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負の空気をぶつけられた時の対応


母の年金手続きに付き添った。
付き添い、と言っても80歳を超える母の代わりに私が手続きするようなもので、付き添って良かったと思った。

「書く書類が多いこと」

に加え、職員の人がとても無愛想だったからだ。

予約して行ったのだが、番号を呼ばれて窓口へ行くと50代後半の間も無く定年も近いんだろうな、と言うおじさんだった。

番号を渡し、「11時に予約の( )です」
と伝えると、「座ったまま」名刺を机の上に黙っておき、(自分の名前さえ言わなかったと思う)「身分証は」と言う。
母もさすがに「この人は、無愛想な人だ」と感じたようで、一瞬固まっていたが、「マイナンバー持ってる?」と私が促し、カードを見せる。

「はい」

とだけ言って、挨拶とか、何をこれからやっていくかなどの説明はない。

「○○の書類と○○は?」

と自分にとって必要なことを必要なだけ言い、言葉遣いも「〜してください」と言う丁寧語さえ、一切使わない。

この辺りから、

「手続きさえやってくれれば良いから」
と自分に言い聞かせ、わからないことはこちらから明るく、全く気にしてないよーという感じで聞き、教えてもらった通りに私が書く。

相手が調べた番号などを、言われるままに黙々と私は記入する。
もし、母が1人で来ていたとしたら、この人に怒られながら書いたのかもしれない、と思うと、「一緒に来てよかった」とつくづく思った。

私はこんなタイプの「お客様」には慣れているので、途中から全く気にせず、テキパキ、ハキハキと対応する。常に明るく、だ。

手続きが進んで、説明される際、必要なこと以外は手を煩わせず、必要な事は質問する、と言う形式で聞いていると、少しだけ丁寧に説明してくれるようになった。

そして、「これで手続きは終了です」と言われた時、たまたまなのか、相手は立ち上がっており、まず私が立ち上がって「ありがとうございました」と言うと、相手も頭を下げる。
母もさらに丁寧に「今日は本当にありがとうございました」と言うと、相手も「お疲れ様でした」
と頭を下げる。

最後になって少しだけ「マナー度がアップした」ように感じた。


そもそも、母は父を亡くしたばかりで、そのための手続きに行っているのだから、「この度はご愁傷様でございました」くらい言ってもバチは当たらない。
隣の窓口の職員男性は、声の頃から言うと、40代後半で、やはり老婦人にとても優しく、労いの言葉もかけ、親切に説明をしているのが聞こえた。

「大丈夫ですか」
と言う声を何度もかけ、老婦人のわかりにくい質問にもすごく丁寧に答えている。

正直、「予約までしたのに、外れた」
と思った。

おそらくこの担当者にとっては、毎日毎日同じことの繰り返しで、耳が遠いとか、書くのが遅いというお年寄りばかり相手にしていて、そりゃあ仕事が面白くないのでしょう。

でもそれはあなたの事情であって、私たちにはなんの関係もない。
その「不機嫌さ」を、私たちにぶつけられても、と思う。

でも私はこの方の無愛想を、スルーしていつも通り明るく、ハキハキ、テキパキ、と対応した。

相手が投げかけてきた「負の空気を、陽の空気」に変えて返してみた。

するとその「陽」の空気が少しだけ相手に移ったように感じた。

いただいたお名刺は、しっかり持ち帰った。
今後何かあった時に、必要だと思ったから。

最近役所の方々もとても対応が良くなられ、感心していましたが、久しぶりに「お役所仕事」的対応に出会ったな。

今後お会いしないように願いながら、年金事務所をあとにした。

もちろんお仕事はきちんと、スムーズにできたので、その点は感謝している。
でもあくまでも「機械的」で「人間味」は全くなかった。

結局仕事を面白くするのも、つまらなくするのも、その人次第。

「負の空気を受けても、それを陽での空気で跳ね返す」
ことができたこと、そして母に付き添うことができてよかった、とつくづく思った。


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