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こんな図書館が、身近な場所にあったらなあ。@岐阜市立中央図書館

徳島から車で4時間ほど。岐阜県・岐阜市にある「みんなの森 ぎふメディアコスモス(メディコス)」に行ってきました。

この施設の2階にある「岐阜市立中央図書館」がほんとうに素敵で。一度訪れたら誰でもきっと「こんな図書館が、身近な場所にあったらなあ」と、思わずにはいられないんじゃないかと思う。

まず印象的だったのは、建物のつくりや内装。本棚も、机の並びも、カウンターの形も、ここではどれも丸い。

図書館って、ぎゅっと自分の背丈よりも高いところまで本が詰まった棚が、お行儀よく整列して並んでいるイメージが強い。その圧迫感や閉塞感が好きになれなくて、図書館という場所にあまりいい印象を持っていなかった。

でも、ここは違う。本棚はゆるやかに波打っていて、棚と棚のあいだにはゆったりとしたスペースがある。棚の背丈が低いおかげで遠くを見渡すことができ、開放感を感じられる。木材を用いた天井は、あたたかい空間づくりに一役かっている。

きっと他にも、人が心地よく過ごせる空間づくりの工夫が、随所に施されているんだろうなあ。

テラス席で日に照らされ、外の空気を吸って、ゆっくりとした時間を過ごすこともできる。向かいに金華山を望むゆたかなテラス。

空間で言うと、もう一つ。
わたしは図書館の緊張感が苦手だ。本を読む人、勉強や仕事をする人、みんなが集中して過ごす空間では、物音を立てることはマナー違反。とにかく気を張って、静かに、静かに過ごさないといけない。それが、とっても息苦しくて、苦手。

だけど、ここではシーンっと張り詰めた静けさはなかった。同じフロアに幼児や児童向けのコーナーもあるし、建物の1階ではイベントも開催されているから、遠くでかすかに人の声や音が聞こえてくる環境。そのくらいの方が、気を使わずにいられて、落ち着く。

わたしは知らなかったけれど、図書館によっては小声で会話をしているだけで注意されることがある、と友人が教えてくれた。なんと。そうなんだ。多少音がある方が、自然な気もするけれど。いろんな施設のあり方、ルールがあるものなんですね。

周囲が大人ばかりの「社会科学」コーナー周辺で見た、小さいこどもとお父さんの姿が、この空間の魅力を物語っている気がした。

あと、そうそう。
他にも印象的だったのが、お手製の掲示物の多さ。エントランスから入って少し歩いたところにある「展示グローブ」には、本とその紹介文がたくさん並んでいた。

図書館で掲示物って、一般的なのかな?訪れたことのある図書館の総数がそう多くないからわからないけど、、、なんだか珍しいような気がした。

ちょうどわたしが訪れた日に作家・エッセイストの岸田奈美さんによるトークイベントがメディコスで開催されていたので、それに合わせて岸田奈美さんの書籍がブースに並ぶ。

図書館というよりも、なんだか本屋さんにいるみたいだったなあ。こんな風に「この本、こんな人に読んでほしい」と取り上げられていると、ついつい見ちゃうし、手に取ってしまう。そうやって、意識の外にある本やジャンルと新しく出会えるのが実はおもしろかったりするから、移り変わっていく展示ブースがある図書館っていいなあ、と思った。

そして、掲示を見ていて驚いたのは、これ。益田ミリさんの「今日の人生」というコミックエッセイで、岐阜市立中央図書館が取り上げられた!という内容。なんと。

好きな作家は?と聞かれると真っ先に名前を思い浮かべるほどに、益田ミリさんのエッセイが好きなわたしは、もちろん「今日の人生」も持っているし、読んだことがある。掲示されたコミックの一部を眺めて、思い出す。「わあ、確かに読んだ記憶ある!」と。でも、今のいままですっかり読んだことを忘れていた。(ちゃんと作中で名称も記してあるのに)

思いがけず記憶が結びつく体験をして、近いうちに「今日の人生」をふたたび手に取ろう、と思った。掲示物がわたしを本に向かわせてくれた。

***

いやあ、たのしかったなあ。とっても居心地の良い空間だった。こんな図書館が身近な場所にあって、通えたら、きっと誰でも本を読むことが好きになるんじゃないかな。子どもの時に過ごせていたら、なおさら。

今回は、時間の制約があるなかで、できる限り施設を見て、過ごして、感じて、という時間だったけれど、次はここでゆっくり過ごすためだけに訪れたい。

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