微笑ましいファミリーを見かけた。
実際は違う、見かけたというより、声を聞いた。
レジ待ちの行列で真後ろに並んでいる。
見てはいない、声を聞いた。

購入する品物を持って、ワクワクしてるのがわかる。大人の弾んだ声。
お父さんお母さん、ベビーカー。そして抱っこされた子(気配から想像)

パンダの話をしているので、パンダ柄のグッズを持って、レジの順番を待っているようだ。
かわいいな、と言っている。

それだけで幸せオーラに包まれる。
我が子はもう大きくなった。私の背をこえて、サイズもキッズ・ジュニアから大人のMやLサイズになった。
デザインが気に入った110サイズのTシャツとか、キラキラきらびやかな雑貨とか、手に持ってレジに並ぶ時、ワクワクしてたよね。

現世に戻る。
徐に、口を開いた後ろのお父さんの声。
「パンダって、しりとりで言われたらなんていう?」

ええと、だ…ダンス、ダンシャリ、ダンダダン、だ、だ、ダイキントリタテテガタ、だ、だ、だ。
私も無意識に「だ」のつく言葉を考えた。

「俺は、だいこん」

思わず振り返りそうになった。
赤の他人だけど、終わるやん!って言いたくなる。
しかし、奥方の返答は思ってたんと違った。

「だっこ、かなー」

間髪入れず答えていた。
大根だったらしりとり終わるやん!
というツッコミはなく、抱っこ。

パンダを愛しレジ待ちをする家族には終わりなどないのだ。
パンダグッズを持ってレジに並んでいるという行為がそもそもの幸せ。
そういうものかな。私にもそういう時代があったかな。

たかがしりとり、されどしりとり。
二人のお子さんであるまだ会話もままならぬ幼児は、だのつく言葉をなんというのだろう。
ンがついてもいい。たくましく育ってほしい。(ハムのCM)

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