今を乗り越えて広がる景色がある、と思いたい
8月のお盆休み明けから、”休職”という形で長期のお休みをいただいている。
期間は、一旦3ヶ月。
その休職期間の終わりが近づいていることを、先月あたりから意識せずにはいられなくなってきた。
これからどうしよう。
職場に戻る?
辞めて、違う環境に飛び込む?
飛び込むにしても、まず家を探す必要がある。会社借り上げの部屋に住んでいる私は、当然退去しなければならないから。
とはいえ、休職期間で貯金はずいぶん使ってしまった。
すぐに引っ越せるほどの資金がない。
地元に戻るにしても同様で、家探しは必須である。親とのほどよい距離を保つためにも実家に帰るという選択肢は無い。
仮に資金は十分にあって、引っ越しができたとして。
辞めて、次、何しよう。正直なところ、なんだか今は、なんにもピンとこないというか。
”やりたいかどうかなんて、やってみないとわからない”、そうゆうことって、実際のところ多いと思っている。
だから、「やりたいことがない」って言葉を、理由にするつもりは無い。
ただ、思いっきり飛び出したいほどの、衝動に駆られるものも無いし、今すぐ飛び出す必要もないんじゃないかと最近は思っている。
だから、と、ひとことで繋げてしまうのは、見えていない葛藤が蔑ろにされて伝わってしまうようですごく悔しいんだけど。
会社に戻る、という選択に自分の中では落ち着いて、復職に向けて動き始めているところです。
先日、帰省した際に宿泊した宿で、偶然ある作家さんが個展を開かれていた。
チェックイン時に、スタッフの方が「よかったら、覗いてみてください」と声をかけてくれた。
個展の会場が宿の入り口すぐ横の小さな空間だったこと、偶然にも作家のお二人が在廊している日だったこと。
宿に着いた時点でそのことに気付いてはいたが、会場に足を運ぶかは正直少し迷っていた。
必然的に、作家のお二人と会話をしなければならない状況になると思ったからだ。
その時の私は、とにかく疲れていた。
9日間の帰省の終盤。連日、昼も夜もそれぞれ違う人と約束をして、とにかく人と会って、話して、聞いて、ということばかりをしていた。
それ自体はすっごく楽しくて、元気も出るし、そもそも会ったくれたり、会いたいと言ってくれることが幸せに感じる。
けれど、私は自分一人の時間もしっかりとらないと、エネルギーを消耗してしまうところがある。
それを分かっていながら予定を詰め込み過ぎた結果、この宿へ着いたときには既に疲れ果て、「もう今は誰にも関わりたくない」モードになっていた。
それでも、館内で見かけた作品のいくつかが、地元・北九州を描いたものであることが、どこか嬉しくて「せっかくだから」と個展の会場に足を運んでみた。
個展は、北九州出身の双子の姉妹 ゆうさん・あいさんによるものだった。
あいさんが絵を描き、ゆうさんがそこに文字を綴る。
世界各国の美しい街並みや自然の風景を描いた絵もあるなか、私はやっぱり、北九州を描いたものに惹かれた。
「私も高校・大学時代を北九州で過ごしていた」と話したことをきっかけに、描かれている風景について、あれこれと会話が弾んだ。
ポストカードをいくつか購入したいと思い、他の作品も手に取る中で、なんとなく、本当に直感的に、惹かれたものがあった。
「この絵、素敵ですね、好きです。」
そう伝えると、あいさんが描かれている風景について聞かせてくれた。
「ここに描かれている花、レインリリーって言って、
雨が止んだ後に一斉に花開くそうなんです」
その言葉を聞いたとき、うまく言葉にできないけれど、胸がぎゅうっとなるような感じがした。鳥肌が立つような感覚でもあった。
なんだか涙が込み上げてきそうな、いや、もう、まぶたのギリギリのところまで上がってきて。
なんだろう。嬉しかった、なのか。
この絵に救われたとか、出会えてよかったとか、それに近いようで、でも、そういう言葉で言い表すのはなんか違って、もっと、こう・・・!
この感じを表現したいのに上手くできないことに、もどかしさを抱きつつ、興奮のあまり、
自分が休職をしていること、
その状態が苦しいと感じる時も多いこと、
そんな自分にとって、この絵の存在がすごくありがたく感じたこと、
そんなことを思わず あいさんとゆうさん に伝えていた。
・・・
先が見えないし、わからない。
今までも、これからも、それは変わらないことだと思うけど、最近は今まで以上にそれを痛感する。
クリスマスケーキとか、おせちの予約が始まったのを町で見かけて、「2ヶ月後、1ヶ月後どうなってるかなんてわかんないのに、よく予約なんかできるよなー」って、初めて、本気で、そんなことを思った。
続くと思っていた日常が続くのかなんて、わからない。
そもそも、今の自分にとって何が日常なのかもわからない。それは、ものすごく大きな不安でもある。
でも、この不安な期間、、いつ終わるかもわからない、長くて、薄暗い、雨が降り続くような期間。
いつかはきっと、止む日がくるだろうし、この期間があったからこそ、乗り越えた時に広がる景色がある、と思いたい。
そんな風に考えて、焦らず、今できることをやる、ただそれだけだなと。
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