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短所の活かし方


仕事柄、たくさんのコンプレックスを持つ生徒さんたちと向き合ってきた。
ほとんどの人が、何かしらの苦手部分を持っていて、だからこそ
スクールに通うという選択をしているのだと、痛いほどわかっている。

私はお会いして5分も話せば、この方が希望する客室乗務員の試験に合格するのに、どのくらいの時間をかけたら良いのかがわかる。
ただ、聞かれない限りご本人には伝えない。
あまりにもその期間が長すぎると、本人が諦めるかも知れないからだ。
だから私は、聞かれたら答えるようにしている。

およそ80%くらいの方は最低6ヶ月、最高で2年ほどかかると言う「判定」を心の中で下すことになる。
逆に言えば、週に一度の授業を最大2年間受けていただければ合格できる方々がほとんどだ、ということだ。

たとえ長くても短くても、全員の方が避けて通れないことがある。
それは「短所と向き合う」こと。

人によっては、なかなか向き合わない人もいる。
こちらも最初はさりげなく伝える。
スルーされる。
次はタイミングを見て、もう少し念押しする。
それもスルーされる。
こういう場合は、しばらく放っておく。

まあ、私の教え方は置いといて、この短所と向き合うことはそれほど大変なことなのだとわかっているので、その生徒さんのタイミングで向き合ったらいいと思っている。
無理にやっても、逆効果になることもあるからだ。
もちろん、無理にやっても大丈夫な人もいるが、時代の風潮に合わせて決して無理はしないようにしている。(以前は、そんなことは関係なく、どの生徒さんに対してもガンガンやっていたが、今は時代が違うためだ)


どうしても短所と向き合わないといけないのは、客室乗務員の仕事が専門職でその適性を問われるからだ。
ただ、専門職でも国家資格を取れば就職できる仕事もたくさんある。

美容師
看護師
理学療法士
医師や弁護士
などだ。

これらの仕事は、国家資格に合格をすれば間違いなくその仕事に就くことができる。
国家資格に合格することは、適性を評価してもらったのと同じことだからだ。

一方で客室乗務員は国家資格ではないし、会社によって求める人材も異なるので、求められる人材になる必要がある。だから、必然的に「客室乗務員としての短所に向き合う」必要が出てくる。

ただ客室乗務員でなくてもいいのであれば、短所と向き合う必要はないし、それは短所ですらないかも知れない。


例えば、客室乗務員にとってテキパキと仕事をこなすというのは大事な要素だが、じっくり取り組み、ミスが少ない方が良い仕事であれば、じっくりタイプの人はむしろ向いていて、短所ではなくなる。

そう、仕事によって短所が変化する。

だからこそ、短所をむしろ活かせる仕事に就く、というのが手っ取り早い短所の活かし方だ。
これを一般的に「適性」と言う。

自分の適性と合った仕事につけば、短所と向き合う必要はなくなる。

もう一つの短所の活かし方は、「プロ意識」を持つことで、カバーできる。

何人かの生徒さんに聞いた話だが、
「自分の部屋は決して片付いていない。だけど、仕事場では綺麗に整理整頓ができる」
と。
つまり、この方々は「整理整頓が苦手」なのだが、「仕事だと整理好き」に変貌する。


なぜなのか?

職場で人に迷惑をかけたくない気持ちが強くて、整理整頓に力が入るのだそうだ。
つまりプロ意識と他人の目だ。

他人から見られることが刺激になる人は、その目を活用すれば短所は人前では出没しない。だったら短所は何も問題はない、ということなのだ。

人の目を気にすることは時として短所になるが、これをうまく使って、もう一つの短所を出没させないということが可能になるのだから、人は面白い。

結局は、「活かし方」なのだと思う。

自分の短所と向き合うより、活かす方法を探す方がずっと気分が良い。
捉え方や角度を変えれば、案外簡単にできることだと思っている。
短所を活かす視点を生徒さんに伝えた時、目からウロコが落ちたようにその顔が輝くのを見れることは、教える側の楽しみの一つだ。


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