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言語の世界はにぎやかであってほしい:満員御礼の御礼に代えて

TUFSオープンアカデミー、2023年度秋期間の募集が先月から行われておりましたところ、本日どうやら「トルコ語初級II」クラスが満員になったようです。いやいや、ほんとうに。毎度のことながらありがたきことです。Tanrıya şükür.

トルコ語のみならず、多くの言語を講座コンテンツとして提供していることで一躍有名になっている上記講座ですが、私たち講師陣は募集がかかっている間、どの言語にどれぐらい応募が来ているかというのを教えてもらっております。

で、"X"のほうでも少し言及したのですが、トルコ語というのは自分が担当し始めて以来、ありがたいことに定員いっぱいまで届くかどうかというところまで毎学期応募をいただいております。

気がつけばトルコ語も、人気の「外国語」になっているといえるのではないでしょうか。もっとも、この語学が対面なりオンラインなりで開講されている教育機関ははたしてどのくらいあるのかということを考えれば、手放しで喜べる状況でもないということは依然としてあるのですが。たびたびこの手の話をするときに言及するのですが、私個人の実感として1990年代後半、「トルコ語を専攻しています」といった時の周囲の反応の冷たかったことを考えると、最近トルコじたいが世界情勢でかなり目立ってきている(のにくわえて、日本でも報道でよく触れられている)ことも要因にあるでしょうか、世間の(たぶん)好意的な反応には隔世の感があります。

そんなわけで、「オフィスぴの吉」のほうでもトルコ語レッスンのお問い合わせを数件いただいておりますところ、トルコ語に関してはけっして状況は悪くないな、と思っています。今後もさらに人気が出てほしいし、自分もがんばって世の中にアピールできる部分はしていかないといけないなと心に誓う次第です。

で。最近の私の関心がトルコ語以外の言語にも向きつつあるという話もここnoteでしょっちゅう書いていることではありますが、上述のアカデミーのほかの講座の動向もやはり気になります。

たとえば、ウズベク語やキルギス語、タタール語の人気のほどはどうだろうか、とか。いずれも狭い世界のことで、これらの言語の担当講師の先生方とも近い関係にありますのでいろいろと会うたびに情報共有などはしているのですが。テュルク諸語全体として人気が上がってほしいと思うのは、(身内びいきという面もありますが)トルコ語と近い関係にあるアゼルバイジャン語にも手を広げている身からすると自然にわきあがってくる感情でもあるのです。

あとは、テュルク以外の諸言語も。やはり言語ごとに知名度の差、人気の差というのはあるようなのですよね。これは仕方ないとして、問題はあまりにも受講生が少ないとその言語の講座は開講されなくなってしまうということです。

本当にここは難しい問題だなと思います。コンテンツとして提供する以上は利益が出ないといけないですし、しかしその一方で利益のみを追求するのであれば多言語に展開していく必要はないわけですからね。人気の言語だけ残して、その枠を増やしていったほうが採算は取れるということはあるでしょう。

外大という機関は、あえてその流れに逆らうことのできるところだと私自身は思っています。今は統合されてしまいましたが、大阪にかつてあった「外大」で育った身ということもあるでしょうが、自分がどうもいろいろな言語であふれている世界というものを好むという性格だということは言えそうです。多言語LPPの蒐集が趣味になっているというのは、そのわかりやすい具現でしょうしね。

『にぎやかな外国語の世界』と表現したのは黒田龍之助氏が最初だと思いますが、自分も、世の中はそういう空間であってほしいと思います。

まあ、国外からいろいろなものが入ってきて、それを受け入れたという歴史のある長崎で生まれ育った身ですから、こういう性分になったというのはある意味で必然だった…と思い込みたいところでもあります。ともあれ、言葉のヴァラエティを楽しめるような生活を至福としたいなと改めて思います。だらだらと今日も書きましたが、いつものごとくトルコ語満員御礼の御礼に代えまして。Herkese iyi hafta sonları!

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