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学習塾で1年働いてみて

1年間の「先生」経験

去年の7月から、個人指導塾で働いていました。ちょうど今月で1年になります。

小学一年生から高校三年生まで、理科以外は全て教えました。お陰で相手の理解度に合わせて説明する、相手に合わせて話し方やトーンを変える、というスキルが身につきました。

一時期は週4日働いていました。我ながらすごいです。

正直(覚悟していたとはいえ)超がつくほどブラックでしたし、大変なことも辛いことも多かったですが、それでも本当に楽しかったです。

体験授業を受け持った生徒が入塾後私を指名してくれたり、生徒が「志望校合格したよ!」と報告してくれたり、満点のテストを持ってきてくれたり、卒業後に会いに来てくれたり、私の誕生日に折り紙を作ってきてくれたり。
皆の成長をそばで見ることができて、成長に関わることができて、本当に幸せでした。

そんな塾を、来週で辞めます。

生徒が誕生日にくれたイルカ

私を支えてくれた経験たち

塾では、今までに様々な場所で学んできたことを精一杯活かすことができました。

例えば、教育ボランティアで学んだ「ナナメの関係」。
「先生」と呼ばれるとどうしても上下関係だけになりがちですが、「私が教える-生徒が教わる」だけではなく、生徒からも色々なことを学ばせてもらいました。
塾は勉強する場所ですが、学校でも家でもありません。教師でも親でもないちょっと年上の大学生という立場であることで、何かできるはずだ、と思っていました。あくまで赤の他人であるからこそ、学校の先生や親には言えていないことを、ぽろっと漏らしてくれることもありました。

4月から並行して始めたインターンで学んだことも、たくさん応用しました。
たとえば「集中できる環境を整える」ということ。「この生徒は全然集中力がない!」「話を聞いてくれない!」と考えてしまっていましたが、実は環境を整えたり、私が工夫したりすれば解決できることもあるのではないかと気付きました。
使わないものは机の下にしまう、「授業の準備して」とざっくりした指示ではなく「まずノートを出して」「次に筆箱を出そうか」と具体的に伝える、生徒と「何分でこの問題解いてみる?」と相談して目標を決める、などできることはたくさんありました。
「生徒の問題」で片付けてしまっていたことを反省しています。
また、答えをただ教えるだけではなく、まずは生徒に考えてもらう、ということをより大事にするようになりました。

そして議員インターンで秘書さんから学んだ、ちょっとしたコミュニケーションの大切さ。
授業の前後や合間に色んな話をしました。学校であったこと、休日の予定、家族のこと、友達のこと、将来のこと、たくさんお話ししてくれました。それらの話は全く勉強には関係ありませんが、信頼関係を築く上では不可欠だったと思います。
担当している生徒以外ともよく話していました。「先生が辞める前に先生の授業受けてみたかった」と言ってくれる生徒がいて、申し訳ないのと同時に、すごく嬉しかったです。
生徒だけではなく、同僚の先生たちともなるべく話すようにしていました。生徒の成長を一緒に喜び、受験の時期は皆で一喜一憂しました。
そういったコミュニケーションの大切さは、議員を支える秘書さんの姿から学びました。ほんの一言、ちょっとした雑談が、その後の関係に大きな影響を与える、と知りました。

「好き」だけでは続けられない

この1年で私は大きく成長しました。強くなりました。
先生という仕事が大好きです。
でも、このままずっと続けていくのは厳しい、と思いました。

残業代、授業準備代は出ませんし、授業で使う小テストやプリントを作るのもサービス残業です。毎週3〜4時間ほどかけてプリントを作っていた時期もあります。
引き継ぎ書の記入なども、全て授業内にやらなければなりません。終わらなかったらそれもサービス残業です。
カリキュラムの作成や長期休暇中の宿題の準備など、やらなければならないことは山ほどあります。

今までに作ってきた膨大なプリントの一部


どんなに生徒のことを考えても、丁寧に仕事をしても、評価されないのがだんだんと苦しくなりました。いくら綺麗事を並べても、賃金という形で評価されないのは辛いです。
手を抜くこともできましたが、それはしたくありませんでした。

私がやりたいことはこれ?

また、私のやりたい教育の形はここではできない、と思いました。
生徒の理解度に合わせて授業を進めたくても、カリキュラム通りに学校の予習を進めなくてはなりません。生徒の理解が追いついていなくても、学校の進度に追いつかれないよう、どんどん先に進めなければなりません。

一番大切なのは学校の成績を上げることや受験に合格すること、そして保護者の期待に答えることで、生徒の成長は二の次です。
一人一人ともっと深く関わりたくても、常に時間に追われてしまいます。

塾の性質を考えれば仕方のないことですが、「本当に私のやりたいことはこれなのか」という疑問が浮かびました。
一人一人と向き合うよう努力してきましたが、そもそも性質や求められていることが違うので、私の工夫や裁量だけではどうしようもできません。

もっと一人一人の成長や学びをつきつめたい、同じ目線に立ちたい、と思いました。

そして、「そろそろ次のステップに行こう」と決めました。

築いてきたものを引き継ぐ

特に求められてはいないのですが、引き継ぎのプリントを作りました。
生徒たちと今まで話してきて知った、皆が好きなことや興味があること、将来の夢、得意なこと、苦手なこと、たくさん書きました。勉強に関わることも、関わらないことも書きました。
次に担当してくれる先生がどうかこれを読んで、生徒に寄り添ってくれるように、と願っています。

今までに作った大量のプリントも、整理してパソコンに残してきました。

これで一区切り

塾で担当してきた生徒たちに私は何か残せたでしょうか。勉強以外に何か私から学んだこと、身につけてくれたことがあれば良いと思います。

そして私も、塾で学んだことをこれからも活かしていきます。

来週は笑顔でお別れしたいと思います!

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