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【シリーズ】あるじとしもべのダイアローグ(9)

「あるじ」
「…」
「あるじ ねえあるじったらあるじ ただいま帰りましたよあるじ」
「…」
「あるじ?私が戻ってきたと言うのにどうして口をきいてくれないので?」
「うるさい ワイはもうおまいのパパンとママンのあるじになったんや」
「そんな 1ヶ月ぶりの再会だというのに もうちょっとうれしそうにしてくださいよ 私などはもう最後の1週間はあるじに会いたすぎて眠れませんでした」
「寝てないんかぇ」
「いやまあ…寝ましたけど」
「寝とんのやないけぇワレェ フン おまいなんぞもうしもべではありません ワイを捨ててアルゼンチンとかいうとこに2週間も行ってしまうようなヤツなど」
アルゼンチンじゃありませんあるじ アゼルバイジャンです」

「どっちもそない変わらんわぇ おまいはワイを捨ててそのアゼルバイジャンとかいうところに勝手に行ってたんやんけワレェ ワイの許しも得ずに
「またまた〜 ちゃんと行ってきますからねってお話しましたじゃないですか これもテュル活のため、来年以降の『オフィスぴの吉』のお仕事のためっていうので」
「おまいオフィスぴの吉のお仕事言うたかて、入ってくるお仕事だいたいトルコ語のことやんけ」
「今のところたしかにそうですね」
「おまえお仕事のためならトルコに行かなあかんのと違うんかぇ ちなみにトルコはワイの故郷 これ豆知識な」
「あるじ私にそれ言わなくてもわかっておりますとも 一緒に日本に帰ってきたでしょ」
「せやったか?てかおまいは『帰ってきた』かもしれんけどワイからしたらあれよ?日本に『連れてこられた』のよ??」
「まあそう細かいことおっしゃらずに 日本はご不満ですか」
「え?いやまあそこまで悪くもないけど まあなんていうかこう 故郷を離れるつらさみたいのんあるやんけ みなまで言わすなや」
「それはたしかにおっしゃるとおりですあるじ まあともかく、トルコには今回行ってないですよ ただイスタンブルの空港だけは通過しました」

「懐かしいやんけおまい ワイが洗濯ネットに入れられた状態で通過したときのあれやな おまいワイの姿見てあのとき係官がゲラゲラ笑てたやんけ」
「よくそんなこと覚えてますねあるじ いやほら、あんなでかい空港で万一あるじに逃げ出されでもしたら大変なことになるでしょ いたしかたなかった」
「おまい人に笑われたらうれしいですか」
「いやまあ、死ぬほど腹がたちますかね…」
「せやないけぇ おまいワイのことなめとったらどつきまわしたるからな ワイこうみえてけっこう根にもつタイプよ??」
「それは知りませんでしたあるじ てっきりすぐ忘れるタイプかと」
「ワイと4年もいっしょにおってそんなことも知らんかったんかぇ まあええわ それでおまい、アゼルバイジャンや」
「ハイあるじ アゼルバイジャンですね いやあ2週間の滞在でしたが成果ありましたよ それなりに 来年きっと何か弊社の活動に貢献するかと…」
「違うやないけおまい アルゼンチンに2週間おったんやろ」
「アゼルバイジャンですあるじ ハイ2週間」
「計算が合わんやないかおまい 長崎を出たのはいつですか」
「えーと11月29日ですね 東京に1泊しましたから」
「アゼルバイジャンに2週間おったんやろ 何月何日に出てん」
「12月14日ですあるじ」
「ほなおまい、12月15日に戻ってきてなおかしいやんけ」
「そこですあるじ 日本には12月15日に戻ってきていたのですが、そこから14日間は他の人とできるだけ会わないようにしないといけないし、バスとか飛行機とか電車にも乗ってはいけないというきまりがあるんですよ」
「なんでや」
「あるじもご存知でしょ 昨今のパンデミックですよ」
「あーなんかこの2年なんやかんやあっていろいろ大変なアレか」
「左様ですあるじ この時期の渡航ですからどうしてもその14日間の自主隔r…」
そんな時期になんで渡航してん?
「え?」
「そんなめんどくさいことになるてわかってて何をアゼルンチン?とかゆーとこに行こうとしてん ワイを捨ててワイが今日おまいに問いただしたいのはそこです」
あるじアゼルバイジャンです覚えてください あとなんと人聞きの悪いことを… ちゃんとおうちであるじのこと見てもらってたでしょ」
「おまいのパパンとママンが世話してくれたやで お ま い じゃ な く て
「そんな意地の悪いこと言わないでください これもお仕事だったのです いたしかたない…」
おまいトルコ語やらんかぇ アゼルバイジャン語なんかやってる場合か」
「…」
「おまい、オープンアカデミーとかゆーオンラインの講座で何語の担当してますか」
「…です…」
「あ゛?大きい声でしゃべらんかぇ」
トルコ語です…
「トルコ語やないかぇワレェ おまいはトルコ語をやるべきです アゼルバイジャン語とかそーゆーのは来世でやれください」
「そんな無茶なあるじ アゼルバイジャン語もトルコ語の近い親戚なんですよ?」
「なんや トルコ語とアゼルバイジャン語って似とんのかいな」
「面白いくらい似ています まず母音調和が…」
「あーーーーーあ゛ーーーーーいらんいらんいらん そんな話はイラン アゼルバイジャンの南隣はイラン
「おっ あるじちゃんと地理把握してるじゃないですか アルゼンチンとかしょうもない言いまちがいおっしゃって」
「今グーグルマップ見たからね てかワイにしょうもないとかいうな ぴのぴのパンチするやで ていっていっ」
「いたいいたいあるじ あっ爪切ってませんね 爪切らないと」
「いやだ爪切りきらい ワイは爪切りと獣医が大嫌いなんや 寄るなさわるな」
「ダメですあるじ ちゃんと切って、新年を気分良く迎えましょう」
「新年か 2022年のことやな」
「さようですあるじ 来年はどんな1年にしましょうか」
「そらおまい オフィスぴの吉でトルコ語とアゼルバイジャン語とか、なんやよーわからんテュル活いうのんをどんどんやっていく1年にせんかぃ」
「そうなるといいですねあるじ いっしょに盛り上げていきましょう なんせあるじが社長なんですからね オフィスぴの吉の」
「フフンそうやねん ワイは社長です いちばんえらい」
「そうですあるじ いちばんえらいですからね さあもふもふしてあげますからこちらにきてください」
「わーいもふもふして〜… ってそんなうまくいくと思うたか!!!
「あるじ爪を切r…いやもふもふさせてくれないんですか …あっ寝てしまいましたね」
「…zzz」

アゼルバイジャン語辞書の上で寝入る弊オフィス社長

「寝入るあるじ… 寝入る… ねいる… ネイル…」
「…」
「爪 だ け に 」
「…(ツメのあまいオチやでぇしもべ… キレがないわ… 爪 だ け に …)」

(来年に続く!)

今年は、「オフィスぴの吉」実現の年となりました。
6月に届出をして本格的に活動開始以来、細々とですが皆様のおかげで、実態を伴っている以上の活動ができております。ひとえに皆様のご支援のおかげでございまして、あるじとしもべ共々心より感謝を申し上げます。
来年もみなさまとともに、よい1年にしていきたいと思います。どうぞ引き続きご愛顧のほど、よろしくおねがいいたします。Yeni iliniz mübarək!(アゼルバイジャン語で、「皆様もよいお年を!」)

(2021年12月31日大晦日 オフィスぴの吉社員兼社長の部下兼あるじのしもべ 記)

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