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【散文集②】散歩

 散歩しているようで散歩になってない。

散歩しながら考え事をしてしまっているのだ。

 散歩に集中しなければ!

 妙にスポコン根性が芽生える。

 だって、せっかく散歩しているのに、頭の中は仕事でいっぱい。

 なんのこっちゃだ。

 散歩といっても、だいたいの道順は決まっている。だから、はじめてその道を散歩した日と比べると鮮度は下がる。しかし、モチベーションはそのままだ。

 なぜなら、同じ道でもそこを通る人や途中の畑の様子に変化がみられる。

 同じ道、同じ建物の間を通っていても、以前と感覚が違うと全く違う道を歩いている感覚になる。不思議な感覚・・・

 新鮮じゃないようで、実は新鮮・・・

 そう自分の目の中にひとたび情報が入ってくれば、たちまちにして別世界が拡がる。

 意味のないことを散歩しながら考えていると、ふと自分がこの地球上に暮らしていることを実感できる。

 普段、仕事に追われている時の方が、むしろ幻想の中にいるかのようだ。

 現実を直視すると、正直恐怖だ。

 ただ自分が立ち尽くしている。

 そんな恐怖から逃れるためにわたしたちは、日々がむしゃらに仕事に奔走しているのかもしれない。

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