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『やり場のない気持ち』から気づいたこと。

8月に入ってから続く身体の重さの要因の一つについて。深く気づいたことがあったから、つぶやいてみようと思う。
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それは 『やり場のない気持ち』
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言い換えると、誰にもどこにも吐き出せずに身体の内側に溜まった感情。
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本来、感情は感じたらシューっと小さくなって消化していく。でも、身体全体を覆う粘着質みたいにずっと居座っているような感じ。汗をじんわりかいて、皮膚がベタついてまとわりついて気持ち悪い感覚にも似ている。
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連日HSP特別外来の予約は満席。
それだけたくさんの方からご要望いただいて、2回目以降も僕に時間を掛けてくださる方がほとんど。
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最近目立ってきたのは、当日キャンセルが多発していること。
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純粋に忘れてた。ダブルブッキング。副反応で。突発的に体調を崩した。仕事が押してた。連絡がそもそもない。などなど。
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どんな理由であれ、それらは仕方のないこと。
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僕自身も連絡したくてもできなかった過去があるから。僕の中で勝手に色んな想像が浮かんでくる。
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行きたかったけど行けなかったかもしれない。
どんな気持ちでキャンセルの電話をしたのだろう?
電話ができないくらい体調が悪いのかもしれない...
予定を忘れるくらい色んなものが溜まっているのではないだろうか...?
僕にもっと何かできなかったのだろうか?
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これは僕の中で勝手に起こっていることだし、クライアントさんの都合だから、組織の中の人に言っても仕方ないこと。
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頭では「よくあることだし」とか「仕方がないよな」と思うようにするのだけど。
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それでも、僕の心の中は晴れない。
むしろ更なる雲が胸の内側を覆い被っていく。
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はっきり自覚したのは、4枠のうち3枠が当日キャンセルという経験をした時。
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担当の先生から伝言を受け取る度に、僕の肩がしゅんと丸まっていくのを感じた。
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頭では受け止めきれないくらいの衝撃。笑顔で先生に「分かりました」と言うので精一杯。
想定していないことが連続で起こると、身体はすかさず反応していくとはっきりとわかった瞬間だった。
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こういうこともある、という経験になったのはとても貴重で大きい。想定外を想定内にできたら、これからの心算もしやすい。起こること全ては学びだと思う。
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これらは、僕が感じていること。
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15分歩いて駅に向かって、ホームで電車を待つ間。汗が止まらなくて、服がぴたーっと張り付く。ハンディ扇風機の風を首元に当てながら、周囲の人に変に思われないかを気にしながら落ち着かせる自分。
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コロナ禍で電車に乗ったり、人混みの中を歩くのでさえ怖いという気持ちをどうにか折り合いをつけながら、心理的境界線を引いてクリニックに向かっている自分。
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電車のガタゴトとした音やキーっとした音が、イヤホンから音楽を聴く上からハッキリ聞こえてきて気になる自分。
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この体感は全てクライアントさんと対話するのに大切だと思って、冷静に分析しようと考える自分。
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余計なストレスを溜めないように、日々禅的瞑想やみえるからだほぐし®︎を取り入れる。自分がまずは心身ともにゆるめている状態を保とうと言い聞かせ続ける自分。
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自分でできること以外はコントロール出来ないのだから、今できることに心を込めたらいいよ、と自分に語りかける自分。
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お一人40分という時間を無駄にしないように、30分早く来て一人一人何回もカルテを読んで、今度はどんな流れで進めたらいいかな?と考える自分。それでも「今」の状態を伺った上で、今必要なことを共に考えながら作り上げることを大切にする自分。
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そうやって、誰にも求められていないことでも、できる限り心配りをしたいと行動する自分がいる。
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そうやって、色んな想いがのっかっているからこそ、リアルの空間でできる限りのセッションを提供したいと思う自分がいる。
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全ては全部自分で決めたことなのに。
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なんだか挫かれたように感じてしまった。
凄くやるせないし、切ない気持ちになってしまった。
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2週間に一度受けたくても予約がいっぱいで1ヶ月先になってしまうクライアントさんを知っているから尚更。
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心理セラピーやクリニックの印象が良くなかったけど、僕のセッション受けて好意的に捉えてくれて「宇賀神先生に会えるのが楽しみ」と言ってくれる方が、予定が合わなくて落ち込んだ表情を見ているから尚更。
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そんな気持ちを抱いたまま、
色んな人の顔を思い浮かべながら帰途についた。
電車の窓から移りゆく風景を眺めながら、ゆっくりとため息をついた。
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家に帰ってきて、ずっと身体が重い。眠い。
本来なら奥さんが帰ってくる前から、ご飯の準備をするつもりだったのに。何にも出来ないままソファでぐったり。
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奥さんが淡々とご飯を用意してくれている中、頭では「手伝わなきゃ」と思うけど、どうしても身体が動かなくてもどかしい。
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それでもなんの素振りも見せずに「なんか飲む?」と聞いてくれる奥さん。
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最近の僕の様子を見て、ご飯を作る気力がないと思ったのか、お惣菜などを買ってきてくれる奥さん。
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今できることはやりたいと思うから。
用意してくれたご飯は全部食べたかった。
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炊きたてのご飯だったから、できる限りまで食べたかった。
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だけど、途中から気持ち悪くなってきた。
お腹が強く張っているのを感じた。
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あと一口分のコロッケが入らない。
あと一口分のご飯が入らない。
あと一口分の味噌汁が入らない。
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すでに食べ終わっている奥さんの隣で、一人強がっていた。「大丈夫?」と聞かれて「うん、大丈夫」と小声で答える僕。
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普段こんなに食べられないことはないし、無理することもないのだけど、何故だかその時は強がっていた僕がいた。
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やり場のない気持ちを、どこかで守っていて、奥さんにも悟られたくないって思っていたからかもしれない。
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結局、40分休んで全部食べ切ったけど。
そのあと2時間は動けなくて、ずっと切ない気持ちだった。
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鈴虫の鳴き声が窓の外から聞こえてくる。
夏から秋に変わるメッセージのように。
2人で肩を寄せ合いながら、ただただ佇む夜。
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「ちょっと言ってみようかな」とふと思って
奥さんに、この気持ちを言ってみた。
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そしたら「病院ではよくあることだけど、それは切ないね」と言ってくれた。
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きっと、僕の感じていることの全ては伝わってないと思うのだけど、聴いてくれただけで凄く安心した。
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この安心感は、6年半前に自殺未遂して職場産業医に今までの辛い気持ちを初めて言った時の感覚に似ている。(人に自分の気持ちを言うことが怖かったけど「言っても死んでない。言ってもいいんだ!」という驚きとゆるみを含む)
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あぁ、それだけ色んなことを溜めていたんだな。
その日の感情はその日のうちに対処できてると思ってた。けど溜まってたんだね。
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気づいてあげられなくてごめんね。
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自分に正直になれた瞬間だった。
そしてそんな時間が愛おしく思えた。
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優しい虫の声が心を穏やかにしてくれた。
奥さんのあったかい気持ちが、手のひらから伝わって嬉しかった。
僕の内側に溜まったものが何かが分かって安心した。
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ありがとう。
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この気づきを大切にしながら、
これからも目の前の方と心を込めて対話しよう。

今日もお読みくださり、ありがとうございました。

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