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諸外国における子役規制と子どもインフルエンサー法立法に関するQ&A(随時更新)

質問を頂くことが多いので、こちらで回答することにしました。


Q.Webで検索してもフランスの子役用信託口座(供託)制度の導入時期が分からないので元々の法律を教えてほしい。

Art. 58 b. La commission fixe la part de la rémuné - ration perçue par l'enfant dont le montant peut être laissé à la disposition de ses représentants légaux. Le surplus est affecté à la constitution d'un pécule qui est versé à la caisse des dépôts et consignations et géré par cette caisse jusqu'à la majorité de l'enfant. Des prélèvements sur ce pécule peuvent être autorisés en cas d'urgence et à titre exceptionnel par le président de la commission prévue à l'article 58 a.

Loi n° 63-808 du 6 août 1963

また、Loi n° 90-603 du 12 juillet 1990で「モデル」への適用拡大が図られました。注釈がないですが、比較法研究センターの『供託制度に関する外国法制等の調査研究業務報告書』(p.101)に簡単な言及がありますね。

Q.イリノイ州の立法では、ブイログ出演の未成年者は成人後にコンテンツの削除をオンラインプラットフォームに要求できると定められた?

当初法案にはありましたが削除されました。

Q.イリノイ州の立法では、州労働省へのコンテンツに関する記録の定期的な報告義務が定められた?

報告から備え付けに変更されました。なお、フランスにおける立法についても、報告の実効性が疑問視されているようです。

Q.カリフォルニア州のクーガン法はキッズモデルも対象?

対象です。2000年の改正以降のクーガン法の対象は相当包括的です。

Q.キッズインフルエンサー(子どもインフルエンサー)と同種の児童労働法の盲点があったりしますか?

すぐに思いつく事例だと、ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』で描かれる賞金に眼が眩む養母のような事例は盲点かもしれないですね。

Q.フランスでの2020年の立法後、大きな動きはありますか?

フランス(米国も同様の方向性ですが)では、既存の「ペキュール」(「預金供託金庫」による制度)の活用のため、労働法制の文脈での立法が図られてきました。一方で、「シェアレンティング」概念からも明らかなように、子どもインフルエンサーにかかる課題が必ずしも労働問題とも言えないため、肖像権などに着目した民法典の改正が図られています(「子どもの肖像権の尊重の保障を目的とした2024年2月19日の法律第2024-120号」)。

Q.米国のクーガン法とフランス法の供託制度の違いはなに?

スポーツなどで対象にやや違いはあるものの年齢等の規定(16歳未満を対象とし18歳で引き出し可能)はほぼ同様です。他方、米国のクーガン口座は本人名義での信託、フランスのペキュールは供託という違いはあります。クーガン口座の開設手続きが煩雑(そして、結局少額に留まる場合が多い)という話もあるので、その点ではペキュールの方が優れているようにも思われます。

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