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あんときのデジカメ 多度津港旧外港東防波堤(土木学会選奨土木遺産)への旅 with 富士フイルム FinePix F810 (2回目)

(はじめに)もう夏の終りです。その記録として、土木学会選奨土木遺産の「多度津港旧外港東防波堤」の勇姿を撮影しました。機材は富士フイルムFinePix F810でワイド撮影にしてみました。港への旅は「近代の光と影」を考えるものになりますね。

再びの挑戦

 先日、帰宅時の定番の寄り道コースをサイクリングした時、ちょっと足を伸ばして、「土木学会選奨土木遺産」を撮影しようと考えたのですが、あいにくメモリースティックがいっぱいになってしまい、「多度津港旧外港東防波堤」を撮影することができませんでした。1週間弱すぎてから、同じコースで寄り道できましたので、今回は、ちょっとその勇姿を撮影してみました。ショット多めに撮影して、いい作品を残そうと考えていたのですが、今度は、バッテリー低下でそうともいかず、このあたりの準備不足が僕の悪い癖かもしれません。カメラマンとして失格ですね(汗

 今回もコースはおなじみの三豊市三野町から津嶋神社(JR予讃線・津島ノ宮駅)へと下っていく県道221号宮尾高瀬線を降り、そのままさぬき浜街道(香川県道21号丸亀詫間豊浜線)を東へ進み、海岸寺へと至るコースですが、そのまま東進して、多度津港まで進みました。

 さて、「土木学会選奨土木遺産」とは一体何でしょうか?

土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、平成12年に認定制度を設立いたしました。
推薦および一般公募により、年間20件程度を選出しています。
(出典)社団法人土木学会

 社団法人土木学会が、日本国内の歴史的建造物のうち土木構造物について、これの保存に資することを目的として構造物群を「土木遺産」に認定したものです。具体的に言えば、近代日本の殖産興業を代表とする歴史的建築群とでも言えばいいでしょうか。香川県には2箇所あり、そのひとつが「多度津港旧外港東防波堤」です。

多度津港は明治時代まで県内最大の港であり、拡張のために 建設された旧外港東防波堤には花崗岩の構造物が現在もよく残っている
建設年:明治44年
平成18年度選奨土木遺産
(出典)社団法人土木学会

近代日本の光と影

 近代日本創業期の讃岐地方で、そのエンジンとなったのが、実は現在の仲多度郡多度津町です。金毘羅参りの港として栄え、そこを拠点に近代的港湾として整備され、四国の鉄道拠点としても繁栄しました。「四国旅客鉄道多度津工場」は往時の姿を伝えています。

 しかし、近代日本の展開とは裏腹に、讃岐の拠点港湾の変化や、戦中の産業統合の煽りを受けて、少々寂しくなってしまっているのが現在というところでしょうか。

 産業の中枢とも言える銀行に関しても、多度津町発祥の地方銀行もありましたが、こちらも戦中の銀行統合政策で合併され、今では残っておりません。

 統合によって力を結集するということは意味のあることかもしれませんが、力の分散、あるいは均衡がリスク回避になったり、国土の平準な発展を維持する要となることを勘案すれば、資本や産業の集中や統合は、人口減少社会においてはその負荷を加速させるトリガーとなり得てしまいます。

 経済成長を国家主導で加速させるためには、資本や産業の集中や統合は合理的な考え方かも知れません。しかし、高度経済成長時代のような経済成長の見込みがない現在、例えば、英国のようにゆるやかに下り坂を降りるのか、という創意工夫を考えさせられてしまいます

35mmなのにとてつもないワイド感

 今回の撮影で使用したのは、前回に引き続き、富士フイルムの2004年製のコンパクトデジタルカメラ FinePix F810です。当時のコンパクトデジタルカメラがだいたい300万画素程度の時代、本機は600万画素のハイエンドデジタルカメラとして登場しました。

 撮像素子に富士写真フイルムの「スーパーCCDハニカム」を用いることで実現した技術革新ですが、八角形のハニカム状の画素を斜めに並べることで、CCD状の1画素の面積を大きくし、同時に、斜めに並べた画素からマトリックス状の画像を生成することで倍の解像度がえられるという構造です。

 具体的にはCCD自体は300万画素にもかかわらず得られる画像サイズは600万画素相当というフレコミです。もちろん、解像度は600万画素というには、

 「う~ん」

 という程度ですが、それでも300万画素より断然精密という使用感です。ただし、2004年製造のハイエンドクラスでも500万画素クラスなので、肩を並べる技術革新といってよいでしょう。

 前回は標準フォーマット(アスペクト比4:3)で撮影しましたが、今回は、ワイド撮影(アスペクト比16:9)で挑戦してみました。標準の場合35mmフィルム換算で32.5mm−130mmの4倍光学ズームですが、ワイド撮影時は上下をトリミングしますので、35.5mm−142mm相当になります。しかし当時のコンパクトデジタルカメラのワイド端が38mmで標準という場合が多く、トリミングされた35mmでも、なかなかどうしてのワイド感がありますね。

 以下、作例です。拙い写真ですが、ご笑覧下さればと思います。


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↑ 35.5mmワイド撮影広角端で撮影(A)

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 ↑ (A)をワイド撮影光学望遠端142mmで撮影。

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↑ 津嶋神社の横にある田んぼは稲刈りを終えていました。中央の黒い影が堤防でその向こうはもう「瀬戸内海」です。

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↑ 海岸寺を望む光景。もう夏の終りという感です。

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↑ 明治時代に作られたこの防波堤が「平成18年度選奨土木遺産」になります。

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↑ ジャンクで購入したものなので、条件によっては、黒い影が写り込んでしまいます(涙

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↑ 明治時代の防波堤の向こうに見えるのが、現在の造船所。このスポットが僕の気分転換スポットになります。

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↑ JR多度津駅舎の北側には8620形蒸気機関車(ハチロク)が展示されています。

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ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、露出補正なし、ホワイトバランスオート。画像は4048×3040で保存。撮影は8月29日。撮影場所は香川県善通寺市。



氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。