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夏の皮膚トラブル

夏はアウトドアでの活動が気持ちいい季節です。しかし、お肌の露出が増える分、肌にとっては危険な季節となります。
日焼け、虫刺され、かぶれ、水虫など夏に多い皮膚トラブルと薬をまとめました。 小さな皮膚トラブルでも放っておくと広がってしまったり跡になってしまうこともあります。予防と早めの手当てで皮膚トラブルを防いで夏を過ごしましょう。

日焼け

紫外線と日焼け後の処置

紫外線は波長の違いによりA波とB波に分けられます。波長の長い紫外線はA波と呼ばれ、A波を浴びると肌が黒くなるサンタンと呼ばれる日焼けを起こします。
B波は波長が短く、皮膚が赤くなってヒリヒリするサンバーンと呼ばれる日焼けの原因となります。 
皮膚が赤くなる日焼け“サンバーン”はやけどですから早めの手当てが必要になります。

炎症がひどく痛みが強い場合や水ぶくれがひどい場合には皮膚科を受診しましょう。


自分で手当てする場合は、まずひたすら冷やしてください。冷やしたタオルやビニール袋に氷水を入れてヒリヒリ感がなくなるまでよく冷やします。
 冷やした後は刺激の少ない化粧水でしっかりと保湿します。化粧水をコットンに染み込ませ10分程度パックするとよいでしょう。 その後に炎症を鎮める塗り薬やサンケア商品を塗ります。
肌が落ち着くまで保湿は続けてください。3~4日で皮がむけ始めますが無理にはがすと赤くムラになりますので自然にむけるのを待ちます。

炎症が強い部分には数日間ステロイド(副腎皮質ホルモン)の入った薬を使うことをお勧めします。
ステロイドは炎症を鎮める作用が強いので早く良くなります。長期間大量に使い続けると副作用の心配が出てきますが、短期間に限定して正しく使えばその心配はありません。ただし顔の皮膚はとても薄いので使用はなるべく避けましょう。

ステロイドの使い方ですが、回数の目安は1日2〜3回です。擦りこむと皮膚への刺激から炎症が悪化するのでやさしく塗り広げます。薬の量は多すぎても少な過ぎてもよくありません。
量の目安として、まず軟膏やクリームなら大人の人差し指の第一関節までの長さを出し、ローションは手の平に1円玉くらいの大きさを出してください。その量を大人の手のひらを2枚分の広さの患部に塗り広げます。症状が落ち着いたらステロイドの使用は止めて保湿を続けてください。

肌が黒くなる日焼け“サンタン”は、紫外線の真皮への侵入を防ごうとして皮膚がメラニン色素を過剰に増やしてしまうため起こります。肌は小麦色になり、健康的なイメージを与えますが実はとてもダメージを受けています。
メラニン色素は健康な肌であれば時間とともに体外へ排出されるのですが、うまく排出されずに皮膚の中に留まるとシミになってしまいます。また、その状態で繰り返し紫外線を浴びると肌の老化が進みシワも増えてしまいます。

シミやシワを防ぐためにも日焼けはなるべく避けましょう。サンタン予防には外出時の装備とスキンケアが必要です。ほんのわずかな時間でも日焼けは起こりますしA波はガラスも通過しますので紫外線を完全にシャットアウトすることは難しいのですが、それでも日傘、帽子の利用や日焼け止め化粧品をフル活用して紫外線防止に努めることで後遺症のシミ、シワは予防することができます。日傘や帽子の盲点はアスファルトなどによる照り返しの紫外線を防げないことですので外出時には首や顎の下にまで日焼け止めを塗りましょう。

日焼け止めの予防効果


日焼け止めの商品にはSPF30やPA++という表示があります。ひとことで言うと「SPF」はB波の防止効果を表す指標、「PA」はA波を防ぐ効果の強さを表しています。
SPF1で約20分間B波を防止します。SPF30と表示している日焼け止めでは20分×30=600分間防止できるということです。SPFの数字が大きいほど長時間防止できますが、表示の数字は肌が真っ白くなる程塗って計測された値ですので、実際の使用量では半分以下の効果と考えた方が良いと思います。
PAのA波防止効果は3段階の+で表され、PA+<PA++<PA+++の順で効果が高くなります。

SPFやPAの高い日焼け止めでも一度塗って安心してはいけません。海水浴や屋外で長時間活動する場合はできる限りこまめに塗り直してください。鼻や頬など高い部分は全体を塗った後にもう一度重ねると安心です。また、効果の高い日焼け止めは肌への負担も大きくなりますので、日常的に使う日焼け止めにはSPFやPAの低めのものを使用するなど使い分けをすると肌トラブルの心配も軽減できます。

かぶれ・虫刺され

かぶれ・虫刺されの薬
虫刺されやかぶれの一番の対策はやはり予防です。1日中予防することは困難ですし、知らないうちに植物に触ってしまうこともあります。でも放っておくと広がったり跡になることもあります。薬を常備しておくとすぐに処置できるので安心だと思います。

植物に触れたり虫に刺されると、かぶれ物質や虫の毒、分泌物が体内に入ります。それに対して体がアレルギー反応を起こし、異物に対する攻撃として炎症、腫れ、痒み、発赤などが起こります。その時、細胞からヒスタミンというかゆみの原因物質がたくさん放出されてかゆみがでます。
また、人によっては1〜2週間の間、何度もかゆみがぶりかえすことがあります。これは遅延型のアレルギー反応と言って、ヒスタミンの他にも色々な物質が出るため、虫刺され直後よりも強いかゆみや炎症が現れることが多いようです。

薬を選ぶ際にはこのヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬や炎症を鎮めるステロイドが入っているものが適しています。特にぶり返すかゆみには炎症を抑える作用の強いステロイドを塗った方が早く良くなります。

虫刺されの場合はまず刺された部分を冷やし、植物かぶれの場合は流水で十分に洗い流してから薬を塗ってください。薬を塗る回数は1日2〜3回ですが、お子さんは汗で薬が流れてしまうことが多いのでもう少し多めに塗るとよいでしょう。
症状のある部分にだけやさしく塗り広げます。

掻くと神経を刺激して更にヒスタミンが分泌されてしまいかゆみが悪化します。お子さんの場合は掻いた傷からバイ菌が入って水ぶくれになり、やがて体のあちこちに水ぶくれができてしまうとびひと呼ばれる病気になることもありますので掻かないようぬする工夫が必要です。患部に貼るパッチタイプの薬はかゆみや炎症を抑える薬の効果が持続するとともに患部を覆うことで掻くことも防いでくれますのでお子さんにとてもお勧めです。

スズメバチやアシナガバチに刺されると人によってはショック症状を起こす場合があります。刺された後に気分が悪くなる、呼吸が苦しくなる、めまいがする等の症状を感じた場合は一刻も早く病院に行ってください。

虫よけ

虫よけで効果が高い薬はディートという成分が入っている商品です。蚊は人の呼気中の二酸化炭素や汗に含まれる乳酸を感知して寄って来る習性があります。ディートは蚊の触角に作用して感知出来なくしてしまいます。

ディートは蚊だけでなくアブ、ブヨ、ダニ等にも効果があります。使用の際には塗り残しのないようにムラなく塗る、スプレータイプは塗った後に手で塗り伸ばすようにすると効果的です。ディートは人への毒性は低いとされていますが、化学物質のため体への影響を考慮して生後6カ月未満の乳児への使用や慢性的に使用することはしないように定められています。注意をして使用してください。ディートは屋外での活動時に使用し、日常的な虫よけやお子様への使用は虫の嫌いな香りを発する天然ハーブ配合の虫よけを選ぶのも良いかもしれません。

白癬菌感染 ~ 水虫・いんきんたむし・ぜにたむし ~

水虫にならないために


水虫菌は正式には白癬菌と言います。同じ白癬菌でも感染する体の部位によって呼び名が変わり、手や足に感染すると水虫、陰部はいんきんたむし、体はぜにたむし、頭はしらくもと呼び名を変えます。日本の夏は高温多湿で白癬菌にとっては天国です。

足の水虫が多いことは知られていますが、肌が色々な物に接触する機会の多い夏は体のあらゆる部分が感染の危険にさらされます。白癬菌はいろいろな場所に存在しますが、感染経路で多いのは、プールや入浴施設など多くの方が利用する施設の足ふきマットやスリッパ、脱衣所の床や体重計、居酒屋の畳などです。また、浴室のイスや様式便座などから感染し、いんきんたむしになってしまう場合もあります。いんきんたむしと言えば男性のイメージですが最近ではストッキングによる蒸れが原因で女性の感染も増加傾向にあると言われています。

乾燥した皮膚に菌が付いただけではすぐに落ちてしまいますが、付いたまま時間が経つと角質層に入り込み増殖します。しかし、角質層に入り込むまでには24時間程かかると言われています。菌がついてから24時間以内に洗い流せば感染は防げます。1日1回は入浴し、体の隅々まであらいましょう。ただし、角質層が傷ついていると24時間よりもっと早く感染してしまいますので、皮膚を傷つけないように、石鹸を十分に泡立ててやさしく丁寧に洗うようにしましょう。抗菌成分が入っている石鹸を使うとより効果的です。足の指の間も忘れずに洗いましょう。

また高温多湿な環境をつくらないことも重要ですので、通気性の良い履き物を履き、履き物の中も乾燥させるよう心がけてください。陰部への感染を防ぐために通気性の良い下着を選び、女性がストッキングを履く時間を短くすることも効果的です。もし感染してしまった場合は家族に移さないよう配慮することも大切です。

お互いに家の中では靴下を履き、足ふきマットやタオル、スリッパなど皆の肌に触れるものはこまめに洗濯をするようにするだけで感染は随分減ります。洗濯すれば菌は落ちるので他の物と混ぜて洗濯しても問題はありません。

白癬菌に感染してしまったら



白癬菌に感染してしまったら、薬で根気良く治療を行います。ジュクジュクがひどい場合や症状が広範囲の場合、また爪が白っぽく厚くなる爪白癬になってしまった場合は医師の治療が必要ですので皮膚科を受診しましょう。

女性は恥ずかしくてなかなか病院に行けない方が多いようですが、しっかり治さないと他の部位に感染が移ってしまうこともありますので早めに手当てをしたいものです。自分で手当てする場合は塗り薬が中心となります。最近は医療用と同じ成分の薬も市販されていますので自己手当でも完治するケースが増えています。市販の塗り薬には軟膏、クリーム、ジェル、ローション、パウダーと様々なタイプがあります。効果にほとんど差はありませんが使用感や肌への刺激には違いがありますので症状やお好みで選ぶと良いでしょう。

薬を塗っていれば1〜2週間で症状は治まってきますが白癬菌はまだまだ消えていません。この時点で薬を止めてしまうと角質層に潜んでいた白癬菌が勢いを増してぶり返します。白癬菌を完全にやっつけてしまうには症状がなくなってからも最低2ヶ月間は薬を続けましょう。

また感染は見えない部分にまで広がっていることが多いため、薬を塗る際には症状や病変がある範囲よりもかなり広めに塗ってください。例えば指の間だけ症状が出ていても足裏と足の甲全体にまで塗るイメージです。ゴシゴシと擦りこむ必要はありませんのでやさしく塗り広げてください。入浴直後に薬を塗ると角質が柔らかいので薬が奥まで浸透し効果的です。

角質を柔らかくする効果のある尿素やサリチル酸が配合されている水虫薬があります。
ステロイドは感染を悪化させますので水虫に使用するのはよくありません。ジュクジュクがひどい場合はステロイドを塗って炎症を鎮めることもありますが、医師の指示の下で使わないと悪化する恐れがありますので止めましょう。また、薬を塗っていれば菌の増殖は抑えられていますので、悪化することはほとんどありません。

薬を塗っているのに症状が悪くなった場合は原因が白癬菌ではないか、薬自体にかぶれて炎症が起きている可能性があります。薬を塗っているのに悪化したという場合はすぐに使用を中止し皮膚科を受診してください。


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