mento主催HR Night#4 『コーチング導入のしくじり先生』開催レポート
2024年3月15日、「コーチング導入のしくじり先生」をテーマにHR Night第4回を開催しました!
開催概要
今回のHR NightではLINEヤフー株式会社の寺田貴哉さんからコーチング活用事例のご紹介とご参加者同士のテーブルトーク・交流会のお時間をご用意いたしました。
▶当日の流れ
LINEヤフー株式会社の事例:対話 - 傾聴と問い - を活用した組織・人材開発のお取り組み
テーブルトーク & パネルディスカッション:こうなるな!! コーチング導入のしくじり先生
交流会
このnoteではテーブルトークでお話されていた会話の一部とイベントに参加された皆様のお声をお届けしていきます。
※テーブルトークで取り上げているケースは特定の企業を指すものではなく、約4年間mentoがコーチング事業を展開してきた知見から抜粋したものです。
テーブルトークの一部始終
トークテーマ①はじめてのコーチング施策。稟議を通す際に抑えるポイントは?
最初のテーマは「施策導入を進める際のポイント」です。
特に前例のない新しい施策を入れる際は意思決定者の理解を得づらいといったお声をよく頂戴します。
皆様はどのような工夫をされているのでしょうか?
▶テーブルトークでの会話
本当は決裁者自らが社内承認を進めてくれることが望ましいが、まだ十分に価値を信じてくれていない場合は、いかに社内に仲間を増やせるかがポイント。特に、決裁者が信じている人がコーチングを価値を理解していればぐっと進みやすくなります。
稟議を回したときに「そんなうまくいくの?」と反論をもらうことは日常茶飯事。そんなときには、「例えば、お子さんが大学に行けるかわからないから塾の費用を出さないという選択肢は無くないですか?可能性を信じて投資をするのがあなたの役割ではないですか?」と伝えるようにしています。ほとんどの場合スムーズに通ります。
トークテーマ②コーチングを受けてほしい人へどのようにセットアップすべきか
続いては、コーチングを受けてほしい人が抵抗感を示している場合のセットアップについて。
組織で大きなインパクトが期待される人にコーチングを活用してほしいという想いはあれど、本人は「俺には必要ない」と一蹴されてしまうことは少なくありません。
どのようにセットアップすれば、よりよく活用していただけたのでしょうか。
▶テーブルトークでの会話
人事からはいくら言ってもなかなか動かせないので、対象者の上長を巻き込み、声をかけてもらうようにするのが良いではないでしょうか。
「喉を乾かしに行く」という表現をよく使いますが、例えば、本人にこれからタフアサインが待っていることをしっかり伝えていく、また評価を元に本人の伸びしろに気づいてもらうことも有効だと思います。本人が変化の必要性や危機感を持っていることが一つのポイントです。
また、コーチの寺田さんからはこのようなコメントも。
法人コーチングでは「行けって言われたから来た」という人は一定数います。私としては、とりあえず来てくれればなんとかします(笑)
あまりにもコーチングを活用するスタンスが変わらない場合、率直に「本当にコーチングを辞めたいんだったら辞めれますよ?」と伝えることもあります。伝えてみるとほとんどの方は「いや、それは…」と手のひらを返し、そこからは少しずつスタンスが変わっていきます。
スイッチの入れ方は本当に人それぞれですので、根気強く向き合っていくことも大切ですね。
トークテーマ③コーチング施策を短期で終わらせず、中長期的に継続していくために必要なことは?
3つ目のテーマは、施策の継続性について。
折角入れた施策を点で終わらせずに中長期的に継続していくために必要なことは何でしょうか?
▶テーブルトークでの会話
コーチング限らず人事施策は効果がふわっとすることが多く、判断が難しいことは事実だと思います。コーチングの場合は「行動が変わり、その人のパフォーマンスが向上する」ことがやはりメリットかと思いますので、事業成果を高めるために誰のパフォーマンスを高めたいのか(=誰の評価がSになると事業成果に繋がるのか)を明確にして施策をスタートするようにしています。
結果、その人の評価が上がったときに、もちろん100%コーチングの効果とは言えませんが、事前にコンセンサスを取っていることで納得感は得やすくなりますね。
組織のトップレイヤーにどれだけコーチングの理解者がいるかは影響を与えますね。うちでは社長がずっとコーチングを受けていたので、比較的反論が出ることは少なかったです。社長が変わったときも、コーチングをうけてもらい、コーチングを身を以て体感してもらいました。
振り返り方法として、定性のインタビューはとても大事です。コーチングは良いか悪いかだと悪いと言う人はあまりいません。そのため定量だけだときれいすぎるというか、結局何が良かったのかは見えず納得感を得れません。
しっかりインタビューをして「何があなたにとって良かったのか」「これを組織に入れるとするとどんな良さがあるのか」を言語化してもらい、ステークホルダーへ届けていきます。
テーブルトーク④コーチングにおける”いいマッチング”とは?
最後は、コーチとのマッチングについて。
コーチングは1対1でのコミュニケーションであり、少なからずコーチとの相性の良し悪しを感じる人もいます。
それでは、良いマッチングとは何でしょうか?
▶テーブルトークでの会話
私がコーチングを受けた経験から印象に残っているポイントは「踏み込んでくれること」でした。自分にとって気持ちがいいことだけではなく「それはやめたほうがいいですよ」とバシッと言ってくれる。この踏み込むことは社内だと難しいと思っており、例えば、上司は嫌われたくない、確執を生みたくないと言った理由から強くは言ってくれません。普段の人間関係にではなかなか踏み込めないところまで到達できるかが、重要なのかもしれません。
私は基本的に悪いマッチングはあまりないと思っています。一方、コーチのバックグランドによっては、下準備が必要なときはあるかもしれません。仕事での障壁をテーマにするときに共通言語が無さすぎると話しづらいため、予め最低限説明をしておくなど、良い時間を作れるよう下準備をすることがあります。
コーチのバックグラウンドはあえて近すぎないほうがいいとも思っています。業界が近すぎると思考が近くなってしまう、コーチが多角的に問えなくなってしまうこともあるのではと感じています。
「自分では思いつかない問いがもらえるか」がポイントだと思っています。複数人のコーチと話す中で「この人の問いは自分でも考えていることだな」と感じることもあれば「この問いは新鮮で面白い」と感じることもあります。私は後者のコーチを選ぶようにしています。
また、寺田さんからは「エグゼクティブコーチ」と「普通のコーチ」の違いについてお話いただきました。
エグゼクティブコーチと普通のコーチって実はほとんど何も違わないと思っています。しかし、唯一大切なことがあります、それは「誰が目の前に来たとしてもコーチとして向き合えるか」です。例えば、長者番付に名を連ねるように人がクライアントだったとしても、踏み込んだことが言えるか、恐れを持たずに問いを出せるか。元米国ジェネラル・エレクトリック社CEOのジャック・ウェルチ氏は20代のコーチを付けていたことが有名ですが、コーチの年齢や経験は本来関係なく、プロのコーチとして向き合い、クライアントが思いもしないような問いが投げれることが重要だと思います。
参加された皆様からのお声
日頃コーチングについてこれだけ語れる人周りにがいないので、そういう話を皆さんと出来ただけでも楽しかったです。イベントのサイズ感も大き過ぎず、小さ過ぎず、ちょうど良かったと思います。ありがとうございました。
ワークの内容が、今自分が抱えてる課題なのでためになりました!
テーマを設けて、テーブル内でディスカッションをできたことが、非常に良いお時間でした。
自社の課題解決のために来ましたが、 それだけではなく、そもそもコーチングが大好きだという自分を思い出しました。
実際にありそうな具体的な事例についてディスカッションしたため、かなり真剣味のあるトークができてよかった。導入前の企業担当者もいたので、悩んでいるポイントなどが共感できた。
改めて、当日ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
会社は違えど、近しい障壁に挑んでいる方々同士で集まり、対話ができたことで、非常に活気のある場になりました。
コーチングに限らず、人事施策は絶対の正解がなく、導入・運用において多くの困難があるかと思います。
今回のような交流会が、人事施策を試行錯誤される皆様の刺激となり、少しでも業務にお役に立てば私達mentoとしても非常に幸いです。
今後もHR Nightは定期的に開催してまいりますので、ご関心がある方はお気軽にお問い合わせくださいませ。
皆様と語り合えることを心より楽しみにしております。