話すのが下手な人の条件とはなんぞや?

 職業柄、誰かの前で話をする機会と誰かの話を聞く機会が多いです。というか、毎日か。そんな時、当たり前なんだけども、同じ内容であっても話が面白い人と、つまらない人がいますね。話すのが上手い人とヘタクソな人って感じ。

 上手い人の話っていつまでも聞いてられるし、逆にヘタな人の話は2分で飽きる。そこで、今回は自分への戒めも込めて、話がつまらない人の特徴をまずは挙げてみましょう。

 ① 話が長い

 これは単純に飽きる。最初は聞く気でも、時間が長いと人間は別のことをしたくなるし、何を言いたいのか、要点が掴みにくくなるものです。そして徐々にイライラしてきます。「結局何が言いたいんだろう」「私の時間を返してくれ」という気持ちになる。

 まずなんで話が長くなるかっていうと、話す側が何を伝えたいのか整理できてないから。つまりは準備が足りないんですね。長くて且つ人を惹きつける話をするのは本当に難しい。ある説によると15分が限界らしいけど、15分でもしんどいです。「早く終わってくれ」って一瞬感じると、もう駄目です。時間が決まってても余らせればいいじゃんってならないのが日本人の性質だと思う。そこはきっちりしてるんです。良いところでもあるんだけどね。でも、別に余っても良くない?その分、自分の時間が増えるから嬉しいんだけど。だらだらと長い話にほとんどの場合需要はありませぬ。

② 同じことを何度も話す

 これも飽きる。だってさっき聞いた話だもんね。一回話した話はもういりません。強調したいなら、せめて言葉を変えればよいのです。だいたい、話がおもんない人は、それほどおもろいエピソードもないから同じことを気付かないうちに話してるっていう感じ。でも前にこっちは聞いてるからね?そんな退屈なものはないよ。聞き手は、新しいなにかを聞きたいんだから。だいたいの同じ話は前に聞いたことです。

 これがひどくなると、目的は違うのに同じことを話す場合もある。「いや、前に聞きましたよね?」って盛大にツッコミを入れたくなるんです。しかも、そういう人に限って、「どこかで話したかもしれませんが」という前置きを入れます。いや、認めたらあかんやん。分かってて退屈な話しないで。

③ 自分の事ばかり話す

 話し手自身のことを知りたくないわけじゃないんですよ。でも、気を付けないとただの自慢になってしまう。いや、そもそも話の目的は?知りたいのはそこじゃない。具体例は大事だけど、主張(考え〉が聞きたいんだよ。だいたい、自分の過去は美化されるから、よっぽどのことがないくらいそんな悪くは語らない。主張の為に必要な話として盛り込む以外に、だらだらと語られる自分の話はいらん。こっちにとって、あなたの個人情報はあなたにとって重要でも、わたしにとって多くは取るに足らないもの。

 話す主体は「話し手」だけども、あくまで客は「聞き手」。ホストの役目は客をもてなすことなんだから。主役はあなたでも、そう判断するのは聞いてる人たち。そして、目的は彼らに向けたもの。

 さて、この3点から整理すると、大切なのは「目的」だということが分かってきます。長い話をすることで、「目的」は曖昧になっちゃう。同じことを話しても、「目的」は達成されない。自分自身を伝えることは「目的」ではないからです。

 では逆に話すのが上手い人とは?話が短くて、同じことを話さず、自分のことを話さない人。極端に言うと、めっちゃ簡潔に目的のみを話すことだな。実はこれが基本なんですね。箇条書きでもいいくらい。文書作るときにはなるべく簡潔にするでしょ?それと同じです。

 木下是雄さんの「理科系の作文技術」を大学生の頃に読みました。ド文系の僕にとっては、とても新鮮だったのを今でも覚えています。「伝える」のは本当に難しい。そのためには、頭の整理と表現の整理の2点が必要。どちらかだけ出来ててもダメ。

 頭の整理だけ出来ていても、表現が下手だと単純に意図が上手く/正しく伝わらない。表現の整理が出来ていても、頭の整理が出来ていないと、無意味な情報が情緒なくたらたらと並ぶ。そこに伝えたい意思が見えなくなる。

 話が上手い人は、多分にバランスが取れてるんだと思う。伝えたい情報を簡潔に。論を補填するために自身の体験を含めた具体例を入れて、時にはユーモアも混ぜる。飽きさせない工夫と意思と手法。その全てのバランスがあってこそ、僕らの思いは誰かに届くんでしょう。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?