イベントレポート前編 マネージャーに必要な支援は “葛藤克服” 「業績向上」と「個の尊重」
2023年10月18日に『マネージャーに必要な支援は“葛藤克服” 「業績向上」と「個の尊重」を両取りする1on1と目標管理スキルの育み方』というテーマでオンラインセミナーを開催しました。
個人のwillやキャリアの方向性と、組織の目標達成を両取りするために、どのようなフレームワークや対話の場が必要なのか?こちらの記事で解説いたします。
・自社の目標管理やキャリア面談の進め方について迷っている方
・マネジメント層の目標管理のスキルの向上を促進したい方
このような方はぜひお読みください!
※本イベントレポートは2部構成となっております。
後半はこちらからご覧ください。
登壇者紹介
人事は、人を生かして事をなすこと
坪谷:これまで人事担当者・人事マネージャーとして、10年間企業の人事実務を経験してきました。人事コンサルタント・人事顧問・人事アドバイザーとして10年間50社以上の人事制度を構築し、組織開発を支援してきました。20年間以上実践してきた実際に使える人事の知識をお届けします。
人事というのは、人を生かして事をなすことだと考えています。人を犠牲にしてでも事をなすというのは、人事ではなく搾取です。人は元気に生きているけれども事がなされない、これは人事ではなく、ぬるま湯です。一人ひとりの力が十全に発揮され組織の目的が成し遂げられる状態、つまり人と事を同時に実現することが人事だと私は考えています。
目標管理の肝は「集中」できるかどうか
坪谷:最初に、皆さんにあなたの会社の目標管理はうまくいっていますかという問いを投げかけたいと思います。いかがでしょうか?
枠組みがあるけど形骸化している
営業実績の管理しかできていない
営業は結果が見える分そこだけにフォーカスしてしまっている
このようなチャットをお寄せいただきました。目標と評価とセットで課題感を持っていらっしゃる方が多そうですね。割合としてはうまくいっていない方の方が多いですかね。
弊社でも約1000人の方に調査をしてみたのですが、520人の方が目標管理をやっているということでした。うまくいっている方は24%、うまくいっていない方は27%となりました。
うまくいってるという方の中に、業績がいいと書かれている方もいました。事業自体が波に乗っているから目標管理もうまくいっていると思っているのかもしれないですね。うまくいっていないという方も、目標管理よりは上司と気が合わない、上司とのコミュニケーションで悩んでいるというのもあるかもしれないです。
あと「どちらとも言えない」と回答した方は、興味がない方も多いかもしれないですね。例えば、評価は給与明細を見て上がっているから評価が良かったと初めて気づく方とか。決してこれは悪いことでもなく、仕事に集中しているときはそうなることもあるのかなと。
上記2つのスライドをそれぞれ解釈すると、うまくいっている人は仕事・成果に目線が向いているんですね。つまり、目標に集中しているので成果も上がっていって、上司がしっかり支援してくれている、結果的に目標管理がうまくいっていると思えている。
うまくいっていない人は、形骸化した仕組みと不明瞭な状況の中、上司と評価に不信感を持ち表面的な低い目標を掲げているといえます。うまくいっている人は、評価や報酬の話を出さないのですが、目標管理がうまくいっていない方は評価・報酬の話がたくさん出てくる。
まとめると、うまくいっている人は仕事にフォーカスしているのでそこに向けてパワーを注ぐから結果も出やすい、よっていい循環が回ります。うまくいっていない人は、仕事とか目標自体でなくて、評価や上司個人にエネルギーを注いでしまうので、仕事や目標にフォーカスできず、結果的に成果も出にくくバッドサイクルが回るということが、この調査から読み取れました。
木村:肌感としてもとってもわかります。いわゆるコトに向かっている、結果にフォーカスしていれば、自ずと目標もしっかりついてくるということですよね。
坪谷:目標に集中できるかできないかが肝ですね。目標管理がうまくいっていないときは、評価や上司を見ている、目標管理がうまくいっているときは、目標や仕事を見ているということになりますね。
目指すべきは業績達成と人間性の尊重を統合する「葛藤克服型」
坪谷:目標管理で目指すべき理想の状態はどのような状態だと思いますか?
木村:先ほどの集中が肝であるという話をふまえて、何をやればいいのか、みんなが北極星を見ているような状態が理想だと思っています。
坪谷:業績達成と人間性の尊重、片方ではなくて両方を統合すると書きました。以下の図は「目標管理の本質」で五十嵐英憲先生がおっしゃっていることを私が解釈した図です。
縦軸が業績向上の重視、横軸が人間性尊重の重視で、どっちもできた方がいい、それが右上で、葛藤克服型。多くの企業は左上、ノルマ管理型に寄ります。特に経済成長が止まったときにこの問題点が露呈しました。高い目標を掲げさせられて落ちてくるからやらないといけないけれど、経済成長も自社の成長も止まってしまい、疲弊している状態です。
一方、右下は最近多い人間性偏重型。人を大事にしないといけない、それこそコーチングやカウンセリング、1on1もそのひとつです。大切ではあるものの、マネージャーは業績達成・ノルマ管理に向けて頑張っているのに、部下の言うことを聞かないといけないと頑張る、そうすると右下に落ちる、マネジメント逃避の目標管理ですね。
ひたすら傾聴をし、知恵・創造や挑戦がなくなり、責任が放棄され権利のみ主張する、ぬるま湯組織になってしまいます。形式重視型、つまりどちらもできていないという最悪の目標管理も日本には溢れています。本来目指すべき葛藤克服型は、業績向上と人間性尊重を統合するために生じる葛藤を克服するということです。簡単にはできないんですよね。
木村:コーチングのビジネスをやっていると、人間性偏重型になってしまうのではないかと心配するお話はよくお聞きします。この二項対立の中で揺れ動いていらっしゃる人事の方はすごく多いですよね。
真のMBOは個・組織×主観・客観を目標設定によって全開させること
坪谷:「図解 目標管理入門」という本は、個・組織×主観・客観の4象限を目標設定によって、統合、方向づけてスパイラルアップする、全開させることが真のMBOだと考えて書きました。縦軸が個と組織、横軸が主観と客観としています。
この夢、強み、業績、使命を回し続けることが目標管理の肝、MBOだと思っていますが、どこかが切れることによって目標管理はうまく行かなくなります。これをシートに落としたのが目標管理用のシートです。このシートを埋めていくと、自分のやりたいことと組織の業績と使命と強みをかけあわせていく感覚を掴んでいただけると思います。
イベントの後半では、「マネージャーが葛藤克服をしていくために必要なことは何か?」をテーマに現場で起きている負のループのお話や、実践的な解決方法についてお話しました。後半のnoteではコーチングのスキルについて解説したセミナー動画のプレゼントもございますので、ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
※後半はこちらからご覧ください。
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