<実証実験レポート>出会いの場を創出したい!~未来のライフデザインをサポート~
本記事は、掲題の実証実験に伴走者として参加したひょうごTECH事務局スタッフによるレポートです。
実証事業者:フタリノ株式会社
フィールド提供者:三田市
課題:出会いの場を創出したい!~未来のライフデザインをサポート~
プロジェクト概要
三田市における25歳〜39歳女性の未婚率は44.2%と、全国平均の39.5%よりも4.7ポイント高い状況にあります。この未婚率の高さは、「結婚したいと思える人に巡りあえていない」ことが原因だと考えていたため、出会いから結婚における様々な段階を支援するサービスを活用して、利用者の結婚観や結婚に向けた気運に前向きな変化・効果があるかを検証する実証実験を想定していました。
しかし、実証実験のパートナーとなる企業を選定する中で、自分たちの考えの中では出てきていなかった、「出会いの前の本人の準備段階への支援も必要である」ことを提案してくれたフタリノ社と一緒に実証実験に取り組むこととしました。
今回の実証実験では、マッチングやカップリングを目的とせず、出会いの前段階である「自分を理解する」段階にフォーカスし、自分のことや将来のこと、結婚をどのように考えているかなどについて様々な角度から考えてもらうイベントを開催することにしました。
実証実験の詳細
まず10月に、未婚の方が結婚に求めるものや、結婚に対する不安などを探るアンケートを行いました。アンケート結果から、出会いよりも前の段階である、「自分を知り、思考の軸を持つきっかけ」が必要ではないか、という仮説が生まれ、ワークや他者との対話により自分を捉え直し、将来を考えるイベントを開催することを決めました。
そこで、三田市の豊かな自然も楽しんでほしいという思いもあり、解放感のあるキャンプ場で開催することを決め、「自然の中で新たな自分を発見しよう」をテーマとしました。出会いやマッチングではなく、アウトドアが好きだったり、自分の価値観を知りたい人が集まって、自己発見や自己開示、参加者との対話を楽しむことを目的としました。
当日は、色を使って自分の傾向を診断するカラータイプ診断のグループワークや、自己発見のための個人ワークを行いました。また、屋外では、ランチのホットドックを一緒に作ったり、焚火を囲んで話したり、共同作業や自然を体験してもらいました。
また、最後に設けた自由時間も、時間ギリギリまで盛り上がり、参加者同士で交流する姿を見ることができました。
実証実験の結果
KPIとして設定したのは、まずは、三田市の方が結婚についてどう感じられているのか知るためのアンケート回答者数です。
目標としてアンケート回答者数200名(うち未婚者100名以上)を設定したところ、予想をはるかに上回る699名(未婚者286名)に協力いただきました。
その他にもイベント参加者数やイベントの満足度など合計4つの指標を設定しましたが、4つのうち3つの指標を達成するプロジェクトとなりました。
イベント参加者のアンケートには、「自分を顧みることは大事だとわかっているが、忙しい毎日の中でそのような時間が取れない」という声もあり、85%の方にイベントに満足してもらえたことは、今回設定した「自分を見つめる」というテーマが求められていることが伺えました。
さらには、イベント後のヒアリングでも、出会いを目的にしたイベントでは、自分を取り繕ったり、相手を評価したり、服装や化粧などのプレッシャーを感じる一方で、出会いを目的としなかった今回のイベントは自然体で参加してもらえたこともわかりました。
三田市の鈴木さんは、「これまで出会いの場の創出に対する支援を行っていましたが、結婚について市民の意見を聞くような場を設けることができていませんでした。出会いの前段階の支援が必要という仮説は、本プロジェクトで市民にアンケートを取ったことで裏付けができ、庁内でも自信をもって説明できました。他にも婚活中の方の貴重な意見を得ることができたので、市民が本当に求めていることを提供できる体制を整えていきたいです」と話しておられました。
今後の展開
イベントを通して、出会う前の本人の準備のためのアクティビティが求められていることがわかりました。当初は「出会いから結婚まで」と考えていた支援範囲を、「出会う前の準備段階から交際後の関係構築フェーズまで」と解像度を上げ、それぞれのステップごとにイベントなどを行い、結婚したい人に寄り添う支援体制を整える予定です。