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食文化概論

食文化の意義と多様性

▢1.食物の基本的な条件は、安全性、栄養性、嗜好性の3つです。
食事に求められる機能
(1)食物の基本的条件は、安全性、栄養性、嗜好性
(2)食物の制限条件は、経済性、簡易性、利便性
人類の食文化を象徴することがらは、「道具の使用」、「火の利用」、「食物の味付け」

▢2.「ケ」はふだんの日、「ハレ」はあらたまった日として区別します。
民俗学では、「ケ」はふだん、日常の日であり、「ハレ」は儀式、祭り、年中行事などのあらたまった日であるとしている。食ベものの内容も、「ハレ」のほうが「ケ」よりも豪華なものになります。

▢3.伝統行事に、1月7日に食べる七草粥があります。
春の七草(せり、なずな、こぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)を入れた粥を1月7日の朝食に食べると万病を防ぐといわれています。

▢4.イスラム教徒の食物のタブーは、豚肉、死獣の肉、血液、アルコール類などです。
宗教上の食物禁忌は、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教などの食物のタブーが知られています。
宗教上の主な禁じられたり、好ましくないとされる飲食物
イスラム教では、豚肉、死獣の肉、血液、アルコール類
ユダヤ教では、豚肉、らくだ肉、血液、うろことひれのない魚類(たこ、えび、いか、うなぎなど)、肉と乳製品の同時摂取
ヒンズ-教では、牛肉、殺生による動物一般

▢5.職業としての調理人が増加したのは、江戸時代に入ってからです。
宮中や大名に仕える料理人は以前から存在していたが、江戸時代になると料亭や屋台が増えたことから、料理人は調理によって収入を得ることができるようになり、職業として成り立つようになりました。

▢6.箸食は、日本、中国、台湾、朝鮮半島、べ卜ナムなどで行われています。
箸食文化は、中国大陸で生まれ、東アジアに広まっています。ナイフ、フォーク、スプーン食は、ヨーロッパ、ロシア、アメリカなどで行われており、それ以外の地域では、手食の習慣が現在でも浸透しています。

日本の食文化

▢7.平安貴族の大饗料理は日本料理の原形となりました。
平安時代は貴族の宴会が盛んでした。料理を形式化し、色、形、盛り付けの美しさを重視した大饗料理は、日本料理の原形となりました。

▢8.鎌倉時代には、動物性食品などを禁じた精進料理が庶民に広まりました。
曹洞宗永平寺の道元禅師が禅寺の食事に関する教訓書『典座教訓』を著し、それにならって禅寺の中でつくられていた料理が精進料理として庶民に広まりました。この料理は、動物性食品と五車(ねぎやにんにくなどの薬味)を禁じたため、代わりに用いられた植物性食品の大豆加工品が発達しました。

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