Mリーグ! ポーカーフェイス王・決定戦!!
一番顔面がクールな選手は誰だ!?
誰かがそんな疑問を投げかけた。
その声は、我こそはと手を上げかけた、たかはるの顔面をすり抜けていった。
対戦相手に自分が何を考えているのか、悟られないよう無表情に顔面を凍らせるポーカーフェイス。それを求められる職業は、麻雀プロか、マドンナのバックダンサーくらいしかいない。
ならば決めようではないか。
Mリーガーの中で、最高にクールな顔面と、それをキープする精神力を持った、真のポーカーフェイス王を。
ルールは簡単だ。
選手はそれぞれ口いっぱいに牛乳を、ほほ袋にためこむ。
そして、その先どんなことがあっても吹き出してはいけない。
笑ってもダメ、驚いてもダメ、キー牌を鳴こうと発声してもダメである。
まず選手29人で、予選が行われた。
ここを突破できた9名のみが、グランプリ決定戦に進む。
予選が始まる前に、牛乳を満々と口に含んだ藤崎プロの顔を見て、10人が消えた。そして予選では残った19人で、Mリーグ感動の名場面集を鑑賞。村上プロが肉離れしたシーンで牛乳を吹き出し、また10人が消えた。
そしてこの9名の豪傑が決勝に残った。
初めから、この9人で決まっていたようなものだ。
前原プロのセクシャル・バイオレットダンスを8倍速で見ても、この表情で牛乳を溜め込んだ、ミルクタンクたちだ。
ポーカーフェイスといえばこのプロ!…で定評のある、いつもの9人である。この9人で「サイボーグ009」の実写版を作ったら、間違いなくつまらない出来になるであろう。全シーンにおいて喜怒哀楽がないのだから。
ヤマザキパンの工場で働いてるバイト9人が戦っているようなものだ。このわしもかつて、漫画の仕事のない頃にそこで働いたが「切り落とした食パンの耳を拾うだけの仕事」で、生まれ持った感情が消えるまでに2時間もかからなかった。
そして始まった決勝。
これからこの9人のナチュラルボーン能面たちを、次々と刺客が襲うことになる。最後まで耐え抜く、真のクールフェイスは誰か?
第1ステージ 「歌モノマネの刺客」
牛乳をいっぱいその頬に石橋プロくらいにふくらました9人が、ステージのある会場に集められた。この先、牛乳を1滴でもこぼせば即退場である。
MCの日吉辰哉がマイクで威勢よく「第1ステージ、最初のニャッ…難関は、歌モノマネですッ!! みにゃッ…皆さんには存分に楽しんでいただきましょうっ!!」と、2度噛んだ。
急に懐かしい、90年代の曲のイントロが流れ出した。
滝沢、ヒサト、2人の眉間に、わずかにシワがよる。
何か悪い予感がよぎったようだ。
そしてステージ場に現れる人影。
日吉辰哉による、顔だけが似てるモノマネをサビまでは全員が耐え抜いたが、その胸元にプリントされていた「道民雑誌クオリティ」のラベルに、茅森だけがハマり撃沈した。
北海道で育った人間だけが知っている、北海道のあちこちにバラまかれている「馴染みの看板」である。
(北海道新聞のCM曲の、ウィンターアゲインでこられたら危なかったな…!)と耐えていた茅森だったが、その心のスキをつかれたようだ。
ここで優勝候補だった茅森が、日吉の罠に落ちた。
日吉は1曲歌いきるまでに、37回噛んだ。
第2ステージ 「バラエティゲームの刺客」
茅森が吹き出し、床に散らばった牛乳を近藤に後始末させ終わった頃、残った8人に次の試練がやってきた。
予選落ちした二階堂亜樹が、決勝メンツを引き摺り下ろそうと仕掛けた第2ステージである。(亜樹ちゃんに面白いことができるのか? 姉じゃなく妹の方だろ…)と、ナメてかかった8人を、トップ女流の意地が炸裂した。
EX風林火山の、勝又・滝沢が秒殺された。
おそらく麻雀プロ業界で一番キャスティングが難しいコントである。
こうしてまた2人が去り、6人の強者が残された。
真のクールフェイスは、誰か!?
(つづく)↓
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