エモい

 言葉の移り変わりは早い。日本語は乱れたりとかなんとか言うけど、言語ってそんなもんだ。技術革新に合わせて新しい言葉も生まれるし、昔の言葉が新たな意味を持って使われたりもする。そんな、面白い言葉。

 エモいって最近よく使われている。元々はエモーショナルって意味だけど、今はかなり広義になっています。感動・感情が動く、みたいな。かなり人によって幅があるものです。

 僕がエモを知ったのは、パンクロック・メロコアから。ハイスタからハワイアン6、エルレガーデンでより洗練されていった。もともとのパンクはシンプルで強いメッセージを強く発信するものだったけど、ハイスタの曲の中にはそうではなく、少年から大人への変わり目の曲や、辛いこともある人生への讃歌が点在していた。「Brand New Sunset」「The Sound of Secret Mind」や「Growing Up」など。「Stay Gold」にもその要素はあるかも。底抜けに明るい「New LIfe」とか「Mosh Under The Rainbow」とはまた少し別物。

 ハワイアン6は「僕」や「君」について唄いながら、普遍性のあるメッセージを届けようとしていた。それは儚さとか脆さとか。ただ頑張れっていうだけじゃ収まらないこと、ダメなものに対してダメだと言っていても何も始まらないこと。聴きおわると、なぜか少し寂しい気持ちになる。そしてエルレガーデンは日本語で、メッセージ性の強いエモを掻き鳴らした。

 この後、エモいという言葉を聞かなくなり、少しずつ忘れていった。銀杏BOYZやガガガSPに代表される青春パンクも流行った。175RとかSTANCE PUNKSとか。好きだったけども、エモではないんだなあ。エモはただ青春を高らかに謳い上げるというよりも、シチュエーションというか、想定に郷愁や懐かしさ、切なさを持てるかどうかなのではないかと勝手に思っています。最近使われているエモいとかなかなかに違う。

 写真とか映像から感じるエモいと、根本的に何かが違う。それは唄とメロディーから感じるものとして捉えています。

 最近頭に残った曲がある。今更だけど、あいみょんの「君はロックを聴かない」。なんで残っているのか分からなかったけど、聴き続けていたら分かった。これは僕が好きだった郷愁だ。それも、バンドではなく、一人の想いによる郷愁。十年経って新しいことに気付いた。これだから音楽っていい。

誰にでもあること、自分に寄り添ってほしいけどそうはいかないジレンマ。これまで僕が聴いてきたエモは人生を唄うものだったけど、それは個人の身近な世界の物語でもあったんだ思った。

 「君はロックを聴かない」は最高にエモいロックなので、君にロックを聴いてほしい。「ロックなんて」なんか言わなくてさ。

 だって、僕はこのたくさんのロックを聴いて、恋や色々なことを乗り越えてきたんだから。

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