見出し画像

初めて北海道に行った話。3日目

最北端を走る。


最北端へ至る道

 3日目は8時くらいに起床。身支度をしてとりあえず稚内駅に向かう。天気は快晴、今日も空はご機嫌なようだ。今日の最初の目的地は宗谷岬、正真正銘の最北端である。駅隣接のセイコーマートでヤマザキのサンスネークを買いつつガソリンスタンドからの送迎を待つ。今回初のレンタカーである。ちなみにサンスネークはコッペパンの上に羊羹がコーティングされているパンで、初めて見たから買ってみただけであったが、どうやら北海道の名物だったらしい。地元のペンギンベーカリーに北海道名物として羊羹パンが売ってて初めて知った。
 宗谷岬に行くにはいくつか手段がある。まず一つにレンタサイクルがあるが距離的、時間的、体力的にも厳しい。二つ目はバス。稚内駅から出発しているが往復2000円かかり、2人だと少し割高になる。それに、岬にしか行かないためそこからは徒歩移動となってしまう。そこで3つ目の手段、レンタカーを使うこととした。稚内駅周辺にレンタカー屋はニコニコレンタカーとトヨタレンタカー、ニッポンレンタカーがあるが7月時点でニコニコレンタカーは既に埋まっていた。ニッポンレンタカーとトヨタレンタカーは確か空いていたが、少しの時間しか借りないのに結構高額だったので避けた。そのかわりに南稚内のガソリンスタンドのレンタカーサービスを利用した。
 そのサービスで稚内市内の何箇所かに送迎がついていたので稚内駅までお願いしていた。予定の時刻の8時半になったが駅前ロータリーにそれらしき車は見当たらず、しばらく待っていると電話がかかった。どうやら駅併設の施設の駐車場にいたようだ。無事に合流しガソリンスタンドへ、貸出手続きをして少し古いアルトに乗り込む。久しぶりの車、特にサイドブレーキに手間取りつつ出発。まずは宗谷岬を目指す。

稚内は日本最北の市街であるが、そこから最北端の宗谷岬へは少し距離がある(約30キロ)。レンタサイクルで行くのはなかなか骨が折れるが車ならあっという間である。最初は市街地といった感じでいろいろな店が立ち並ぶ。おそらく「最北の」という修飾語をつけても9割合っているだろう。そのまま国道238号、オホーツクラインを宗谷湾沿いに走り、稚内空港の横を通る。このあたりから道は市街地から荒涼な大地の際を走る、といった印象となりそれに伴い上限速度も60キロとなる。まぁ守る人なんていないのだが。

快適な道路でとても走りやすい。

奥に見える丘陵には風車が目立っている。上限+20だったら捕まらない論者なので80を超えないように走っていたが、多くの車に抜かされた。見晴らしもよく、おまけに信号もないときたものだから気持ちはわかるが、旅先で捕まると厄介極まりないので捕まらないように走る。走るうちにだんだん右側から崖が迫ってきて、道は海と崖に挟まれた僅かな平地を縫うように走る。車線は一車線になりカーブも連続するため制限速度は50キロになる。合間合間に現れる集落の中では40キロにまで制限速度は落ちる。左手に海を臨みながら走るうちに急に視界がひらけた感覚がした。宗谷岬である。

日本最北端ドライブ

 駐車場に停めて、モニュメントへ向かう。写真で見た光景、わかっていてもやはり来ると感動するものだ。

最北端の地。ここまで来てしまった。

 日本政府の行政管轄内という但し書きがつくがここは日本最北端、まさに地の果てである。空気が澄んでいれば樺太も見えるそうだがあいにく見ることはできなかった。列に並んで記念撮影を行い、その後近くの土産物屋に入る。少し見て回り記念のキーホルダーを買ったあと、併設の流氷館へ入る。中にはアザラシやペンギンの剥製とともに、本物の流氷が展示、というか無造作に転がされている。当然外気の温度では溶けてしまうため中は低い温度に設定されているが、なんとその温度-15.9℃。寒いというか痛い。雪も滅多に降らない瀬戸内海式気候でぬくぬく育ってきた自分にはいささか厳しい世界だ。そそくさと退出した。 
 車に戻って岬の裏の急な坂道を登り、宗谷岬平和公園へ寄る。そこからしばらく周氷河地形の中の一本道をひた走り、宗谷岬牧場を通過。途中には放牧されている宗谷黒牛も見ることができた。周氷河地形は元も急峻な地形が土中の水分の凍結融解作用で岩石が破壊されて丸くなだらかになった地形のことらしい。また19世紀末に火事が相次いで森が全部燃えた結果、現在の草原になったらしいが、こっちの方が幾分も気持ち良い。WindowsXPが連想される。なだらかなカーブと傾斜、そして風車と波打つ緑の大地。そして青々とした海。こんな道のドライブが楽しくないわけがない。

道道889号、ルートではないがとても走りやすかった。
レンタカーと宗谷丘陵

道道889号に入りさらに走りやすくなり、気持ちよくなっていたところ、白い道に入るところに気づかず、10分ぐらいオーバーランしてしまった。引き返して正規ルートのオフロードに入っていき、しばらく走ると地面が白くなる。ホタテの貝殻を敷き詰めて白い道は作られているのだが、なんともフォトジェニックな場所である。青い空と一面の草原、そして真っ白な道。

白い道。めちゃめちゃ綺麗。

白い道はトラッキングルートということで自転車や徒歩の道であるが、車も通行できる。白い道のエリアの中にはところどころに車の待避所があり、車で来た場合そこに短時間車を停めて写真を撮っていく感じになる。白い道は観光案内では一方通行になっているのだが、公式に一方通行ではないため対向車が来たら嫌だなと思っていた。しかし白い道のエリアで対向車に出会うことはなかった。白い道を徐行しノロノロと進んでいく。そして最後のエリアである、海辺へ降りる一直線の坂道は海の中に道が続いているのかと錯覚するような光景だった。

白い道最後の坂道。運転席から窓を開けて撮った写真。

この坂道を下り切ると元のオホーツクルートに戻ることになる。下り切ったところで3ナンバーの車2台が登ってきたがなんとか躱すことができた。軽自動車を借りててよかった。
 ここからはさっき来た道を戻って、稚内市外の反対側、ノシャップ岬を目指す。語感は根室の納沙布岬(ノサップ)と似ていてややこしい。場所的には稚内駅からも程近く、バスや自転車でも気軽に向かえるところに位置している。初めての市街地だし、すぐ前にはパトカーがいて気を遣いながら運転して、無事に到着。走っていた車はみんなそのままノシャップ岬へ向かっていたようだった。ノシャップ岬は宗谷岬の劣化コピーみたいに思われがちだが、こちらにはノシャップ寒流水族館と稚内灯台がある。

ノシャップ岬のシンボルは時計をつっつくイルカ

今日の昼飯はノシャップ岬の近く、樺太食堂でいただく。朝から、いや昨夜から結局何も食べていないのでお腹がとても減っている。

人生初うに

 今までうにを回転寿司でも食べたことがなかったので、初うには本場でいただくことにした。注文したのは生ウニ丼(小)。大きいどんぶりと小さいどんぶりが選べるのだが、小さいどんぶりで十分な量がある。それとそちらの方がお手頃である。しばらく店内を眺めて待つ。店内は今まできた人たちのメッセージカードでいっぱいだった。(天井にまで貼ってある)しばらく待っているとやってくる。

とても美味しそう。ちなみに友人はお好み二色丼でいくら+ホタテにしていた。

 丼の6割ぐらい生うにが載っていて、肉厚の生ホタテと漬けホタテが2枚ずつ載ってある。初めてのうにはなんとも不思議な感じだった。クリーミーな食感というか舌触りで独特の風味。美味しいけどどっちかというとキツネに摘まれた感じというのが感想だ。ホタテは肉厚で美味しかった。漬けの方が好みかな。初めてのうにをノシャップで食べるといういい思い出ができた。
 満足して店を後にし、車に戻る。時間は11時50分、12時半にレンタカーの返却なのでほんとにいい感じの時間だ。そのまま運転してガソリンスタンドに戻る。その途中、1日3本しかない稚内行きの普通列車の踏切に引っかかる。特急含めても日に6本なので引っかかる方が逆に運がいい。

日に3本しかない稚内行きの普通列車(一両だから単車….?)

特に支障もなくガソリンスタンドに帰着。ガソリンを入れて稚内駅に送ってもらう。12時半に駅に戻り、辺りを散策する。北防波堤ドームへ歩いていくと、稚内市職員家族のレクリエーション会場になっていた。その中をフラフラ歩いてまた駅に戻る。隣接のお土産物屋で稚内駅名標キーホルダーをお揃いで買った。やっぱりこれは欲しい。見て回ると活ホタテのお土産用のクール便が売っていて物珍しさで財布の紐が緩むところだった。列車は外で散歩している時にもう入線していたので乗り込む前にスパークリングガラナとアイスをセイコーマートで買って改札内へ入る。もう一度ホームをじっくり見て周り列車を撮影、今度は自由席へ乗り込んで座席を転回してボックスシートにする。

反転、一路東へ

昨夜真っ暗だった宗谷本線を南下していく。南稚内を過ぎたあと、日本海が見られるビューポイントを通過する。五能線ほどではないが進行右手の下に緩やかな崖と青い日本海がみえる。その後列車は草原の中を抜け、牧場が数多く立地する豊富町を通過していき、車窓には牧草ロールが目に付く。アイスを食べて喉が渇いたので、スパークリングガラナを飲もうとキャップを開ける。するとキャップの口から勢いよく飛び出すガラナ。食後、穏やかな日差し、長閑な車窓につられて眠気が脳を支配しようとしていたところにこの仕打ちである。行ったことはないが某ネズミの国にあるという、スプラッシュマウンテン並にズボンがびしょ濡れに。語句通り冷や水をぶっかけられた自分はトイレにズボンを絞りに行く。自分がトイレに立っている間に、友人はシーツをシートを拭いていたらしく、それを車掌に見られたそう。吹きこぼれたのが臭いのほとんどない無糖のものだったため、問題ないということになったそう。本家ガラナじゃなくてよかった。
 その後ほんのり湿っているシートに腰掛けて景色を眺めていたが、いつの間にか鉄道林が車窓にへばりつくようになる。次に開けるのは宗谷本線の中盤の伴走者、天塩川である。天塩川と程々に戯れたあと、列車は更に内陸、旭川へと向かう。夕方に旭川に到着。

旭川で大雪に乗り換え

 そこから東、今日の宿泊地北見へと向かう。石北本線は宗谷本線よりも距離は短いものの山々に翻弄されるため線形が悪く、かなり時間がかかる。旭川を出てしばらくしたところでまた意識は遠のき、気づくと留辺蘂の手前だった。石北本線名物、遠軽駅でのスイッチバックは寝過ごしてしまったようだ。起きたときには周りの座席が反転していた。ちなみに留辺蘂駅は留萌と並んで「る」から始まる日本に2駅しか無い希少な駅だったが、留萌駅が廃駅となってしまったので現在はここのみである。留辺蘂の次は北見である。北見で降りてとりあえずホテルへ向かう。

夜の北見徘徊

 ホテルへチェックインしてそのまま外出する。大体ホテルから外出する際は鍵をフロントで預けることが多く、フロントに申し出たところそのまま持っていってくれ、とのことだった。意外に思いながら夜の北見市街に向かう。北見はどうやら焼肉が有名なようだが、昼に奮発しているので今回はスルー。というか他の焼肉と何が違うのかよくわからなかった。その代わりに北見塩焼きそばをオホーツクビアファクトリーでいただく。

 どうやらその日は貸切だったようだったが、少し待てば空くとのことだったので待つことにした。程なく中に通される。塩焼きそばとともに自分はピルスナーを注文。自分のビール遍歴は成人してからプレモルを一回飲んだだけだったが、北海道でビールを飲むというのはこの旅の目的の一つでもあったから注文した。先にビールが運ばれてくる。グラスに注がれた黄金色のピルスナー。鼻を近づけると芳醇な香りがしてくる。焼きそばが来るまで待つつもりだったが、我慢しきれず少し先にいただいた。うまい。酔ってはいないがシチュエーションに興奮したのか最高に気分がハイになった。そこに塩焼きそばが到着、目の前で帆立の出汁を焼きそばにかけてくれる。肉厚なホタテが乗っていてとても美味しい。個人的には入っていた玉ねぎが普段のものより甘く感じられ印象に残っている。友人に一口ビールをあげて、残りもゆっくり楽しむ。美味しいものを飲み食いし、とても満足して店を後にする。

ピルスナーと北見塩焼きそば。乗っているフライは玉ねぎ(だったと思う)

そのままホテルに戻ってもよかったが、若干物足りなさがあったためセイコーマートに買い出しに行った。ホテル近くのセイコーマートはホットシェフがなかったから住宅街の中を抜けて少し離れたセイコーマートに行く。途中で小雨に遭ったが大して濡れなかったのでセーフ。明日の飲み物や夜食を手に入れてホテルでセイコー祭を開催。明日はドライブが控えているため祭りもそこそこに寝ることとした。

セイコー祭り。ホットシェフの唐揚げももちろんある。
あと北海道メロンソフトも。

今日の出費

セイコーマート稚内駅前 サンスネーク 215円
チセキ石油 レンタカー 2700円
ガソリン 3.27L 615円 (ちなみに稚内では当時188円/Lだった)
最北観光 キーホルダー 550円
樺太食堂 生うに丼 2880円
ワッカナイセレクト 駅名標キーホルダー 616円
セイコーマート稚内駅前 北海道ソフト 120円
            スパークリングガラナ 88円
オホーツクビアファクトリー ピルスナー 550円
              北見塩焼きそば 1150円
セイコーマート北見幸町 HCうま塩チキン 298円
            好烏龍マンゴーマンダリン 150円
            チョコスナックパン 128円
            北のサングリアサワー白350 138円
            メロンソフト 198円
            バニラバー 78円

今日の移動記録

1301 稚内駅発
サロベツ4号(旭川行)
1649 旭川駅着
1707 旭川駅発
大雪3号(網走行)
1954 北見駅着

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?