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手放した先のありのままの自分

母へ

あなたとの関係は本当に苦しかった。
誰の目から見ても子育てに一生懸命だったあなただから、
あなたとの関係が苦しかったなんて伝えたら、あなたはとても不本意だろうけど。

子育てに一生懸命だったあなたの姿は、たぶん私が一番よく知ってる。
でも私は「あなたに愛されてる」という実感はどうしても持てなかった。

愛されたかった。あなたに。
認められたかった。あなたに。

ずいぶん時間がかかったし、たくさん苦しんだけど
ようやくあなたへの執着を手放せたよ。

私にとって何より大事なのは、あなたに認められることだった。
「あなた」が私にとっての最優先だった。

ようやく呪縛から解放されたよ。ラクになった。


私にとっての最優先だった「あなた」を手放してみると、
他の人にどう思われようが、それは私にとってはどうでもいいことなんだと気付いた。

人の評価とか、人から認めてもらえるか、とか、私にはどうでもいい。
全く気にならないわけではないけどね。そんなに気にならない。

「他人」を気にせずにいられるって、ラクなんだね。すっごく。

私は子どもの頃から超ビビリで、とにかく人に怯えて生きてきた。
いつもいつも人に怯えていたよ。あなたに怯えるのと同じように。

あなたを手放すと同時に、「他の人たち」も手放せていたみたい。
これには自分でも驚いたよ。

以前と同じように、私の周りにはたくさんの人がいる。
でもあまり気にせずにいられるんだよね。

不思議だね。気にせずにいられるって。

今の私はいろいろ気にせずに、どーんと存在してるよ。
もちろん、抱えている病気はラクではないし、やっぱり相変わらず難しい状況の中にいる。
でも、いろいろ気にせずにどーんといられる。不思議だね。

今、私はとても自由だよ。

あなたを捨てたらあなたをキライになるのかと思っていたけど、
全くそんなことはなかったよ。

あなたのそばにいても、今はあまりあなたのことを気にしてないから、
ラクな気持ちであなたのそばにいられる。ヘンな力が入ってない。

だから、わざわざキライになる必要もない。
自然な気持ちであなたのそばにいられる。
無理せず自然な表情であなたのそばにいられるよ。

こんなにラクな気持ちであなたのそばにいられるようになるとは思ってなかったよ。

一度しっかりあなたを捨てて本当によかったと思う。
正しいやり方かどうかはわかんないけど、そんなに間違ってなかったと思うよ。私にとっては。

私はあなたの心からの笑顔を見たことがない。それはやっぱり少し悲しい。
あなたが人生を終えてから私が思い出すのは、あなたの苦しんでる顔やしかめっ面ばかりだよ。
それはやっぱり寂しいよね。

でも、それがあなたの生きた証なんだと思う。
そんな人生を、あなたなりに精一杯生きたということなんだと思う。

だから、なるべくあなた「笑顔」を求めないでいようと思う。

あなたの人生は、もうそんなに長い時間が残っているわけではないのかもしれない。

あなたはたくさんの病気を抱えているし、これから先も思うように動けない日々が続くだろうけど、
少しでもあなたの納得する残りの人生を生きてくれたらいいなと思う。

あなたの苦しい人生を私は肩代わりできない。
あなたは自分でその苦しい人生を背負って生き抜くしかないから。

あなたがしっかりあなたの人生を生き切ることを私は願ってるよ。

どんな人生でもいいんだよ。優等生じゃなくていい。おバカでいい。
大声で言いたいこと叫んだり、大声でわんわん鳴いたり。
そんなみっともない姿を晒してかまわないんだよ。

でも、まあ優等生ではない人生はあなたには難しいかもしれないから、押し付けはしないよ。

あなたはあなたの生きたいように生きたらいい。

あなたから言ってもらいたかった言葉、私は自分で自分に与えられるようになったよ。
だから、寂しくないよ。

あなたに求めずににいられるようになったから、私はとてもラクになった。

「母親役」は自分でやれるから、なんにも問題ない。自分でできるよ、私は。

私はこれからも私の生きたいように生きていくよ。

あなたに理解してもらうことを求めないし、誰にも理解してもらうことを求めないよ。

誰かに理解してもらえようがもらえまいが、私は自分の生きたいように生きていく。
これまで生きてきたのと同じように、これからも自分の生きたいように生きていく。

私はとても自由だよ。苦しいけど、自由だよ。

すごく憧れていたよ。「自由」というものに。
私は自分の手に入れたかったものを手に入れたよ。

私はしっかり自分を生きていく。
だから、あなたもしっかり自分を生きてね。

私が生まれたときに「すなおな子になるように」と願ってくれたってね。
私はその「すなお」を手に入れたよ。

あなたが願ってくれたとおりの人生を生きてるよ。
私が生まれたときに、私のことを願ってくれて本当にありがとう。

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