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【映画感想文】ウォン・カーウァイ「若き仕立屋の恋」

ウォン・カーウァイ監督作
短編映画「若き仕立屋の恋」の感想。


ラジオで「恋する惑星」の話を聴いてから、どうしても観たくなった、ウォン・カーウァイ監督作品「若き仕立屋の恋」。

昨年、ロングヴァージョンが劇場公開されたときは、スケジュールや心身の状態との折り合いがつかず、観ることができませんでした。

けれど、もともとのヴァージョンは2004年にDVDで観ていて、そのときの感動は今でも忘れていないし、なんだったらカーウァイ最高傑作はこれなのではないか、と思えるほど気に入っている作品です。
あの頃20代だったわたしが、今どんな気持ちでこの映画を観るのだろう、そんな興味もありました。

そして今日、ゆるやかな休日の夜、ひとり部屋で観ました。

ああ、変わりなく、すばらしかった。
美しくて、切なくて、苦しかった。

最後はコン・リー演じるホアに共感しているじぶんに気付いて、驚きました。
初めて観たあの頃も、わたしは彼女に共感したのかな。もう覚えていない。
性別や年齢などが彼女と近くなった今、いつのまにか彼女に思い入れていたのかもしれません。
チャンのことが愛おしくてたまらなかった。
ほんとうにやるせない最後だけれど、彼の存在があったから、ホアは美しいままのホアとしていられて、きっと幸せだったのではないかと思います。

愛って、なんなのでしょうね。

互いに思い合う、そのエネルギーの交換。触れられない関係でも、わたしたちはこんなに深く、愛し合えるのだと。

とても官能的で艶めかしくて、けれど触れられないからこそ際立つ純愛に、胸が張りさける思いでした。

あと、確かこの映画はSARSに着想を得てつくったのだったと記憶しています。時を経てコロナを知った今、より強く迫るものがありました。

ウォン・カーウァイ監督、その審美眼もさることながら、生きることの本質を問う映画を、いつもありがとうございます。

↑「若き仕立屋の恋(The Hand)」予告

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