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形態構築アプローチの概念と診方 その2

書籍「形態構築アプローチの理論と技術」を持っていない、知らない人は知っていただくために(^^)/
持っている人は書籍の内容がより理解できる様に、そして臨床で活用できる様に、弟子の土屋元明が研修で学んできた事を踏まえて解説。
今回は、アプローチを行う際の「3つのポイント」を紹介いたします。
是非一読くださいm(_ _)m
理学療法士 土屋元明


3つのポイント

ポイント1 
~年齢を考慮する~

まず、あなたの理学療法や施術の対象としているヒトの年齢を考慮することがポイントになります。

私の場合、50代から90代が主であり、かつ何らかの痛みを伴っています。
この場合は機能低下を起こした状態であり、かつ形態が図4形態構築アプローチの概念と診方 その1で紹介)の状態から逸脱していることがほとんどです(図5)。

年齢が若いほど書籍のような自然立位形態に遭遇しますが、実際の臨床現場では逸脱していることがほとんどだ、ということを念頭において観察を行ってみてください。


ポイント2 
~慣れてくるまでは患者に少し協力してもらう~


観察に慣れてくるまでは靴を脱いでもらい(可能であれば靴下も)、ズボンなどは少し挙げてもらう事で、脛骨捻転など形態の把握が行いやすくなります。

つまり、患者さんに少し協力してもらうことが大切です。
そして、前額面の観察が終わったら、矢状面の観察も行ってください(図6)。

実際の臨床において山嵜先生は、前額面の観察のみで臨床を展開していましたが、私たちにとってそれは危険です。

本物の臨床家は前額面の観察で、矢状面や水平面の状態を把握してしまうというのが私の持論です(実際にそのような臨床家を身の回りで私は数人知っています)。

ただし私もそうですが、いきなり同じように観察しようとすると全くもって理解に苦しみます。
慣れてくるまではいろいろな方向から観察し、必要に応じて患者さんに協力してもらうことが大切です。

回数を重ねることで、前額面のとらえ方が徐々に変化してくると嬉しくなりますよ(*^-^*)


ポイント3 
~形態を観察したら、歩行を予測し、歩行動作を確認する~

自然立位を観察し、書籍にある内容をある程度加味しつつ、患者の問診内容と照らし合わせ、自身でいくつか機能を予測するトレーニングを行ってください。

例えば、頭位が右へ過剰に偏位(数㎜を過剰と捉えるのが形態構築アプローチでは重要です)し、右足部内反過剰かつ右骨盤挙上+後方回旋過剰が観察できたとします。

この場合、右下肢荷重量が左に比べ減少し、その補償として頭位を右に偏位させ荷重量を補っているのではないかと予測したとします。

要は右下肢の支持機能低下を予測したら、今度は歩行でどういう現象が起こるかを考えます。例えば、こうした症例の多くは踵接地の遅れが観察されやすいため、右踵接地が左に比べ遅れるのではないかと予測し、歩行動作を確認するわけです。

もちろん、1st swingが右からか等の予測もあわせて行えるとよいと思います(図7)。
これらの内容は「形態構築アプローチ概要」をYouTubeにて紹介しているため、興味があれば参照してください。

このように形態を観察し、歩行を予測し、歩行動作を確認しながら経験を積み重ねていくことで、書籍の内容が少しずつ理解できるようになると考えています(^^)/


ワンポイントアドバイス 
観察⇒予測⇒確認のトレーニング紹介

私が行った簡単な研究データ(体幹前方/後方移行位における胸骨加圧後の歩行動作と筋機能について)を紹介します。
(上記をクリックすると、私のホームページ内のサービス向上ノートに移動します。そこに研究発表したデータがありますので、興味があればダウンロードしてください。無料です)

これを基に形態観察から予測、確認のトレーニングを積むと勉強になるのではないかと考えています。

まず自然立位観察後、体幹前方移行位/後方移行位の評価※2を行います。

結論から言うと、体幹前方移行位の場合は胸骨上端加圧後の歩行が安定し、体幹後方移行位の場合は胸骨下端加圧後の歩行が安定する傾向が多いです。
これは健常成人22名を対象に、胸骨加圧した後の歩行動作終了直後に、並進バランステストという姿勢安定筋の筋力評価の結果と一致しています(図8)。

これが理解できてくると、様々な事に応用が効いてきます。
今ではインソール対応をするときには必ずこの胸骨加圧評価を用いて対応しております。

※2:大腿骨頭中心から床面に対しいて引いた垂線を下肢軸とし、下肢軸より体幹質量中心が前方か後方かを評価します。
前方の場合を体幹前方移行位、後方の場合を体幹後方移行位と判断しますが、体幹屈曲であれば後方移行位、伸展であれば前方移行位とは限らないことを強調しておきます。


書籍「形態構築アプローチの理論と技術」を読んだだけで、臨床で実践できることは難しいと感じています。

読んで実際に観察して、そして読んでさらに観察して、この繰り返しで少しずつ理解できるものと考えています。

だからこそ3つのポイントを念頭に置きながら実践して欲しいのです。

山嵜先生は「私の技術を盗んで、勝手に応用してください」とよく言っていました。ですが、盗むにも何年もかかるのだと思います…

次回は基本動作に対する考えとアプローチのポイント(運動域の重要性)についてご紹介いたします。

形態構築アプローチという考えに少しでも興味をもっていただいたり、再び興味をもっていただければ幸いです。一緒に学んでみたいという方、少し興味のある方は是非ご連絡ください(^^)/
Facebook(土屋元明)からでもnoteからでもご連絡お待ちしております。


動きのこだわりテーション 代表 土屋元明
理学療法士/JMFS常任理事

元気で明るいのが自慢の元明のサポートをお願い致します。 頂いたサポートは、娘と息子のために使わせていただきます。