21/22英プレミアリーグ第24節TOTSOU

試合前情報

試合内容

結果:2-3 敗北
xG :1.74 - 1.73

クリアミスとクロス対応失敗で3失点.まずお粗末な守備対応やパスミスが多かったSanchez・Emersonは残念だった.集中力に欠ける場面が多かったが,彼らのみ代表戦帰りで他の選手よりスケジュールが厳しかったことも考慮しておきたい.今回は39分Armstrongのシュートまでの一連の流れに着目し,Spurs守備対応の狙いと上手くいかなかった部分を考えてみた.

 流動的なSaintsの前線・2列目の4枚を捕まえきれず、Winksの脇でボールをフリーで受けられる場面が2度発生.2度ともSanchezが遅れて前に出て対応.2度目はパスを出されてすぐWinksがSanchezに向けて不満そうなジェスチャーをみせた.実は1度目と2度目の間に2回Sanchezは自分の前にいる選手へインターセプトを試みており彼が前進守備の意識に欠けているわけではない.インターセプトが遅れた2度ともSanchezは初め,より近くにいるAdamsのマークに向かっており,パスが出るまで自分が対応するところだと認識できていないようだった.RomeroはSanchezのカバーに入りDaviesは逆サイドBrojaに対応中.つまり後ろ3枚は完全に2トップへの対応に専念しており,前進守備ができない場面だったのである.

 こういう状況をSaintsは意図して作っていたと考えられる.2トップの後ろに2シャドー,その後ろに2ボランチが並び中央3レーンが非常にビジーになる彼らの配置は,相手に難しい対応を迫らせるパスワークとポジションチェンジを質的・量的に高く保ち続ける必要があり,それが見事にハマったのが上記の場面だったのだと思う.一方で外側のレーンがサイドバックのみになり,その裏のケアが難しくカウンターに弱いというリスクを抱える.カウンターに勝機を見出し得たSpursとしては相手の戦術の肝に当たる2ボランチに2トップをぶつけ,中盤を3枚にして厚みを持たせた方が無難だったのかもしれない.しかしConte体制のアグレッシブなチームは2ボランチに2ボランチをぶつけ,全体でラインを押し上げ強烈なハイプレスで奪いに行く.前がかりになったところをロングボールでひっくり返されるのが一番危険であり,だからこそ3バックは前進守備を意識する.ボールカット・奪取を常に狙うが,最も重要なのは外に出してでもボールを自陣から掻き出し,奪えなくても相手に前を向かせず後退を強いる圧力をかけることである.39分の場面はSanchezの対応遅れに目がいくが,Romeroは自分がAdamsのマークを引き取りSanchezをもっと早く前に出させる必要があったと考える(実際ボールがElyounoussiに出た後はそういった対応を迫られた).カバー&チャレンジはフットボールにおける守備の基本だが,ここはカバーという保険を捨ててでもフリーな選手を作らせない方が重要だったのではないか.相手のリスキーな攻撃布陣に受け身にならずアグレッシブに奪いに行くためにはそうすべきだったのではと考える.
 もちろんこういった判断を高速で迷いなく下すのはとても困難で,じっくり戦術として落とし込む必要がある.Conteがチーム作りに時間がかかると言う大きな理由の一つだと思う.

 ちなみに39分Winksの脇におりたElyounoussiにボールを出したのはWard-Prowse.後半のSaints2得点を両方アシストしたのもWard-Prowse.プレミアリーグ公式MOTMにもWard-Prowseが選出.本当に素晴らしい選手.

今後の展望

 Saintsは良いチームだが勝ち切るチャンスは十分あった.チームの目指すスタイルが明確になりつつある中で個人の思考と集中力がどれだけ適応できるか,それ次第で今シーズンの趨勢が決まりうる.

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