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北海道のアナウンサーが【北海道のこと】を調べてみた。|北海道の人口増減がドラマチックだった件(廣岡俊光)

UHB北海道文化放送アナウンサー、廣岡俊光です。 

どれだけ長く住んでいても、この広い広い北海道の一部しか知らないことを思い知らされる毎日。そこで、今回も北海道のことについて調べてみました。ぜひ最後までおつきあいください。

■ 北海道の人口は全国8位

 まずは、日本の47都道府県の『人口ランキング』TOP10をご覧ください。

1位 東京都   1395万7977人
2位 神奈川県    924万6429人
3位 大阪府     879万8545人
4位 愛知県     752万4185人
5位 埼玉県     734万3791人
6位 千葉県     627万8933人
7位 兵庫県     544万6455人
8位 北海道     520万7185人
9位 福岡県     510万8038人
10位 静岡県   361万5430人

※各都府県が発表した2021年6月1日付の推計人口。なお福岡県は2020年9月1日付。北海道は推計人口を発表しておらず、住民基本台帳人口のデータ

 北海道は、全国8位にランクイン!みなさん、この順位どう感じますか?

 移住組の自分(地元・岡山県は20位)は、「さすが北海道、上位だなぁ」なんて思ったりするわけですが、北海道=広大な自然のイメージという方にとっては、「思ったより上位で驚いた!」かもしれません。

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 あるいは「札幌があって、面積が広いからもっと上だと思った」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

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 そんな北海道、実は人口ランキングで「最下位になったことも、1位になったこともある」という、とても珍しい歴史を歩んできているのです。

■ 最下位からのスタート

 それでは、さっそく北海道の人口推移の歴史をみていきましょう。

 日本の人口調査が始まったのは1872年(明治5年)のことです。前年に公布された戸籍法に基づき、はじめて戸籍が編纂されました。このときの日本の本籍人口は約3,311万人。北海道(当時は北海道開拓使)の人口はわずか12万人でした。そこから大正時代までの推移をみてみると・・・

・1872年(明治  5年):12万人 / 47位 
・1886年(明治19年):27万人 / 47位
  →北海道庁設置
・1890年(明治22年):41万人 / 45位
  →鳥取県、沖縄県を抜き最下位脱出
・1898年(明治31年):85万人 / 24位
・1903年(明治36年):108万人 / 17位
  →初の100万人超え
・1908年(明治41年):145万人 / 8位
  →初のTOP10入り
・1920年(大正  9年):235万人 / 3位
  →東京都・大阪府に次ぐTOP3入り

※『日本全国戸口表』『日本全国民籍戸口表』『日本帝国民籍戸口表』『日本帝国人口統計』『日本帝国人口静態統計』の庁府県別甲種現住人口による

 箱根駅伝もビックリのごぼう抜き、44都府県抜き!?特に明治後期から大正にかけての約20年間で、急激に人口が増加しているのが分かります。国策として北海道移住が盛んに進められたのが大きな理由です。

■ まさかの「1位」

 そして太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)。北海道は、なんと人口ランキング1位になりました。首都・東京を抑えての1位です。その時の順位がこちらです。

            前年比
1位 北海道:351万人 +26万人
2位 東京都:348万人 -379万人
3位 愛知県:285万人 -43万人
4位 兵庫県:282万人 -40万人
5位 大阪府:280万人 -161万人

 1872年に12万人だった人口は、70余年のときを経て、約30倍に!とんでもない増え方です。

 注目していただきたいのは前年比。東京都の人口が、なんと前年の半分以下に減少しています。これは戦局悪化のなか、東京をはじめとする都市部で人員疎開が推し進められたことが原因とされています。一方で、北海道は疎開先として多くの人々を受け入れ、人口を増加させています。

 なお、翌1946年には再び東京が1位に返り咲き、北海道は2位となりました。たった1年だけだった北海道の人口ランキング1位。戦争の影響が色濃く反映された、非常にイレギュラーなものだったといえるでしょう。

■ 減っていく人口

 戦後の高度経済成長期を迎えた1960年代、早くも人口減少がはじまった地域が北海道にはありました。夕張、芦別、赤平、歌志内・・・豊富な産出量を誇った石炭で戦後日本の復興を支えた、空知地方を中心とした産炭地です。

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 一方で札幌市の成長はとまりません。1970年に人口100万人を突破(国内8番目)、1972年には冬季五輪が開催されました。さらに同年、政令指定都市に指定。国内有数の大都市となった札幌が、北海道の人口増を力強くけん引しました。

・1948年(昭和23年):402万人 / 2位
  →1947年「北海道」発足
・1965年(昭和40年):517万人 / 3位
・1975年(昭和50年):533万人 / 5位
  →1972年「冬季五輪」札幌開催

※国勢調査「都道府県別在住人口」、常住人口調査による 

 日本の人口がピークを迎えたのは、2009年(平成21年)。北海道はそれよりも10年以上早い1997年(平成9年)約570万人をピークに、現在にいたるまで、全国平均を上回るスピードで人口減少を続けています。

・1985年(昭和60年):567万人 / 6位
  →埼玉県に抜かれ、TOP5から陥落
1997年(平成9年):570万人
  →北海道の人口ピーク
・2000年(平成12年):568万人 / 7位
  →社会減(転出>転入)を除き、国勢調査開始以来初の減少
・2010年(平成22年):550万人 / 8位
・2020年(令和  2年):522万人 / 8位(速報値)

 2020年の国勢調査の速報値では、9位の福岡県との差もわずか。追い越されるのは時間の問題となっています。

 最下位も首位も経験したあと、人口が減少をはじめて四半世紀。人口が再び増加する未来は、残念ながら現状ではなかなか想像することはできませんね。

 なお動画で見ると、この推移はさらにドラマチックです。

今回も最後までおつきあいいただき、ありがとうございました!

~過去の “調べてみた” もぜひご覧ください~