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ルーテインを破った先に、待っていたもの


時々のウオーキングのルーテインを破ると、昨晩から決めていた。

昼間に見た満開の桜に感動し、夜桜で見てみたいと思い、再度出かけた桜の名所は、一年前とは全く様子が違う大混雑の中で、美しさと妖しさを振る舞っていた。

次に雨が降れば、もう桜は終わる。
それを確信した私は、明日は桜の名所に行こう。
それも、朝早くウオーキングのついでに行こうと決めた。

今日は土曜日。
朝7時でも、街はまだ目覚めていない。予想通りだ。

いつものウオーキングコースを外れ、桜を見上げながら歩いた。
遠くから見ると、桜の色は白のようにも見えるが、決して白ではない。
ピンクと白の微妙な色合いで、そこに奥ゆかしさと謙虚さを感じ、私たちはソメイヨシノを愛するのかもしれない。

桜並木を歩き終わると、そこにはまるでゴール地点のように、小さなショッピングモールが待っている。
馴染みの店が、幾つもある。

そういえば、この店に朝定食があったな、と思い出し、入ってみる。

好きな定食を頼み、追加でおかずもつけた。
ゆっくり、じっくりと味わって、朝ごはんを食べ終えた。
自宅にいたら、タブレットで映画でも見ながら食べただろうが、ここでは店全体が映画のようだ。

食べている人、店に入ってくる人、間違って注文する人、働いている人、しゃべっている人。
それらを見ながら食べると、味もしっかり舌に刻み込まれる。

朝ごはんの終わり頃に、「そういえば隣にカフェがあったな。本屋も併設されているから、本でも読もうかな」と思いつき、その通りに行動した。

朝早くのカフェは、ほとんど客がいない。
広々としたソファ席に、マグカップに入ったほうじ茶ラテをテーブルに置く。
お気に入りの本が見つかりやすいコーナーに行き、文庫本を眺める。
「これだ」
と、お気に入りの作家の本を片手に、席に戻り、ひたすら読み続ける。
周囲の音は、聞こえなくなる。

周囲の声が聞こえ始めた頃、店内は7割ほどの混雑になっていた。
ちょうど、3分の2を読み終えていた。
「次回の楽しみに、取っておこう」と、まるで図書館のように、本を戻しに行き、カフェを後にする。

忘れずに持ってきた、バスの回数券のようなものを使い、バスで自宅へ戻る。
その車内で、「あ、あそこのパンを買って帰ろう」と思いつく。
マーガリンなど、一切使っていない、美味しい、こだわりの4枚切りパンをそのまま手に持って帰る。

いつもとは違う朝の過ごし方。
全て思いつきで行動した。

その先に待っていたのは、1,500円ほどの出費と、鼻歌さえ出てくるほどの幸せだった。


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