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底力を見せるホンダ:第3四半期分析

さて、今回はホンダの第3四半期の分析をします。

ホンダといえば、創業者は本田宗一郎です。まさに伝説の経営者ですね。

松下幸之助と並ぶ日本の代表的な経営者といってよいでしょう。

ただ、現在はホンダは本田家が継いでいるわけではなく、いわゆるファミリー企業ではありません。この点についてはトヨタと大きく違います。もちろん、トヨタも一時期、豊田家以外の経営者がトップだったことがありますので、ホンダもそうしたことがないとは言えません。

さて、そんな中、こんなニュースが飛び込んできました。

 ホンダ(本田技研工業)は、三部(みべ)敏宏専務・本田技術研究所社長が社長に昇格するトップ人事を発表した。 ホンダのトップ交代は6年ぶりとなるが、異例なのは6月の株主総会を待たずに4月1日付けで三部専務が社長に就任することだ。かねて次期社長の「本命中の本命」と目されていた三部ホンダ新社長の登場は「ホンダ本流回帰」であるとともに、激動の自動車業界において、今後は「攻め」に転じるための経営姿勢・戦略の構築を急ぐことになりそうだ。2021.2.23 4:22

経営者交代により「攻め」に転じるための戦略姿勢を明らかにしました。

 三部敏宏氏は1987年にホンダに入社。本田技術研究所でエンジン開発・研究に携わり、2012年本田技術研究所常務執行役員、2014年ホンダ本体の執行役員を兼務、2019年ホンダ常務役員兼本田技術研究所社長のキャリアで1961年生れの59歳。ホンダ9代目の社長となる。

私はあまり詳しくないのですが、ホンダのエースとしてキャリアを重ねてきたようです。エンジン開発・研究に携わった経験から考えると今後予想される電気自動車への切り替えに向けて、満を持しての社長交代といえるのかもしれません。

さて、そんなホンダの第3四半期ですが、トヨタと同様に黒字を計上し、持ちこたえた決算だったと言えます。


ホンダ1

売上収益は10兆円を割り込み、営業収益も30%減でしたが、利益を確保しています。また税引前絵利益では16.2%減とそれほど大きなマイナスになっていません。

その要因について、以下のように報告されています。

・ 第3四半期までの累計 9 ヵ月間においては、新型コロナウイルス感染症の拡大影響による需要の減少があった
ものの、抜本的な事業活動の見直しを全社横断で実施し、販売費及び一般管理費の抑制やコストダウン効果
などにより、連結営業利益として 4,470 億円
・ 今年度の通期営業利益見通しは、新型コロナウイルス感染症の拡大影響に加え、半導体供給不足などの影響
を受けるも、前回見通しに対し 1,000 億円増の 5,200 億円に上方修正
・ 通期での親会社の所有者に帰属する当期利益は 750 億円増加し、前年度を上回る 4,650 億円を計画
・ 年間配当金予想は 1 株当たり 14 円増配の 82 円を計画、なお第3四半期配当金は 1 株当たり 26 円

残る第4四半期においての懸念材料は、半導体供給不足の影響でしょう。いくら販売の需要があったとしても生産できなければ商売になりませんから。

自動車メーカーの苦しいところは、部品は全て自前で作成することは不可能で世界各国から取り寄せる形で、それを組み合わせて製造していることです。つまり、一カ所の供給がストップしただけで全体の生産ラインが止まってしまうリスクを抱えています。

この第3四半期に限れば相当業績は良かったようです。以下のように記載されています。

2020 年度第 3 四半期決算(3 ヵ月間)の連結業績概況および各事業の状況
売上収益: 主に四輪事業における増収により、3 兆 7,715 億円(前年同期比 0.6%増収)
営業利益: 為替影響などはあったものの、研究開発費の効率化やコストダウン効果などにより、
2,777 億円(前年同期比 66.7%増益)
(1) 二輪事業
売上収益: 多くの国で販売は回復してきているものの、主にアジアでの販売減を受け 4,908 億円
(前年同期比 393 億円減)
営業利益: 売上変動及び構成差に伴う利益減はあったものの、コストダウン効果や販売費及び一般管理費の抑制などにより、727 億円(前年同期比 18 億円減)
(2) 四輪事業
売上収益: 欧州やアジアなどでの販売減はあるものの、日本や米国などでの販売増を受け
2 兆 6,381 億円(前年同期比 632 億円増)
営業利益: 販売費及び一般管理費の増加はあったものの、売上変動及び構成差に伴う利益増やコストダウン効果などにより、1,231 億円(前年同期比 894 億円増)、営業利益率も向上
なお、四輪事業と金融サービス事業に含まれる四輪車の販売に関連する営業利益を合算すると 2,054 億円と試算されます

四輪だけでなく二輪もやっているのがホンダです。とはいえ、事業規模からいえば四輪の方が圧倒的な稼ぎ頭ですね。

そしてトヨタと共通しているのは、北米エリアで強いということでしょう。

ただし、トヨタとの違いは北米エリアでの売上収益が5兆円と、国内1.5兆円を大きく上回る形になっていることでしょう。またアジア地域での売上も国内よりも多くなっています。唯一弱いエリアは欧州といってよいでしょう。

ホンダ3

このように考えると、実は世界のトヨタと言われそうですが、世界のホンダという方がよいのかもしれません。

日産などと比べてもトヨタ、ホンダの強さは光っています。不祥事の影響もあったとはいえ、国内の自動車メーカーの明暗がはっきりと分かれる形になっていますね。




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