混沌キャンディ
「ファジーネーブルの匂いで」
寝ぼけ眼でつけっぱなしにしていたYoutubeから流れてきた曲が、二日酔いの頭にふと残っていた。そういえば昨日の飲み会の三次会であの子が頼んでいた気がする。あの子は誰だったっけ。名前も知らない。とにかく頭が痛くて、水道からコップ一杯の水を飲んで転がっていたアイコスを吸う。
全然落ち着かない。体調も最悪だ。幸運にも、今日は何もないからしばらくは寝て居よう。布団に寝っ転がって、タオルケットを被る引き籠り。今日一日は多分無駄になる。飲みすぎた翌日、もう二度とこんな酒は飲まないって誓っても、一週間以内には同じことをしている。大学生としては健全かもしれないけど、まあ馬鹿なんです。そして周りも同じようにみんな馬鹿。
広告で流れてくる音楽は嫌いじゃない。全然知ることのなかった音楽を自動的に聴くわけだけど、全く新しい余地を残しているってのが、他にないから。新しいものに出会う経験はそこまで多くないから、好き嫌い関係なく一度は見てみたくなるし、聞いてみたくなる。
ファジーネーブルを初めて聴いた時のことは、あまり覚えていない。でも、どこかで懐かしい懐古主義な的なものだということは覚えていた。皆にお勧めしたいけどね。ただ良いだけの曲は本当にたくさんある。でも、どこかで引っかかる(いい意味で)曲はそんなにない。
コットンじゃない混沌。でもあのメロディは混沌の中に意志を感じた。~したい。という言葉。スリーピースだけど太いリフと確実に刻むドラム。シンプルな構成でこれだけ聴かせるバンドは珍しい。
今日は飲まないでおこう。そうやってパソコンをつけっぱなして流したままに目を閉じるとラインが来た。知らない名前。
「また飲もうね」
だから?既読にしないように、頭が正気に戻るように。そう願ってもう一度目を閉じた。
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