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重くない女です

彼とは合コンで知り合った。
好きな系統の顔だった。お互いお酒を飲むのが好きだからとその場で飲みに行く約束をした。気が合いそうだと思った。

彼は小型犬みたいな可愛さがある。
そのわりに身長が高い。体を鍛えていて腹筋がほどよく締まっていた。
某有名コスメブランドで美容部員をしている。
男性には珍しい職業だが、店舗での成績がいいらしい。
嫌味のない育ちの良さがあり年齢問わず女性に気に入られそうだ。

数回飲みにいくうちに気になる人から好きな人に昇格していた。
酔っぱらって終電を逃した日、彼女がいることを打ち明けられた。

それでも会うことを辞めなかった。
…辞めれなかった。

わりと連絡もくる。次に会う約束もしている。
飲みに行ってお互いのことを話す。朝まで語りあうこともあった。
彼女が私ではないだけで、傍から見たら恋人と同じだ。

「向こうには彼女がいるし、私もそこまで本気じゃない」

強がっていた。
LINEが彼の既読スルーで止まっていることが気になる。
基本的に連絡は自分からはしない、会いたいなんて言わない、別れてなんて口が裂けても言わない。向こうから誘いがあれば会いに行く。

余裕がありますよ、重くないですよというスタンスで虎視眈々と彼女のポジションを狙っているのだ。私なら彼のことを理解できる、束縛もしないし、彼のしたいことを応援できる。

彼女と別れてほしかった。
私の存在がバレればいいと思った。
好きと言われたかった。

彼のどこが魅力かと言われてもよく分からない。
一緒にいると楽なのだ。体の相性も悪くはない。
私にとって彼はちょうどいい。
彼氏がいないと友達とも遊べるし、今の生活が心地いい。
私はこの恋愛を楽しんでる。
彼には要求しない、重い女じゃないから。

彼女と別れてほしかった。
私の存在がバレればいいと思った。
好きと言われたかった。


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