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形態構築アプローチの概念と診方 その3

書籍「形態構築アプローチの理論と技術」を持っていない、知らない人は知っていただくために(^^)/
持っている人は書籍の内容がより理解できる様に、そして臨床で活用できる様に、弟子の土屋元明が研修で学んできた事を踏まえて解説。
今回は、基本動作に対する考えとアプローチのポイント(運動域の重要性)についてです。是非一読くださいm(_ _)m
理学療法士 土屋元明


動作がいかに楽に行えるかを重んじる

私たちが意識せずとも普段から行っている基本動作(寝返り、立ち上がり、歩行など)を根源的運動といい、多くの人が発達の段階で遂行できるようになる動作を指します。

そしてこの根源的運動は遅筋線維を多く動員した動作であることが特徴として挙げられます(図9)。

反対に、スポーツ動作のように練習をしないと遂行できない運動を特異的運動といい、遅筋線維だけでなく速筋線維も動員しなくてはいけない動作であることが特徴として挙げられます。

運動は大きくこの2つに大別され、形態構築アプローチでは根源的運動である基本動作がいかに楽に行えるかを重んじています

理由は「動作において脳は、楽と感じる方を選択する」からです。

ヒトという動物の脳は、痛みがあれば簡単に逃避し、動かないように働くのです(安静時筋緊張の亢進など)。
そしてそれが長期間持続した場合、関節面を安定させるために形を変えるように働きかけるのです(変形性○○症など)。

つまり、動かさない方がよいと感じている脳に対して、動かした方が楽と感じるように形態を再構築するのが形態構築アプローチの重要な考えでもあります。
このため、基本動作がいかに楽に行えるかを重んじているのです。

そして、この形態の再構築とは「形を変えることよりも、運動域を確保することを最優先に考える」ことが非常に重要です。

「運動域」とは山嵜先生が考案した言葉です。
動作を遂行するには「関節可動域」が確保され、その動きに必要な「筋力」が発揮され、そして「身体の各部分がシステム的に動く」必要があります。
このシステム的に動くための鍵を握っているのが「運動域の確保※3」であり、どれだけ楽に動く事を覚えられるかに繋がってきます。

例えば、立位で頭部を左へ回旋してみます。
頭頚部と上位胸椎は駆動源となるため、関節可動域の確保が重要となります。
そして、下位胸椎から足部は固定源となるため、動きを支える筋力が重要となります。

そして頭部左回旋時において、体幹は僅かに(1㎜程の範囲で)右へ移行し、足部は右内反左外反のわずかな動きがシステム的に動く必要があります。

こうしたわずかな動きの範囲が運動域です(図10)。
運動域の確保が動作を楽にするポイントであり、アプローチとして最優先に行う事が大切なのです。是非覚えておいてください。

その後に立位形態をどの程度変えても良いのかを動作を含めて確認していく事が一連のアプローチの流れになります。

※3:運動域
運動域を確保するための手技は書籍「形態構築アプローチの理論と技術」に記載されているもの以外にもたくさんあります。実際にAKAやそれに近い手技を用いても運動域の確保は可能です。大切なことはこの概念を知り、自分で応用することです(^^)/

今回は、基本動作に対する考えとアプローチのポイント(運動域の重要性)をご紹介しました。次回は各基本動作においての運動域確保のポイントについてです。

形態構築アプローチという考えに少しでも興味をもっていただいたり、再び興味をもっていただければ幸いです。一緒に学んでみたいという方、少し興味のある方は是非ご連絡ください(^^)/
Facebook(土屋元明)からでもnoteからでもご連絡お待ちしております。


動きのこだわりテーション 代表 土屋元明
理学療法士/JMFS常任理事

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