見出し画像

【医学的視点】インソールの選び方やポイントについて!

インソールの効果

前回、インソールは足の4つの働き(①強力なテコ、②柔軟性、③バランス制御、④クッション)をサポートしてくれることを説明しました。

スライド5


市販のインソールを購入する場合は、①~④のうちどの働きをサポートしたいのかを考えてから購入すると良いと述べました。

また、オーダーメイドを作成する場合は、①~④を踏まえて自分の「からだの特性」「動きの特性」を教えてもらいながら作ることが大切だと述べました。

今回はこの具体的な意味について解説します。

インソールの選び方とポイント

市販のインソールを購入する場合下記の情報を参考にしてみてください。
(※絶対ではありませんので参考程度にとどめ、適切な情報が欲しい場合はオーダーメイドで作成することをおすすめします)

手の構造は同じでも、手相は皆違います。
これは手の使い方や癖などが、皺に表出されるためですが、足も同じです。
足の構造は同じでも、足形は皆違います。
これは遺伝や姿勢・動きの癖などが、足の形に表出されるためです。

市販のインソールを購入する時のポイントを、一般的に報告されている内容を基にお伝えしています。


①自然と前にからだが進む働きを高めるインソールが効果的な場合

代表例は偏平足です。偏平足は土踏まずが低下した状態を指し、足の内側のアーチが潰れた状態です。

偏平足の特徴は、歩く時の力強さがなく「ペタペタ」と歩くことです。
これは、地面の力を上手く利用して歩けていない状態とも言えます。

この場合、土踏まずをサポートすることで、テコの力が高まり、自然と体が前に進むようになります。

もし、偏平足だと感じたら、内側の土踏まずが特にサポートされているインソールをまずは試してみてください。
(足裏の土踏まず全体が盛り上がったインソールの場合は、インソールの有無で「前に進む感覚が阻害されないかをチェックする」ことが大切です)

スライド26



②可動性を引き出すインソールが効果的な場合

代表例は凹足です。凹足は偏平足の逆タイプの足です。
偏平足とは違って凹足は、体重を踵・小指・親指の3点で受けるため、3点のどこかにタコができやすい特徴が挙げられます。

凹足は柔軟性(可動性)が乏しいため、歩く時の体重移動(踵から親指への体重移動)をスムーズにさせるような、柔軟性をサポートするインソールが効果的と言われています。

特に体重が外に逃げないような外側ウェッジが含まれているインソールをまずは試してみてください。また、アーチをサポートする部分が高すぎるインソールは、指に力が入りすぎたりしますので注意が必要と言われています。参考にしてみてください。

スライド28



③安定性を高めるインソールが効果的な場合

加齢に伴い足の感覚は低下するだけでなく、バランス能力も低下します。
「立ったまま重心をどれだけ前後に移動できるか」という研究によると、70を過ぎると急激に能力が低下するようです。

スライド29


このように動作が不安定だと感じる場合、安定(バランス制御)をサポートするインソールが効果的です。

足裏全体のアーチがサポートされているようなインソールをまずは試してみてください。この時注意して欲しい事は、「硬くてしっかりしたものが良いとは限らない」ということです。あなたに合いそうなものを探してみてください。

スライド30



④衝撃を吸収するインソールが効果的な場合

動くことで足が痛む場合、衝撃吸収(クッション)をサポートするインソールが効果的です。また、柔らかめの素材を使用することが一般的です。

足の指周りが痛い場合は、足の横アーチをサポートする中足支えの含まれたインソールをまずは試してみてください。

スライド31


①~④を参考に「どの働きを特にサポートしたいのか」をまずは考えてください。

市販のインソールは、すでに全体的にサポートされているため、「特に①であれば内側のアーチを意識して選ぶ」といった方法がおススメです。

ヒトの足は十人十色ですので一概にこれが良いとは言えませんが、①~④を参考にしながら購入をしてみてください。


オーダーメイドインソールのポイント

市販ではなくオーダーメイドのインソールを作成する時に、知っておくべきポイントは、個人個人の「からだの特性」や「動きの特性」を踏まえたうえで、形や素材を使い分け作ってもらうことです。

ある論文では、一概にクッション性が高ければ走りやすいとか、硬いインソールの方がパフォーマンスは向上するといった結果にはならないことが報告されています。

0‘Leary K,et al:Effect of cushioned insoles on impact forces during running.J Am Podiatr Med Assoc 98:36-41,2008


インソールの種類や素材は幅広く存在していますが、オーダーメイドインソールを作成する時に大切なのは…

自分の「からだの特性」や「動きの特性」を踏まえたうえで、素材や形状を使い分けて作ってもらう
ことです。

どんなにたくさんの種類や作り方があっても、このポイントは変わりません。

是非、「体の特性」や「動きの特性」について教えてくれるところでオーダーメイドインソールを作成してみてください。たくさんの発見が得られると思います。


※インソールを作成する場所の選び方についてはこちら
(医療従事者がこっそり教える、オーダーメイドインソール(足底板)を作る時のポイントより)


最後までご覧いただきありがとうございました。

【参考文献】
・財前知典 他:インソールのバイオメカニクス.臨床スポーツ医学 33(1): 12-17, 2016.

・0‘Leary K,et al:Effect of cushioned insoles on impact forces during running.J Am Podiatr Med Assoc 98:36-41,2008

・Landorf KB,et al:足装具と外傷・障害.EBMスポーツ医学.西村書店,39-47,2011

・大久保衞:インソールの役割.臨床スポーツ医学 34(4): 356-361, 2017.

・安井哲郎:外反母趾の保存療法.Loco CURE 2(2): 168-171, 2016.

・橋詰 謙・他:立位保持能力の加齢変化.日本老年医学会雑誌,23:85-91,1986

元気で明るいのが自慢の元明のサポートをお願い致します。 頂いたサポートは、娘と息子のために使わせていただきます。