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今、簿記を学んでいるあなたへ:決算探究のススメ:企業の決算発表を見てみよう

1. 簿記を学んでいる人にお勧めしたい本、情報

ここでは簿記を今、学んでいる人に向けたメッセージを書きたいと思います。なんせ、今大変な時期ですから、何が大変かと言いますと・・・・

6月の日商簿記検定は中止になりました。

一部地域とありましたが、やれているところはあるのでしょうか・・・。

静岡も中止です。

これに限らず、各種資格試験が中止になり、モチベーションが保ちにくくなっている、という人も多いと思います。

かつ対面ではなく、オンライン講義に疲れている人もいると思います。

簿記検定については、皆さんにとって試験を受ける!ということが大きな学習のモチベ―ションになっていたことは間違いないです。

本学部の学生さんも1年生は日商簿記検定を受験することになっているのですが、それが出来なくなり、という状況です。

辛いですよね・・。

これに限らず、一番勢いをつけて勉強できる4-5月に集中して勉強できなかったのは後々、響いてくるとは思います。

とはいえ、これはもう終わったこと。

これからどうすればよいのか?何を学べばよいのか?

一つは、資格試験に拘らないで学ぶこと。会計の探究心を深めること。

会計はどうしても初心者にはハードルがあります。

簿記を学ぶ際にはそうですよね。

そうした方にはこうした本もいいかもしれません。

会計をクイズ方式にして財務3表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の読み力が身つく「世界一楽しい決算書の読み方」

*会計クイズを主催している大手町さんはめちゃくちゃ多くのアウトプット出されているので色々フォローしてみてください。



もう一つは、「会計の世界史」

会計が如何に世界の様々な事象に関わっていたのか?がわかる本です。

「会計ギライ」の方を悩ませる、数字および複雑な会計用語は一切出てきません。「世界史ギライ」の方をげんなりさせる、よく知らないカタカナの人や、細かい年号もほとんど出てきません。登場するのは偉人・有名人ばかり。冒険、成功、対立、陰謀、愛情、喜びと悲しみ、芸術、発明、起業と買収…波乱万丈、たくさんの「知られざる物語」が展開します。物語を読み進めると、簿記、財務会計、管理会計、ファイナンスについて、その仕組みが驚くほどよくわかります。

会計からみた歴史の視点は、勉強になるだけでなく、本当に田中先生が、歴史と会計が好きなんだなぁ~というのが伝わってきます。

これは大手町さんも同じですが、

好きこそものの上手なれ

好きになることが一番大事なんですよね。

こうした本を読んで、もっと簿記・会計の勉強をしてみたい!と思って欲しいなぁと思ってます。

一方で、地味な簿記の勉強も大事。

どうしても覚えないといけないことや難しい用語もあるので、なかなか頭に入ってきません。

なので、かなり苦痛(しんどい)人も多いと思います。特に、今、資格試験というモチベ―ションもなく、大学で簿記の勉強をしている人は。

会計は難しく考える必要はありません。私が勧めているのはまずは、P/L(損益計算書)から考えて、会社の決算に興味をもつこと。

実は決算発表の時期なんです。

決算発表(読み)けっさんはっぴょう(英語表記)earnings announcement
証券取引所の要請に基づいて行なわれる上場会社の情報公開制度の一つで,会社の決算取締役会での決算案の承認後,会社役員が証券取引所の記者クラブで決算の概要を発表する慣習的制度をいう。


色々な企業が決算発表していますので、この情報をニュースでも企業のホームページでもみてみると面白いですよ。

え・・・でも、私は簿記を学び始めたばかりだし、という人。

大丈夫です。売上、費用、(当期純)利益、つまり損益計算書の3つの要素から簡単に見ていけばよいですから。

2.決算発表の見方:損益計算書のみに着目してみよう

簿記では学習上、色々な解説が含まれていますが、一旦忘れましょう。

シンプルに考えると、会社に限らず商売の基本は、多く稼いで、少なく支払い、利益をたくさん上げる、です。

ゲーム感覚で捉えると、利益をたくさん上げた人が勝ち!

ということころでしょうか?

もちろん、利益をたくさん上げたら税金取られちゃうのでそれも注意が必要ですが笑

さて、

ざっくりいうと

収益(売上高)

費用(掛かった費用)

なので、差引額が利益、になります。

つまり「売上高(収益)―費用=利益」

ですね。

少しややこしい問題は、費用にもいろいろある、ということ。

売上に直接掛かった売上原価を計算するためには今期使った仕入れ高を計算しないといけない。在庫として余った額を除いた額を費用に計上することになります(ここは棚卸資産の話でじっくり学んでください(笑))。

販売費及び一般管理費には、色々な費用が計上されます。

これは売上(サービス)に直接関連しない、間接的な経費がここに計上されます。マーケティングの費用、広告宣伝費などもかかっていますね。

こうした売上に対して掛かった様々な費用が計上されて利益が計算されます。

利益は「もうけ」なので、皆さん関心がある部分ですよね。

関心というのは、会社関係者に限らず世間一般がということです。

新聞記事でもだいたい、赤字、黒字! 〇〇億円と出ますから。インパクトが違います。

決算発表をいくつかみると発見があって面白いですよ。ではここでは事例としてソフトバンクGとソフトバンクをみてみましょう。

3.ソフトバンクGとソフトバンクの決算をざっくりみてみよう

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)とソフトバンクって一応別会社であることを知ってましたか?

いや、グループ会社、つまりソフトバンクGは親会社、ソフトバンクが子会社なんですが、両社とも上場、つまり証券取引所で会社の権利が売買されています。

株式市場って何?という人はこちらの私の動画を(笑)

授業で使っている資料動画です。



ソフトバンクGとソフトバンクは親子関係、つまりソフトバンク(スマホの販売の方ですね)の会社の決算はソフトバンクGに影響を与えます。

が、逆はないんですね。ソフトバンクGの決算がソフトバンクに直接的に決算内容に悪影響をもたらすことはない(もちろん、親会社が倒産したり、財務内容が悪化すれば色々と支障が出てくるとは思いますが)



こうした記事をざっとみてみると決算が対照的なのが分かったと思います。

皆さんが使っているLINEを買収したのもソフトバンクだってしてってましたか?面白いですよね。

で、記事をみても分かるように

ソフトバンクG→赤字9615億円(当期純利益)

ソフトバンク→黒字4,731億円(当期純利益)

と対照的な決算になってます。

ちなみに、これはちょっとアドバンスな話ですが、

ソフトバンクの稼いだ黒字4731億円は、ソフトバンクGがグループとして決算を作る際に合算されますので、ソフトバンクの黒字がなかったら、ソフトバンクGの赤字はもっと拡大していたことになります。

え、ちょっとまって、ソフトバンクGの赤字はもっと多いいんじゃない?

1兆3600億円という記事あったけど、間違えじゃないの?

という人もいるかもですね。

これは営業損益でみるか、当期純利益でみるか?によって変わってくるんですよ。

企業の利益の測定の仕方も、本業をベースの損益(もうけているか、もうけていないか)でみるか、トータル(本業以外の影響による損益)でみるかによって変わってくる、ということなんですよ。

測り方によって利益の考え方は異なる、ということに注目してみましょう!

4.決算探究のススメ

今は、決算発表シーズンです。

さきに紹介した株価と合わせて、新聞記事の報道と合わせて、決算発表を見てみると色々と発見あると思います。

これぞ会計(決算)のマイ探究!

ぜひぜひやってみてください。

今回、資格試験が中止になったこと(多くの地域で)は残念ですが、見方をかえれば、会計の基本、面白さに立ち返る良い機会なのではないか?とも捉えています。

資格に固執しすぎてしまい、面白さが分かってもらえない、ということが私にとっての悩みでした。

繰り返しですが、もう一度。

好きこそものの上手なれ。

決算から会計の楽しみを発見していきましょう。

また資産負債をどうみるのか?

ということも解説してみたいなぁ、と思ってます。


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