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思春期・青年期のメンタルヘルスに目を向けよう:国連「COVID-19とメンタルヘルスへの対応の必要性に関する政策概要」をもとに

さて、リスクマネジメント論の最終回においては、ずばり核心に踏み込んだ話をしました。

というのも今の新型コロナウィルス禍において辛い思いをしているのは誰でしょうか?

やっぱりそれは学校に行けていない若者、思春期、青年期の大学生なんですよね。

というのも、小中高、それぞれに悩みはあると思いますが、大学生は社会に出るまでのつなぎとしての期間でもあります。

その大切な期間をこのコロナ禍により不自由を強いられている彼ら/彼女の喪失感、精神的に不安定になる今の状況、察して余りあります。

大学教員もこの間大変でした(まだ現在進行形ですがw)。

こうしたfakebookページも立ち上がりました。正直「??」という状況において突然、オンラインでの講義を求められた!というのが世界中の大学教員の状況ではないでしょうか。

そうした中で、「オンラインします」という急な要求に答えなければならなかった大学教員。そうした中で知恵を出し合って対応してきたのが実情です。かくいう私も・・その一人です。

それにしても思うこと。

自粛!ということで統一されていた時はある意味楽でした。

ともかく自粛する。頑張る、でしたから。

ですが、ひとたび自粛が緩和されてから・・・が大変でした。なぜならば、再び感染者数が増え始めましたから。

そうした中で、私たちは自粛か、それとも気を付けながら経済活動(旅行など)をするか、が問われているわけです。

自粛を巡る関係性を整理してみると、以下のように整理できるかな、と。

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自粛包囲網が形成されていますね。社会/地域、所属している組織、家族、地方自治体から「自粛」という圧力がかかっているのは感じていると思います。

どの程度自粛の圧力を感じているかは人によって差はあるでしょう。感じ方の差、置かれている立場の差、色々ですね。

一方で、政府だけが、「気を付けながら経済活動(GO TO含めて)」です。

そして政府と地方自治体も自粛を巡る考え方で対立しています(地域によって差がありますが)。



コロナよりはもはや風評被害の方が怖い、と感じている人が多いのではないでしょうか。そして、国、地方自治体によって指針がバラバラ、です。

そうした中で息苦しさを感じている、あなた。

それはとても正常なことです。

COVID-19とメンタルヘルスへの対応の必要性に関する政策概要の発表に寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長ビデオ・メッセージ(ニューヨーク、2020年5月13日) | 国連広報センターメンタルヘルスは、私たち人間にとってとても大切なものです。それは、私たちが豊かで充実した人生を送り、コミュニティーに参加すwww.unic.or.jp

こちらのサイトに掲載されている日本リスク学会の有志によって訳されたものをご紹介します。

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国連により出されたものですが、現在の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)においてメンタルヘルス対策が必要であることが訴えられています。こちらをみてみるとメンタルヘルス対策の必要性が強く唱えられています。

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コロナ・・・はもちろん油断ならないですし、恐ろしいと思っています。しかしながら、それ以上に恐ろしいのは心の健康を損なうことです。コロナとメンタルヘルス対策の必要性について明確に明確に書かれています。

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メンタルが脳にも与える影響についても書かれていますが、特に私が注目しているのはこちらです。


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「思春期・青年期にある若者」がメンタルヘルスにおいて危険なグループであり、注意してみなければならない対象であることが書かれています。

ではどうしたらよいのでしょうか?くわしくは本文を読んで欲しいですが、以下の点を強調しておきたいと思います。

メンタルヘルスを促進し、保護し、ケアするための「社会全体のアプローチ」の適⽤

緊急時のメンタルヘルスと⼼理社会的⽀援の利⽤しやすさの確保

未来に向けたメンタルヘルスサービスの構築によるCOVID-19 からの復興の⽀援

の3つが提言されています。

メンタルヘルスを軽視しないこと、それを意識した夜会全体のアプローチを行うこと。そしてメンタルヘルスへのアクセスのしやすさを確保することを努力すること。そして今後の将来に向けて医療制度においてメンタルヘルスをサービスするプログラムを組み込んでいくこと。そうしたことが求められている、と書かれています。

私がとても残念だな、と感じることは、国と地方自治体の対立による私たちのメンタルに与える影響があまりにも軽視されているということ、です。

政策担当者は、ご自身の発言が私たち(若者)のメンタルにどういった影響を与えるのか、をよく考えてほしいと思います。さらに、思春期・青年期の若者たちがどういった状況に置かれているのか、ということも理解したうえで、必要な対策を打っていくべきではないでしょうか?

そもそも、Go To含めて経済のことばかり、優先されている印象があります(もちろん、経済は大事!ですよ)。政策担当者の方々が不真面目だ、とか言いたいわけではないです。不眠不休で一生懸命されていることに心から敬意をお伝えしたいと思っています。

いま、苦しい状況に置かれている人に助けの手を伸ばし、メンタルに及ぼす影響を決して軽視してはならない。

その危機的な状況に今直面している、と感じています。そのことを理解したうえで必要な政策を出してほしいです。そうしたことをいうと、『個人で対応でしょう?』と言われそうなので、この点も補足しておきます。

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個人、組織、地域、国のリスクマネジメントとシステム構築のコストを考えますと、当然、大きな範囲でやろうとすればするほど、コストは掛かります。しかしながら、リスクマネジメントの効果もより大きな単位でやればやるほど大きい、のです。

もっというならば、国を超えて国際的な機関単位で一元的にやった方が全体最適化は図れる、はずです。国ではなく、自治体(地域)で、自治体ではなく、組織(企業)、そして個人でやるに従い、効果は小さくなります。そのことはもうすでに実感しているのではないでしょうか?個人で自粛したところで、効果は薄いです(やらないよりはやった方がいいですけど)。

誤解をしてほしくないのは、私は自粛ばかりすればいいと言っているわけではないですよ。危険/安全の二分法ではなく、リスクを認識する努力をする(リスクの可視化)、そのうえで、科学的な見地からその影響度(トレードオフも含めて)を検証する。最後は政策的な判断、だと思います。

その判断を行う上で必要不可欠なのは価値観(理念)を共有し、方向性を決めておくことです。

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全体の価値観、方向性が共有できるような体制づくりが重要になります。そのうえで、リスク認識、測定、重要度を判別、対応策を実行、でしょう。

今の政策を見ていると、ハザード(危機)が起これば対応、ということに終始している印象があります。

怖いのは、メンタルの問題はこうしたリスクの洗い出しをして初めて浮かび上がってくることが多いと感じています。つまり軽視されがち、であるということです。もちろん、個別には色々な調査がされていますし、ネット、ニュースを通じて報道されますが、政策担当者のアクションは鈍い気がします。

つまり、後回しにされやすい、ということですね。

メンタルヘルスに限らず、これから深刻化するであろう様々なリスクに目を向ける必要があります。孤立を深め、助けを求めている人がいるはずです。

起きている危機だけではなく、発現しようとしているリスクがハザード(危機)に変わらないようにマネジメントしていく。今困っている、困難に陥っている人に寄り添うメッセージを発信していく。

そのことがなにより大事な気がします。



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