「学校の先生に贈る『ほめ育』メソッド」を読んで

読書日記第10弾。
今回読んだのはこちら。

この本の副題は「自己肯定感を高め、主体的に動く子どもを育む」です。
私も含め、最近は自己肯定感の低い若者が多いように思います。
人からほめられる経験が不足しており、自分の居場所を家庭にも学校にも見つけることができなくなり、結果として「自分は生きていていいのだろうか」という自己否定に陥ってしまう、と著者は危惧しています。
そして、現代の日本にはほめ言葉が不足している、と。
子供の長所や役割を認め、無条件に肯定的な言葉を投げかけることの大切さはわかっていても、「できて当たり前」として見過ごし、逆にできないところをあらさがししてしまう大人の何と多いことか。
でも、赤ちゃんに対しては無条件に肯定的な言葉を投げかけているんだと思うんです。
なんで子供の年齢が上がるとそれを忘れてしまうんでしょう。
忙しくなってコミュニケーションが希薄になるから?過程よりも結果を求められる場面が多くなるから?恥ずかしいから?
全部だと思います。
ではどうやってほめ言葉を投げかければいいのか、6章立ててでメソッドが書かれています。

第1章ではほめて育てる教育のことを「ほめ育」と名付け、その理論を解説しています。
ほめ育を教育現場に取り入れることによって、子供の成長を多方面から促すことができる、と述べています。
例えば、進路について「君はこの仕事が向いているんじゃないか?」「あなたの強みはこれだから、この仕事を目指してみるといいんじゃないか?」などと言われ、それがきっかけで仕事を決めたと話す人も多くいます。
それは、言われた職業が自分にとって偶然「なってみたい」職業だった可能性だった可能性もあります。
でも、そういう風に見てくれたという喜びが大きいのではないでしょうか。

恐らく心に一番響いたのは、「先生が自分に関心を持ってくれている」「自分のことをちゃんと見てくれている」という事実です。先生が自分のことを表面的ではなく、じっくり向き合ってくれたことが、喜びにつながったのではないでしょうか。

原邦雄著「学校の先生に贈る『ほめ育』メソッド」(学事出版) p.27

「生徒に関心を持つ」これは常に心がけていることです。
具体的には、生徒の良いところを見出すようにしています。
それは、たくさんコミュニケーションを取って良いところを引き出す技術も重要だと思いますが、それ以上に長い時間をともに過ごして行動を観察したり、他の場所での活躍を知ろうとすることや文字情報でも得られるものは大きいと思います。
昨年、吹奏楽部で3年生のお別れ会をやったときに、卒業生1人1人に対して1分ぐらい具体的なエピソードを交えながら良いところを伝え、ねぎらいました。
大学生の時に部活を引退する際に同期1人1人に対して同じようなことをやったこともあります。その時はもっと長かったと思います。
「よく覚えているね」ってたまに言われますが、人との出来事って意外と覚えているんですよね。
もしかしたら、知らず知らずのうちに普段から人の良いところを見出そうとする癖がついているのかもしれません。

第2章で「ほめ育10カ条」が紹介されています。
その1つ目に「まずは子どもたちの『ファン』になるべし」とあります。
これだ!と思いました。

「前と比べて、授業中の集中力がアップしているな」と小さな変化に気づけたり、「物静かな子だと思っていたけれど、実は熱いものを胸に秘めているんだな」など、その子の良い面が見つかりやすくなるのです」

原邦雄著「学校の先生に贈る『ほめ育』メソッド」(学事出版) p.49

うんうん。自分はファンなんだなと。
尊敬する先生と最近面談した時に言われた言葉を思い出しました。
「基本人って思い通りにならないけど、時として協力してくれることがある、ぐらいに思うようになったんです。そうしたら自分がやったことに対して応えてくれなくても、自分を責めなくなったし、次の選択肢を試してみようかと思えるようになったんです。」
実際高校生ともなるとほめられても嫌がる人は多いし、いくらほめても行動が良くならないことも多くあると思います。
でもファンでいれば見返りは求めませんよね?
「大園玲ちゃん(櫻坂46)今日も可愛いよー!」
って言っていれば満足なんです。

ちょっと長くなってきちゃったのでここから先は端的に紹介しますが、第3章では「ほめ育ロジックツリー・行動チェックシート」、第4章では「ほめシート」という実践で使えるツールが紹介されています。

第5章では「自分ほめ7ステップ」と題し、自分をほめることの大切さを説いています。
「人は自分を愛せる程度にしか他人を愛せない」と述べています。
やっぱりまずは自分を認めてあげることが一番だと思います。
だからこのnoteにも自分の良い面だけ切り取ってさも良い先生かのように書いていますし、Xでも毎日「#ポジティブ日記」と題してその日の自分の行動を3つ褒めています。
ここで紹介されている7ステップを実際に「#ポジティブ日記」でも実践できているかなと思います。

第6章では「ほめ育」を通じて自己肯定感が高まった子供が、主体的に行動し夢を叶えるためにどうすればいいかが書かれています。
ここまでサポートして初めて教員の役割は完了なんだと思います。

やっぱり、ほめられると、嬉しいよね。

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