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理学療法士 山嵜勉の世界 その1/3

50年以上理学療法士の道を歩んだ

「確かな臨床の言葉」

理学療法士に限らず「セラピスト」にとって、「50年以上理学療法士の道を歩んだ、プロフェッショナルとしての確かな言葉」には必ず響くものがあると確信しています。

ここでは、私が山嵜勉先生の研修を受けている時に、心に「グサッ」と響いた言葉をいくつか紹介しております。
全部で12タイトルあり、今回は1~4を紹介しております(^^)/



1.はじめに

2.知識は知恵を生み、知恵は○○を形成する

3.技術を磨くうえでの宝とは

4.現実をみてから、知識を使うこと

1.はじめに


私が初めて山嵜勉先生にお会いしたのは、形態構築アプローチの実技セミナーでした。

山嵜勉先生のお話をする前に、まずは私のことを紹介させてください。

当時の私は、理学療法士として7年目を迎え「悩んでいる時期」でした。
超急性期の総合病院に5年間勤務し、そこで私は必死に働いてきました。
たくさんの人に出会い、病院の関連施設にいろいろ移動し、多くの事を学べば学ぶほど自分の将来が不安になるのです。

どこの施設に行っても、「マッサージしてくれる人が来たよ」とか、「リハビリの人が来たから一緒に歩いてきてくださいね。それまでにお部屋片付けておきますから」といった反応なのです。

もちろん、否定はしません。
そういう事をするように自然と教わった気がしていましたので。

血圧や脈拍数、そして呼吸状態などを記録した後、いわゆるリハビリが始まります。ベッドに横になって、理学療法という名のマッサージのようなものを行い、運動を行わせ、そして一緒に歩いたり、トイレに行ったり…

これって私にしかできない仕事なのかな…

私よりも若い理学療法士と「まったく同じサービス」が求められているのであれば、話は別です。ですが目の前にいる人は治療を要求していることが多いのです。

日本の文化の特性なのかわかりませんが、リハビリ頑張るから良くなりたい。
良くなる方法を教えてください。
心の底では治療してくださいと言っていると思うのです。

でも、結果というものが出せず苦しんでいました。

そんな私ですが、1年目の頃から、著名な先生のセミナーや講演会にはたくさん参加してきました。その時は刺激を受け「さっそく明日からやるぞ」と思うのですが、いつも長続きしませんでした。

今思えば「自分はこれだという軸」がなかったからと分かるのですが、当時は悩んでいました。

そこで思い切って発想を変え、研修を受けてみようと思ったのです。
当時私は、膝について深く学びたいと思っていましたので、関東労災病院に勤務している理学療法士の今屋健先生に教わりたいと考えていました。


ダメもとで今屋先生に「研修を受けさせてください!」とお願いしたら、とても優しく了承してくださいました。
今思えば、これが無ければ今の自分はないと思っています。

知識や技術もなく、「ド素人」状態で研修に挑んでいましたので、今屋先生はそうとう苦労したのではないかと思います(笑)。

でも2年程経つと今屋先生の臨床での感覚が少しですが分かるようになってきました。
2年って長いだろ!と自分でも思いますが、「呑み込みが非常に悪い」ので仕方ありません。

でも、メリットの方が大きかったです。
膝から全身への繋がりに興味をもち、局所の重要性と全体の重要性が共に理解できたからです。

気付けば、5年間勤務した病院を辞め、唯一経験したことがない整形外科クリニックの経験を経て、その後すぐ鎌倉の病院に勤務することになりました。
目的は、「自分にしかできないことをするため」でした。

鎌倉の病院のスタッフは皆、理解のある人達で、本当にやりたい事ができる環境を作ってくれました。本当に感謝しています。

インソールを作ったり、様々な徒手療法や運動療法を組み合わせてみたり、食事療法や時間医学について実践してみたり…
こんな経験ができる病院は他にないと確信しております。

さて、そんな経験を積む中で山嵜勉先生に出会うことになり、やはりずうずうしくも研修をお願いしました。そしていろいろな事を学ばせていただきました。

山嵜先生のセミナーや研修は言うまでもなく勉強になるのですが、その時に発する言葉がいつも私に気づきを与えてくれるのです。

50年以上理学療法士として歩んできたプロフェッショナルの言葉」は私の仕事に対する考えを見直す大きな力となりました。

その影響もあってか、今では国家資格で一生安定といわれる病院・施設勤務の道から、フリーランスという全てが自己責任の道へシフトしました。

「普通」であれば選択しないのかもしれませんが、今後はこういった道が「普通」になるのだと私は思っています。そしてこの道は非常に面白いのが正直な所です。


そして山嵜先生だけでなく、今後の日本の理学療法を大きく変える存在「園部俊晴先生」にもたくさんのアドバイスをもらっています。フリーランスだからできることってあるのです。

さて話を戻しますが、こうしたことは何も私だけに限ることではありません。
若い療法士であれば、50年以上理学療法士の道を歩んだ人の「確かな臨床現場の言葉」には必ず響くものがあると確信しています。

ここでは、私が山嵜先生のセミナーや臨床現場研修を受けている時に、心に「グサッ」と響いた言葉を紹介したいと思います。

私自身、見方を変えたり、やり方を変えたりするのに最初は抵抗をもちました。既存のものを使いこなした方が楽だからです。

でも、それでは成長しません。

我々は人の身体機能に関わる仕事をしている以上、成長を止めてはいけません。

これからの内容が皆さんの仕事において何かの気づきになれば幸いです。


2.知識は知恵を生み、知恵は○○を形成する

「知識は知恵を生み、

知恵は技術を形成します。

限りなき研鑽を願います」


理学療法士に限らず、仕事をする人はずっと勉強するしかありません。
勉強に終わりはないのです。

「勉強の哲学」という本では、「勉強とは、これまでとは違うノリになる事であり、自己破壊である」と述べています。つまり、思考を変え、生き方を変える事であり、学びの根底は「関わり」だと私は考えています。

理学療法士の仕事は人と関わる仕事であり、常に勉強です。
勉強した知識を現場で使っていくと、知恵となります。
そしてその知恵は技術となり、自分の財産となります。

ここで言いたいのは、現場で使えない知識は知恵とはならず、技術にもならないということです。

つまり、臨床現場で「机上の空論」は全く通用しないのです。

私たちが必死に勉強した国家資格の為の知識、
医師とのコミュニケーションやコメディカルスタッフとの間に必要な知識、
リスク管理や評価検査に対しての幅広い知識などが、
臨床の技術に直接つながることが少ないというのが私の実体験です。

もちろん無駄な事は一切なく、必要なのは言うまでもありません。

ただ私は、目の前の人の身体機能をどう変化させるかの知恵や技術につながることが少ないと言いたいだけです。

ですから知識をしっかりと知恵に変え、技術として落とし込むために臨床を全力でやらなければならない。その限りなき研鑽を続けなさい。

そう先生に言われたような気がしました。


3.技術を磨くうえでの宝とは


「患者の些細な訴えや愚痴もね、

技術を磨くうえでは宝の山なんです」


私は日々の業務に追われると、すぐ忙しいと感じてしまい「訴えや愚痴」をスルーしているのだと、この言葉を聴いて思いました。

私が欲しい情報だけを聴取して、その人の理学療法を展開しているわけですから、新しい発見や技術力が高まることがないのだと、気づきを与えてくれた言葉です。

是非皆さんも些細な訴えや愚痴を「何でだろう」と考えながら対応してみてください。
きっと思いがけないことが分かったり、見えてきたりします。

それがすぐである必要はありません。
次会う時までに頭の片隅に入れておくだけでも良いと思います。
その積み重ねで「もしかしたら、こうしたらどうだろう…」となれば良いのです。

臨床現場はまさに十人十色。
些細な訴えや愚痴もまさに十人十色。
技術を磨くうえでは尽きることのない大切な情報なのです。

そう思うだけで、少しだけですが心に余裕が生まれるのは私だけでしょうか。
もちろん、イライラすることもありますが…


4.現実をみてから、知識を使うこと


「土屋君ね。現実をみてから、知識で理解するようにしてみたらどうでしょうか。
知識でみようとすると、その中でしかみることができないように感じています」


臨床現場で患者から得られる「情報」や「現象」は実に様々です。

様々な問題に対して私は、自分の知識の範囲内で対応する癖があります(皆さんもありませんか?)。そしてこれが実に厄介なのです。

自分の知識で対応できない情報や現象に出くわすと「蓋」をしたくなるのです。

「ん?…よくわからない」となりたくないので、今ある知識の中で対応しようとします。つまり「固定観念に囚われている状態」ということです。

このため、臨床の結果が良くても悪くても、心の底では原因がよく分かっていないということが起こります。すると私は次のような状態に陥っていました。

「○○先生から教わった内容にそって評価し治療すれば大丈夫」という他力本願状態です。

○○先生と私は全く別者で、目の前にいる患者も全く別の人ですから、同じ結果を出すことは非常に難しいのは言うまでもありません。
そして、この考えが臨床で通用しないのは自分が一番よく知っているのです。

そんな時、「まず現実をみなさい」という言葉が心に強く突き刺さりました。

現実をまずしっかりみて対応する
ことで私は…

体の動きの小さな変化に気づくようになりました。
こうすると動きが悪くなり、反対の事をすると良くなるといったことに気づくことがあります。そして、その後は目の前の人がどうだったか答えてくれます。

固定観念に囚われず、現実をみてから知識をフル活用することで、臨床結果の良し悪しがあなたにも分かるようになるのではないでしょうか。


もちろん完全にわかるわけではありませんが、少なくとも次のステップに成長できる考え方ではあると思います。

いかがでしたか(^^)/
次回は
5.患者に丸投げをしない
6.我々は何の専門家なのか
7.理学療法士は○○屋に似ている
8.伊能忠敬の歩行とは
です。とても面白い内容だと思いますよ☆彡

形態構築アプローチという考えに少しでも興味をもっていただいたり、再び興味をもっていただければ幸いです。一緒に学んでみたいという方、少し興味のある方は是非ご連絡ください(^^)/


動きのこだわりテーション 代表 土屋元明
理学療法士/JMFS常任理事

元気で明るいのが自慢の元明のサポートをお願い致します。 頂いたサポートは、娘と息子のために使わせていただきます。