サレ男のきろく ~私~

浮気されるのは初めてではない。

学生の時、元カノのYに数回に渡って浮気をされた。
飲み屋で出会ったR大学の教授、外国人のよく集う居酒屋で出会ったセネガル人、ゲストハウスで出会った同い年の大学生。

何故、私の知るところに至ったのか。
Yは好きではない他人とのセックスを「悪」とは思っていなかった。
だから、そういうことがあったと、ことあるごとに私に報告してきた。
何ら後ろめたさのない自白、良くも悪くも、私はYのことを隈なく知ることができた。

私の初めてのサレ経験。
苦しくないわけがなく、そして若さも加わり、私は自供する、Yへ暴力を振るうこともあった。

ただ、今回、Yへは感謝を述べたい。

なぜ?
妻との入籍が去年の11月、今年の9月に結婚式を迎えるタイミングで不倫が発覚。
普通であれば自暴自棄、当事者への非理性的な攻撃、精神的な病の発症、そして自殺に至ることまでも、想像の範疇だ。
だが、私の人生の中で、サレることが初めてでなかったおかげで、これらのネガティブな行動を抑えることができている。
Yは今回の為に、私に良き種を播いてくれていた。
ありがとう。

サレ男は、ひとつの性格なのかもしれない。
私の場合、色々なことに興味があり、奔放な行動力を持つ女性がタイプだ。
翻せば、"そういうこと"も起こりやすい。
そういう女性を好きになる道理上、性格の一部として背負っていかなければならないのかもしれない。
浮気ができない美人より、浮気もできる奔放な不細工の方が好きになれる。

「不細工」という表現は、柔らかい類似表現が見つけられなかったので、とても失礼だが、文章に使わせてもらった。
申し訳ない。

サレることは初めてではないが、浮気は慣れることはない。
一言で括れるものではなく、その種類は多様に渡り、全ての当事者へ牙を剥く、魑魅魍魎が跋扈する空間だ。

私、妻、そしてEは、そんな空間へ足を踏み込んでしまった。
サレ経験者の私は、ショックへ浸るのをほどほどに、魑魅魍魎どもを手懐ける行動に出たいと思う。

まず、その牙は、Eへ。

                                                                                                       

                               2022.06.27

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