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こんなモノを作ってました

大学に入学してからこれまで、私は「知るきっかけづくり」や「理解を深める」ことをテーマに課題を制作してきました。自分の知らなかったこと誰かの当たり前で、自分の非日常誰かの日常になっている。それが全てハッピーなことならいいけれど、もしもそれがとてもつらいことで誰にも知られずに自分の中に抱え込んでしまったら、悲しいですよね。長い歴史の中、四足歩行をやめて 物を作るようになり 感情と言葉を持つことができた、こんな生きてるだけで奇跡みたいな私たちが、1人で抱え込む必要のないモノに囚われて、幸せに生きられないなんて嫌だ!と思う気持ちが、私の作品たちの根底にあります。

直近の課題では、視覚に障がいを持つ方に焦点を当てた作品を作りました。先天性か後天性かなどでも差はありますが視覚に障がいのある方は聴覚や触覚が非常に優れています。小さな物音でどこに人がいるのか把握することも、顔を触っただけで誰なのか判別することもできます。

そこで私はその凄まじい触覚を使用するパズルを作りました。凹凸をつけた木のパズルで、ピースと台座それぞれに模様をつけることで、同じ模様場所にはめられる仕組みにしています。

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ピースはほとんどのパーツが対称に作られているので、形や模様さえ判別できれば上下左右裏表が合っていなくてもハマるようになっています。また、点字ピンをはめ込み、今触っているものはなんなのかを見ることができずとも認識できるようにしました。

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協力 Braille Neue/高橋鴻介様   点字ピン/株式会社フジタ様

そしてこのパズルのもう一つの特徴は、すべての人が目隠しをしてパズルを行うということです。手の感覚だけを頼りにパズルを完成させます。視覚に障がいを持つ方と視覚に障がいを持たない方(晴眼者)数名で遊んで頂いたところ、晴眼者よりも視覚に障がいを持つ方の方が圧倒的に正解率が高かったのです。

通常ならハンデとなってしまう遊びでも、「視覚ってなんだろう」と考えるきっかけに繋がるよう工夫するだけで、いつもなら見えないような結果が見えてきました。

こんな風に少しずつでも、「持つ者」と「持たない者」が交わるようなきっかけが様々な場所で作られ続けて、いつかみんながどんな人でも差があることを知り、差があることが当たり前で、その差を自然に埋めあっていくような世界になればいいなと思っています。

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