名前

名前に奪われた名前がある
名前を奪った名前がある
愛という言葉を知らないが
使い使われ続け
いつのまにか
手を伸ばせばそこにある名前になった
手を伸ばせばそこにあった星たちは名前を奪われ
手を伸ばせばそこに名前を奪った愛が残った
その小さく明るい粒が浮かんでるところを
空だと知ってから
夜は少しずつ減り続けている
芝生にはたくさんの望遠鏡が並べられ
僕らのピクニックはその端っこ
シートが風でそよいでいかないように
名前のわからない重たいものをいろいろ置いた
望遠鏡を覗いてみたが
覗いたところで名前はわからなかった