食品衛生学
食品衛生学概論
▢1.わが国の食品保健行政は食品衛生法に基づいて運営されています。
食品衛生法 1947(昭和22)年は日本において、飲食によって生じる危害の発生を防止するための法律です。第4条において、食品衛生とは「食品(薬事法による医薬品・医療部外品以外の飲食物)、添加物、器具及び容器包装を対象とする飲食に関する衛生である」と定めている。食品衛生を担当する代表的な行政機関は、国(厚生労働省)と都道府県(保健所)がその任を担っています。
▢2.輸入食品の監視・指導は、検疫所で食品衛生監視員によって書類審査・検査などが実施されています。
輸入食品は年々増加し、現在カロリーベースでは約60%を輸入食品に頼っており、「食の安全」確保のために「輸入食品監視指導計画」が年度ごとに策定され、残留農薬や添加物の安全対策などへの一層の強化が求められています。
▢3.BSE(牛海綿状脳症)問題を契機に牛肉のトレーサビリティシステムが確立されました。
BSE(牛海綿状脳症)は、牛の脳組織がスポンジのようになって死に至る病です。異常プリオン(たんぱく質の一種)が原因物質とされ、人への伝染も指摘されて世界的に問題となりました。
これを契機に牛肉トレーサビリティ法(牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)が施行され、国産牛肉の個体情報、給餌情報などが提供されるようになりました。
▢4.総合衛生管理製造過程はHACCP(ハサップ)を導入したシステムです。
総合衛生管理製造過程は厚生労働省がHACCP(危害分析重要管理点システム)の考え方を取り入れてつくった食品の安全管理システムです。厚生労働大臣が対象食品の営業者の申請に基づき、製造された食品が基準に適合していることを確認、承認します。
対象食品は、乳・乳製品、清涼飲料水、食肉製品、魚肉練り製品、容器包装詰め加圧加熱殺菌食品です。
▢5.食品安全基本法が2003(平成15)年に制定されました。
食品安全基本法は食品の安全性の確保のために、その基本理念を定め、国、地方自治体は施策の策定及び実施を責務とすること、食品関係事業者は必要な措置を適切に講じることを責務とすることを明記しています。また、消費者は知識と理解を深め、意見を表明するよう努めることとしています。
▢6.食品安全委員会が内閣府に設置されています。
食品安全委員会は食品安全基本法の施行に伴い内閣府に発足した組織です。関係行政機関から独立して、科学的な知見に基づき、客観的に、中立公正にリスク評価(食品健康影響評価)を行います。厚生労働省や農林水産省に対し、食の安全に関する施策などについて勧告を行う権限をもっています。
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