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【初級編】スタートアップが注視すべきバックオフィスとは?

バックオフィスの重要性を認識し、バックオフィスの整備を開始するも、システム導入に失敗してしまった経験はないでしょうか。また、業務の効率化を目的に整備したにもかかわらず、逆効果となってしまってないでしょうか。

本記事では、バックオフィスとはどのような業務を行なっていて、なぜ重要なのか。また、スタートアップが注視するべきバックオフィスのシステムについて、導入の際の失敗例を交えて紹介します。

バックオフィスとは?

バックオフィスとは、どのようなことを行っているのでしょうか。まずは、バックオフィスの目的や役割、その重要性について紹介します。

バックオフィスの目的

スタートアップにおけるバックオフィスの目的・役割とは、「企業の社会的な責任を果たすために、経営を持続的に支えていくこと」です。
バックオフィスの目的は様々ですが、スタートアップにおける最も重要な目的は、「企業の事業成長に貢献すること」といえます。バックオフィスと言ってもその業務は多岐にわたります。例えば、以下の4つが挙げられます。

  • 契約関係業務やコンプライアンス対応

  • 人事制度の整備や人材採用、労働管理

  • 経営資金の調達や会計業務、予算管理や請求書の発行

  • 機関システムの運用や保守、セキュリティ対策

これらは一部で、他にも様々な業務がありますが、これら顧客と関わることが基本的にない職種や業務の総称がバックオフィスなのです。

バックオフィスの重要性

「バックオフィスはコストセンターとしての性質しか持たない機関である」という認識しか持たず、その本質や重要性が理解できていないことが多くあります。
この認識は誤っており、バックオフィスとは、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった、ビジネスにおいて欠かすことのできない要素の管理を担っています。そのため、バックオフィスは開発や営業、マーケティングなどのサポートを縁の下の力持ちとして支えているのです。
会社を成長させていく上では、経営者のビジネスモデルや考え方、企業理念や文化を把握できていることも必要です。バックオフィスは、いわば「適切な経営管理を実施し、経営に必要な戦略や判断を実行する土台を整備する機関」であり、会社を成長させるために欠かすことのできない存在なのです。
つまり、バックオフィス環境をしっかりと整えることにより、会社が持っている経営資源を最大限活かすことができるようになります。これにより、生産性の向上や業務改善、より精度の高い経営判断の実施にもつながるのです。

バックオフィスにおけるSaaSの利用

「スイート型」と「ベスト・オブ・ブリード型」のどちらが企業システム全体を設計する上で有用であるかという点については、しばしば議論が行われてきました。

スイート型とは、オールインワン製品を取り入れ、全体の業務やデータをその製品に統合管理する手法です。
ベスト・オブ・ブリード型とは、企業システムやソフトウェア、データベース構築において、最適な製品を選定し、組み合わせるアプローチの手法のことです。ベスト・オブ。ブリード型では、アーキテクチャやベンダーの違いにかかわらず、各分野ごとでそれぞれ最適な製品を組み合わせることが可能です。

昨今、インターネットやクラウドサービスが普及したことにより、SaaSのみではなく、モバイルやソーシャル、AIやビックデータのような多様なテクノロジーが企業システムに関わるようになりました。これに伴って、バックオフィスのシステムも「ベスト・オブ・ブリード型」にマッチした時代へと変化しているように感じられます。既存のシステムだけでなく、新たに登場したテクノロジーも取り込みながらビジネスの加速を図ることが企業として必要不可欠となっています。そのような状況から、SaaSを利用したベスト・オブ・ブリード型を採用している企業が増えています。

バックオフィス業務において、各領域にSaaSを取り入れる場合に重要なポイントは次の通りです。

  • 会社全体の業務フローを整理すること

  • 業務フローのみではなく、データフローについても整理すること

また、SaaSを取り入れる際に最も大切なポイントは、上記2点の整理を行なった上で、自社のシステムに合わせた「業務フローの再設計を実行する」ことです。
これは、SaaSのコンセプト自体が「それぞれの企業が行う業務にチューニングして開発・カスタマイズを行うもの」ではなく、「ベストプラクティス」を想定した設計がなされているためです。そのため、SaaSを取り入れる場合は、従来の業務フローに囚われることなく、やり方自体の見直しや再設計を行うことが大切となります。これによって、本来の意味でSaaSの活用ができ、業務効率化に繋げることができるのです。

株式会社ufu社のシステム構成図

スタートアップにおいて初めに整備する必要があるのが労務に関する部分です。入社手続きや給与振り込みのフローの整備は大切です。その他にも企業文化の基礎といえる就業規則の整備も必要です。その際に便利なのが「free 人事労務」や「SmartHR」「Money Forwaed」です。
次に重要となるのが経理です。経理関係では、「free 会計」や「Money Forwaed」を用いて会計データの集約を行っています。そのデータを使い、領域ごとの専門のSaaSの導入を行なっています。

このようなベスト・オブ・ブリード型を採用してバックオフィスシステムを導入する場合、SaaS連携についてしっかりと確認しておくことが大切です。

SaaS連携をした場合に起きる失敗

SaaS連携を行なった場合に発生する失敗例について、よくあるものを3つ紹介します。
データの不整合や矛盾
SaaSツールを複数使用し、同類のデータ管理を行なっている場合、データの不整合を引き起こしたり、矛盾が発生してしまう場合があります。原因は、正しい方法や正しいタイミングでデータの同期が行われていないことが考えられます。
このことにより、ビジネスに対して次のような悪影響が及んでしまうことが想定されます。

  • データの利用を行う現場での混乱

  • 最新データをもとにした意思決定ができなくなる

  • データ確認・再入力に対する工数の増加

データの損失
SaaS連携をAPIを介して行う場合、不安定なAPI接続を要因としてデータの受け渡しや連携が適切に行えなくなってしまうことがあります。API接続が不安定になる要因は、何らかの理由でAPIの修正や廃止が発生し、接続エラーが起こってしまうことが考えられます。
接続エラーでは、場合によってはデータの損失やビジネスの中断が起こり、大きな被害をもたらす可能性があります。
情報の漏洩や不正アクセス
種類の異なるセキュリティやプライバシー方針を有するSaaS同士を連携した場合、時には不正アクセスや情報漏洩のリスクを増加させることに繋がります。それぞれのSaaSが、プライバシーポリシーやセキュリティーポリシーをそれぞれ異なるレベルで定めていることにより発生する可能性があります。
そのため、複数のSaaSを連携する際は、それぞれのサービスのプライバシーポリシーやセキュリティーポリシーを確認し、検討した上で実施しなければなりません。

まとめ

今回は、バックオフィスの重要性やスタートアップが注視するべきバックオフィスシステムについて紹介しました。

バックオフィスの業務は、わかりやすい形での活躍の場があるわけでないことで軽視されてしまいがちですが、会社経営においては欠かすことのできない大切な要素です。

スタートアップの経営者の方や、これから企業を考えている方はぜひバックオフィスシステムの整備を検討してみてはいかがでしょうか。