道(single)と往復(return)切符

まず切符ですが片道なのか往復切符なのかという選択があります。往復切符がいいのも、ある程度の距離となると、片道でも往復でもオフピーク(オフピークについては後で説明します)なら値段がほとんど変わらないからです。ざっくりいえば半額割引みたいなものです。
ただし近距離では割引はそれほどでもありません。またオフピークでないピーク時に乗車できるAnytime系の切符は往復でもほとんど割引になりません。なおReturn切符は普通は帰りの切符の有効期限は当日限りです。(そうでないタイプもあります)

オフピーク割引

割引制度には往復割引に加えてオフピークと呼ばれるタイプの割引があります。これは平日の朝の通勤ラッシュの時間帯には乗ることができない切符です。路線によってはスーパーオフピークなるものも発売されています。(スーパーは設定されてない路線も多いです。)これは夜のラッシュ時も乗れないものです。困ったことにどの列車がオフピークやスーパーオフピークの対象なのか、駅で乗るときには電光掲示板や列車にはどの切符で乗れるのかは何も表示されず、一般人には簡単には見分けがつきません。インターネットで鉄道会社のサイトからチケットを検索してチケットの検索条件をオフピークやスーパーオフピークにすると対象列車だけが表示されるようにフィルタされるので、どの列車に乗ることができるのか特定できます。

ピーク時でも利用できる切符(Anytime)

Anytimeと呼ばれるピーク時間帯でも乗れるタイプでも、往復切符で帰りも当日に限り有効のもの(主に近距離Anytime day return)と帰る日が当日でなくてもいいもの(遠距離向けAnytime return)があります。自動券売機の最初の画面には普通によく買われる切符だけが出ているので、最初の画面にない違うタイプを購入するには券売機でボタンを押してオプションをいろいろ選択するか、チケット窓口が駅にあればそこで買うといいでしょう。

チケットは細かい条件がいろいろあり、NationalRail以外に鉄道会社でもいろいろな独自の種類があります。以下のサイトでTicket nameにAnytime returnと入力すると各社のいろいろなな条件を知ることができます。

経路指定

多くの切符はAny permitted routeというタイプで一般的なルートであれば通れるものです。そのルートであれば他社の列車にも普通は乗れます。ただ割引切符によっては経由地指定されてその切符を扱う鉄道会社のみと限定したルートが示されることがあります。
このAny permitted routeがどこまで認められるのかはルールがとても複雑で専門家でないと理解は難しいのですが。必ずしも最短ルートでなくてもいいが、常識的に選ばれそうなリーズナブルなルートということです。

わざと遠回りするようなルートの場合はAny permitted routeにはならず、そのルート用に切符を用意する必要があるものもあります。結局のところ、行きたいルートが決まったら、以下のサイトでルート検索して対応している切符を調べるのが早いです。

指定席(Seat Reservations)

駅の窓口なら座席指定ができますが、長距離列車に乗る場合でも、短い区間だけ乗車するなら(例えばLondon-Readingでは)指定せずに空いている席に座ることが多いです。日本のJRのような指定料金という体系はありませんので指定をとっても取らなくても同じ値段です。
座席指定についてはすでに予約されている場合は、予約区間が座席に表示されるようになっています。予約が入っていない空いている区間なら指定がなくても座ってもかまいません。しかし、途中から指定席を取ったひとが乗ってきたら席を渡す必要があります。また1時間程度の近距離区間ではそもそも指定席がありません。
BankHolidayなどで3連休となっている場合は日本でいう全席指定扱いになっていることがあるのでその場合は指定していないと乗れません。

長くなるので、これ以外の切符については続編にしたいと思います。

コラム イギリスの鉄道の運賃は高い、安い? 

イギリスで論争になるのは、他のヨーロッパ諸国と比べてなんでイギリスの鉄道はこんなに運賃が高いのだという点です。特にAnytimeと呼ばれるラッシュ時でも乗れる切符は高価で、私も初めて買ったときは、値段を見て買う切符を間違えたのかと何度も確認しました。
イギリスの鉄道運賃は高いという意見には、反論もあって格安切符を狙えばとても安く旅行できるという説もあります。ただ、条件が限定されており実際にその値段で買えるのかというと疑問もあります。一般的に購入できそうなのはOff-peakチケットくらいです。
運賃が高い理由はいろいろあるのですが、民営化とともに税金による鉄道への補助を限定したという点でしょう。イギリスの鉄道の民営化は失敗だったのではという政治論争もあり、イギリスでの鉄道の民営化の是非については別の機会に深堀してみたいと思います。

その2に続きます。