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組織フェーズごとに考える、スタートアップのデザイナー採用 前編

突然ですが採用担当者のみなさん、デザイナー採用に苦戦した(している)、もしくは採用できてもチームに上手くフィットしなかった経験はありませんか?僕は結構あります。ここ数年間毎月のように「良いデザイナーを紹介してくれませんか?」と連絡いただくことからも、世の中の企業の皆さんも困っているのだろうなと感じています。

ただ、沢山の相談をいただく中でヒアリングを重ねてみると、ほとんどケースが「採用要件を整理せずに漠然と良いデザイナーを求めている」場合が多く、それが原因でつまづいている方が大半でした。その結果、例えば以下のようなパターンに陥っているケースをよく耳にします。

🙅あらゆるスキルを備えた人を求めていたが、どこにもいなかった
🙅何となく優秀なのは分かるが、明確な判断基準が無く採用できなかった
🙅採用はできたが、期待するパフォーマンスが出なかった

デザイナーに限らず事前に要件をクリアにすることは採用活動の基本ですが、専門的なロールが対象の場合はその要件が曖昧なまま進めてしまうこともあると思います。専任の採用担当者が不在のスタートアップにおいては尚更です。この記事ではデザイナーの採用要件を整理する上での基準を共有する事を目的に、具体的な採用アクションも交えながら以下の3つの組織フェーズに分けて説明したいと思います(長くなったので前後半の2記事に分けて書きます)

①創業期 : 創業者+数名規模
②シリーズA : 10〜30名規模
③シリーズB以降 : 30〜100名規模

①創業期のデザイナー採用

このフェーズの採用が最も難しく、事業ドメインや文化によって要件が大きく分かれるフェーズです。一旦前提条件を揃えるために、B2C事業を展開するスタートアップだと仮定して人物像とスキルを整理してみます。

1. マクロな体験設計からUIやグラフィックデザインまでこなせる幅広いデザインスキル
2. エンジニアリングへの理解(できればフロント実装も)
3. プロダクトマネジメントの経験
4. 不確実な状況に対応できるアジリティやメンタルの強さ
5. デザインワークへの執着の低さ

上記に加えて、B2Bであればドメインに応じた専門的な知識が求められます。また、ファウンダーとしての参画であれば経営や事業づくりの経験や理解も求められます。「こんなスーパーマンいないでしょ」と思うかもしれませんがその通りで、こんな人は滅多に採用できません。なので、他のメンバーも含めて足りない能力を補間する前提で要件を固めます。補間できない空白が増えるほど、チーム全体のコミュニケーションコストの総量が増え、デザインが関わる品質は下がります。

個別に見ていくと、1はほぼ必須の要件になります。例えば「UI設計のみ出来るデザイナー+体験設計が得意なPdM」という補間パターンも考えられますが、意思決定のスピードが格段に落ちるのでお勧めできません。2と3については必須ではありませんが、これが備わっていると中間コミュニケーションのステップが減ります。特にプロダクトマネージャーを兼任できるデザイナーがいることで、最小構成のチームでスピード感を持って開発することが可能になります。フェーズは異なりますが、delyはデザイン出身のPdMが活躍している印象で、記事もとても参考になります。

4つ目についてはそのままの意味で、日々状況が変化する創業フェーズでは、特定領域へのこだわりやプライドが高いデザイナーには向きません。失敗を重ねることで前に進むフェーズでもあるため、自身のアウトプットが肯定されない環境に慣れていないデザイナーにとっては、とてもストレスフルな環境になる可能性があります。この点は事前に判断しづらい部分ですが、過去の経験などから深堀りをしてみましょう。

5つ目に挙げたデザインワークへの執着の低さについて、個人的にはここが最も重要で外せないと思っている部分です。言い換えると柔軟性です。具体的には「デザインのプロフェッショナルでありながら、いつでも客観的に判断して不要であれば自身をデザインワークから剥がす事ができる」視座やスタンスを持っているデザイナーです。

創業期のスタートアップでは、限られた資源の中でどれだけ全体のパフォーマンスを最大化するかが重要となるため、職域を限定せずにオーバーラップする立ち回りがすべてのメンバーに求められます。もしこの点について候補者を見極めたい場合、例えば「デザイン業務が無い日にどのように立ち回りますか?」とストレートに質問をすることで、スタンスが見えてくるかもしれません。

一方で、このフェーズではフルタイムデザイナーは不要です、という企業も多いかと思います。その場合は、業務に応じて外部パートナーに委託しながら進めることになりますが、前述の通り足りない部分をどのように補間していくかを意識しながら、以下のようなケースには特に注意する必要があります。効率的に外に切り出したつもりが、逆にコストが増えてしまったケースもよく耳にします。

💸自走力が低くディレクションのコストがかかってしまう
💸サービスデザインの経験が無いデザイナーと契約してしまう
💸経験の浅いデザイナー複数人と契約してしまう

繰り返しになりますが、このフェーズの失敗で最も恐ろしいのは「デザイナーとのコミュニケーションコストが増えることで、CEOをはじめとしたコアメンバーの時間が削られていく」ことです。

次回予告

次回、後編はシリーズA〜シリーズB以降の規模のデザイナー採用について書きたいと思います。書きました↓


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株式会社newnでデザインをしながら、D&Experimentという屋号でデザインを軸とした事業支援や後進デザイナーの育成をしています。焼鳥を食べます。