クサワケテ ユケ ワークインプログレス(試演会) 当日パンフレット

ご挨拶

本日は、梅雨空の下、そしてコロナ禍の中をご来場いただきまして、誠にありがとうございます。

昨年春、「クサワケテ ユケ! ワタシ・ヒョウゲン」という、ちょっと勇ましいタイトルで、見えない人と見える人が作るアートプロジェクトのメンバー募集を始めました。コロナ終息の予想もつかず、見えない人との新しい出会いもないまま新年を迎えた頃、月一回集まっていた「動きをめぐる研究会」(見えない人と見える人の集まり)のメンバーの中で、企画を出しプロジェクトを具体化していこう!と方向が決まりました。それから半年、感染不安に揺れながら、練習場所が使えない時期もありましたが、それぞれの企画チームが果敢に試行錯誤を経て、5つのプログラムを実現できることをうれしく思います。

見えないことと見えることの間にはどんな未来があるんだろう?
と、大上段に振りかぶってみても、いざ、プロジェクトが動き始めると、見える見えないは関係なく、個々人がどうしても離れられないコダワリ、他人には面倒くさいようなワカラナサが現れ出て来ました。それが、その人が表現せずにはいられない源のようなものなんだなと、最近になってやっと感じられた時、そのコダワリやワカラナサがちょっと素敵に輝き始めたりして、自分の感動の器がゆらゆらっと変化し始めてることに気づきました。

展示やワークショップ、パフォーマンスや感想シェアの時間を、是非、自由にわがままに楽しんでいただけたら幸いです。
尚、見える方には目隠しをお勧めすることがありますが、マスク着用に加えてのお願いですので、どうかご自身の体調に無理のない範囲でお試し下さい。    
                                       Dance&People 五島智子

プログラム

7月10日(土) 14:00〜16:30
ワークショップ『ぐるりとめぐる オノマトペ』進行:かめいともみ

ワークショップ『場になる 戸惑い、居心地、表れの時間』進行:西脇秀典

パフォーマンス『ことばでうごく』
作・演出・出演:光島貴之 辻野恵子
ミクステクスチャー:小池芽英子

7月11日(日) 14:00〜16:30
ワークショップ『ぐるりとめぐる オノマトペ』進行:かめいともみ

パフォーマンス『見ないダンス』
構成・演出:伴戸千雅子
出演:大歳芽里 川瀬亜衣 伴戸千雅子
フォーマット参照:土居大記「アンケートパフォーマンス」

パフォーマンス『名残り雪』
テキスト:牛若孝治
出演:牛若孝治 スズキ

※両日とも、パフォーマンス後に感想をシェアする時間を設けます。

両日開催
展示『ぐるりとめぐる オノマトペ』
企画:かめいともみ
協力:動きをめぐる研究会、樫田幸枝(maka)、鈴木潤+片岡祐介(おっさん姉妹)、武井真由美(にちにち白ご飯)
※ 当日、完成した作品を鑑賞し、研究会メンバーの光島貴之さんが考案した「手ざわりカード」を使い簡単なワークショップをします。

各上演作品、ワークショップの紹介

【7月10日(土)】
ワークショップ『場になる 戸惑い、居心地、表れの時間』
この研究会では、見える人は、時にアイマスクや手拭いで目隠しをすることがあります。今回もこの時間はできたら目隠しをしてもらい、この場に集まって、初めて出会う、色々な人やそこにあるものたち、音たちと共に居る時間を過ごします。その時、どんなことをしたくなるでしょうか?手探りで、その時間、その場にあること、起こっていること、戸惑うこと、居心地、やってみたいこと、その色々を感じてみませんか?

パフォーマンス『ことばでうごく』
「見えない人は自分は動かず、言葉で人を動かしてえらそうにしている!もっと1人で歩いたり自分でいろんなことをやれよ」半世紀も前の盲学校時代、「エリート盲人」に対して嫌悪感を持って言われた言葉です。
以来ぼくは、自分で体を動かし、人任せにせず、何でも体験することを大切にしてきました。ところが今回思いついたパフォーマンスは、言葉で人を動かそうということ。動かされるのは僕自身でもあるので、「エリート盲人」になるのとは違いますが。少し不安も持ちつつ、言葉のやりとり、また言葉と言葉のあいだの時間から、その瞬間のからだと心の動きを感じる。そんなことを観客の皆さんと共に体験できるといいなと思っています。

【7月11日(日)】
パフォーマンス『見ないダンス』
私は普段「見せる」ことを前提にダンスを作っています。でも、「見せない」という前提でダンスを作ったら、一体、どういうことになるんだろうか。それが出発点です。この作品は「アンケートパフォーマンス」という作品にヒントを得て、ダンサーに様々な質問などを投げ、それに答えてもらう形で構成されています。ダンサーの言語感覚や声というカラダの使い方から、どのような時間・空間がうまれるのか。まだ、声の向こうにどんなカラダを想像できるのか。
目を閉じる、アイマスクや手ぬぐいで目隠しをするなど、「見ない」状態での鑑賞をお願いします。

パフォーマンス『名残り雪』
猛烈社員だった俺が、上司に叱られたことをきっかけに引きこもり状態になり、「昼夜逆転」の日々が続く。そんなある日の夕方、ヘルパーに連れられて、近所のコンビニに買い物に行く。そのコンビニのラジオから聞こえてきた「名残り雪」の歌を聴いて「俺にとっての『春』っていったいなんなんだろう」とひどく考え込んでしまった俺だったのだが、次の瞬間、、、。
夢小説「名残り雪」を元に、即興パフォーマンスを展開する。

展示『ぐるりとめぐる オノマトペ』

1つの「オノマトペ」を「五感」(視覚・触覚・嗅覚・聴覚・味覚)を使い複数人がリレー形式で繋がる作品を制作しました。
オノマトペを聞いて視覚を使わず作品を作り、触覚で鑑賞したり、香り、音、食べ物で表現したりと、情報を伝えていく難しさや面白さ、それぞれの感覚の違いなどが詰まった作品です。最後にはどんなオノマトペになるでしょうか?
「ぐるりとめぐるオノマトペ」一周まわって繋がって、新たな面白いものが生まれますように。

プロフィール

西脇秀典(にしわき ひでのり)
間に着目しながら、対話や、そこにあることやないことの味わいを探究する場を開いている「間の会」代表。踊りや舞のような、しかし、そう呼ばれる以前の未だ名付けられない振る舞いを折々の様々な場所に奉納している。世界という舞台構造の中で、そこに現れてくるものを見、聞き、それらから見られ、聞かれている。https://aidanokai.amebaownd.com

辻野恵子(つじの けいこ)
俳優、アレクサンダー・テクニーク教師。「はっちゃく」主宰。いろんな世代や障害の有無など、さまざまな人たち、もの、空間の「あいだ」に生まれるコミュニケーションにとても魅力を感じ、活動する。昨年は今回の共演者光島さんの、手手ざわりで物語を作るスタイルをヒントに短い一人感覚演劇「多覚」を制作、上演した。

光島貴之(みつしま たかゆき)
1954年 京都府生まれ。美術家・鍼灸師。10歳頃失明。1992年に粘土造形制作を開始し、1995年からは「さわる絵画」制作開始。
触覚による表現方法を模索し美術作品を発表。触覚に着目したワークショップにも取り組む。
2020年、”アトリエみつしま”を立ち上げ、スタッフとともに作品発表やワークショップ等を精力的におこなっている。

スズキ
2007年頃からダンス&ピープルの「からだをつかってあそぼ」など、大山崎でのワークショップに参加。
2014年からは神戸の「おとあそび工房」(音や体でいろんな遊びをするための実験工房。月に一回、まだ見ぬ表現を探す旅のお話を、障害のある人を含めて老若男女で紡ぐ)にも時々参加。

牛若孝治(うしわか こうじ)
鍼灸マッサージの仕事の傍ら、2003年より、自分が寝ている間に見た夢を小説にすることを趣味とする。2010年、その夢小説の一部をアレンジした創作ダンス『タッチングフェイス』で初舞台。2018年より、夢小説を舞台で朗読する活動も行っている。

伴戸千雅子(ばんど ちかこ)
ダンサー/振付家。子育て、介護をテーマにした「おしもはん」、落語を題材にした「おどる落語」シリーズなど、日常生活の中でカラダに浮かぶアレコレをスケッチするように作品を作る。2004年以降、Dance&People主催のダンスワークショップやダンス公演で、視覚障害のある人とダンス創作などを行う。その体験の振り返りをブログに書いている。「ダンスと見えないこと」https://note.com/bandochi/m/m320e672a4197

大歳芽里(おおとし めり)
昭和音楽芸術学院バレエ科卒業。仏のアンジェ国立現代舞踊センター、振付コース修了。ヴィンセント・マンソー、エマニュエル・ユイン、カミーユ・ボワテル、ダニエル・ベルトン等の作品に参加。さまざまな障害をもった人や子ども対象のレギュラークラスのほか、ワークショップ講師も務める。

川瀬亜衣(かわせ あい)
旧・京都造形芸術大学 芸術表現・アートプロデュース学科卒。「国内ダンス留学@神戸」2期ダンサーコース修了。近年の活動は、独自の身体感覚を振付した「書き文字を辿り踊る」シリーズ創作、ダンサーを多面的に書き出すプロジェクト「statement:ダンサーを記録する」主催等。様々な演出家作品に出演、美術家との協業も行う。https://aikws12.wixsite.com/solosailing

かめいともみ 
1984年和歌山生まれ、ふたご座のAB型。
好きな食べ物は鶏肉。
幼少期から人と表現活動が好き。
京都造形芸術大学に在学中、障がいのある人の表現に出会いハマる。
滋賀「わになろう」や京都「スウィング」などで表現の場をひらく。
人と表現活動は、ずっと自分のそばにあり、これからも大切にしていきたい。

クレジット

音響 甲田徹
映像撮影 小池芽英子
写真撮影 草本利枝
制作 Dance & People 動きをめぐる研究会
協力 アトリエみつしま

主催 Dance & People
助成 公益財団法人俱進会

団体紹介

動きをめぐる研究会
「見えない人にとって、表現としての動きは、どうやったら手に入る、身に付く、ものなのか?」この問いを元に4年前に始まった自由な研究会。https://note.com/ugokimeguru

Dance & People
「ひととダンスの縁結び」をモットーに多様なからだが出会う場作りをする。2001年設立。「動きをめぐる究会」の運営を担当しています。 https://blog.canpan.info/d_a_p


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