増加する非正規雇用、その内訳を分析する。
日本の雇用人数の半分近くにまで非正規雇用が達していていることを知っているでしょうか?
元データはこちらから。
ただ、この増加の要因としては、65歳以上の非正規雇用の人数が増えたから、ということはあります。
この図は、「非正規の職員・従業員」/「正規の職員・従業員」
の割合になります。
65歳以上が67.1%(2009年)⇒77.3%(2019年)
となっていますね。
今後ますます増えていくと思われます。
2013年から始まった定年後再雇用制度の影響ですね。
1.65歳までの雇用機会の確保
(1)60歳以上定年
従業員の定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上とする必要があります。(高年齢者雇用安定法第8条)
(2)高年齢者雇用確保措置
定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があります。(高年齢者雇用安定法第9条)
「継続雇用制度」とは、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する、「再雇用制度」などの制度をいいます。この制度の対象者は、以前は労使協定で定めた基準によって限定することが認められていましたが、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年度以降、希望者全員を対象とすることが必要となっています。
なお、継続雇用先は自社のみならずグループ会社とすることも認められています。
つまり65歳まで安定した雇用を確保してくださいよ。
その方法としては継続雇用制度(一旦、退職して再雇用する)
もしくは定年の廃止(引き続き雇用し続ける)
のいずれかになります。
Ⅰ 65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況
1 高年齢者雇用確保措置の実施状況
65歳までの雇用確保措置のある企業は計161,117社、99.8%(11ページ表1)
2 65歳定年企業の状況
65歳定年企業は27,713社[2,496社増加]、17.2%[1.1ポイント増加](14ページ表5)
・中小企業では25,938社[2,253社増加]、17.9%[1.1ポイント増加]
・大企業では1,775社[243社増加]、10.6%[1.2ポイント増加]
非常に面白いのは、高年齢者雇用措置を実施している企業は99.8%であること(ほとんどの企業が実施)。
一方で定年を延長(65歳まで)した企業は、17.2%で、中小企業で17.9%、大企業で10.6%ととなっています。
そして70歳まで働いてくださいよーという法律も出来ました。
努力義務なので、今後どうなるか?というところですが、要注目ですね。
実数で見てみると、2165万人の非正規のうち65歳以上が389万人となっています。15~24歳285万人、25~34歳260万人となっているので、いわゆる若年層の人数よりも多くなっている訳です。
ただ、見逃せないのが35~44歳、45~54歳という働き盛りの層において、359万人、437万人と非正規雇用者がいることです。
私は労働経済学者でも、労働統計を専門に扱っている人ではないので、これは一つの見立てですが、
・非正規雇用の人がそのままずっと非正規で雇用されつ続けている人が多い。
と思われます。
いわゆる就職氷河期世代の非正規雇用層ですね。
では望んで非正規雇用を選んでいるのか?
本当のところはよく分かりません。
男女で明確に分かれているのが特徴ですね。
「自分の都合の良い時間に働きたいから」と回答している割合が、多いのは男女共通です。
男性(27%、187万人/691万人)
女性(30%、438万人/1475万人)
「家計の補助・学費等を得たいから」と回答している割合にはやや数値上の差があります。
男性(12%、81万人/691万人)
女性(18%、307万人/1475万人)
「正規の職員・従業員の仕事がないから」
男性(18.0%、115万人/691万人)
女性(8.6%、121万人/1475万人)
と男性の方が正社員思考が強いのに対して女性は弱いといえます。
そして、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」と回答したのは、
男性 (1.1%7/691万人)
女性 (19.1%、268万人/1475万人)
と、圧倒的に女性が多くなっています。
つまり、女性の正社員化を進めるためには、男性の家事・育児・介護等の協力が欠かせないのではないか?ということが浮かび上がってきます。
雇用の実態をつかむため、欠かせないのは非正規の詳細な分析。こうした角度からも検討していきたいと思います。
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