『シェイプ・オブ・ウォーター』拝見、3/1~公開
映画鑑賞メモ
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/ ★★★★★ 原題:The Shape of Water
声を出せない、陸に上がった人魚姫のようなヒロインと、アマゾンの奥地で神と崇められていた“彼”の大人のラブストーリー。偏見や差別とも闘う、ファンタジー・ドラマ。
ファーストシーン、その映像と音だけで「あ、これ、大好き」と瞬時に惚れた本作は、『パンズ・ラビリンス』や『パシフィック・リム』シリーズなどで知られる“怪物”大好きギレルモ・デル・トロ監督のオリジナル脚本。
幼児期のトラウマから言葉を発することのできない、ひとりの孤独な女性と、水中で生きる不思議な生物との“愛”は、類い稀なる美しい物語でした。思い出すたび、涙腺がキケン。
ヴェネチア映画祭で、デル・トロ監督は最高賞にあたる金獅子賞を獲得。ゴールデン・グローブ賞ではデル・トロが監督賞、その世界観に瞬時に誘う音楽を手がけたアレクサンドル・デスプラが作曲賞を受賞、全米放送映画批評家協会によるクリティクス・チョイス・アワードでは4冠。全米製作者組合(PGA)賞では劇場映画部門の作品賞にあたる賞を受賞しています。
あらすじ
1962年、東西冷戦時代、航空宇宙研究センターに清掃員として勤めるイライザ(サリー・ホーキンス)は孤独な生活を送っていた。ある日、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と一緒に極秘の実験を見てしまったことで、彼女の生活は一変する。
人間ではない不思議な生きものとの言葉はいらない愛。それを支える優しい隣人らの助けを借りて、イライザと“彼”の愛はどこへ向かうのかーー。
孤独だが、慈愛に満ちた女性イライザを愛らしく演じたのは、『パディントン2』でもおなじみのサリー・ホーキンス。大胆ながら、キュートなシーンもあり、たった1つの愛に出会った女性の強さを体現します。
彼女を支えるゲイの優しい隣人ジャイルズには『扉をたたく人』のリチャード・ジェンキンス、イライザと恋に落ちる“彼”に息吹を与えるのは『パンズ・ラビリンス』『クリムゾン・ピーク』などデル・トロ監督とは長年組んできたダグ・ジョーンズ。冷徹な軍人には『ノクターナル・アニマルズ』のマイケル・シャノン。シャノン氏、過去最高レベルの悪役。
そして、イライザの頼もしい同僚ゼルダには、『ドリーム』の計算グループスーパーバイザー、ドロシーとは一転、清掃係に扮するオクタヴィア・スペンサー。相変わらず世話焼きで、勘が鋭くていい人。
デル・トロ監督が製作・脚本も兼ねた、お得意の美しくもダークなファンタジー・ドラマ。
全員、あて書きだというキャスト陣。
どうりでハマるわけです。
サリー・ホーキンスの、あの不器用で、寂しげな、切なげな
あの色気は何なんだろう。
アマゾンで神と崇められていた“彼”を冒涜する、シャノンさんをはじめとする白人男性たちの描写は、現在の社会そのものでもあります。
「俺様は偉いんだぞ、なんか文句あんのか、オラオラ」という軍人たちはまるで、誰かさんみたいです!?
また、イライザの部屋にある小物などがいちいちかわいいんですよ、プロダクションデザインはとても好み。もちろん“彼”の造形も。
さらに、『ラ・ラ・ランド』よりも『ラ・ラ・ランド』的というのか、オマージュというのはこういうことでは? といったシーンも盛り込まれ、もしかしたら『ラ・ラ・ランド』に多少不満があった方にも贈りたい愛の物語です。
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