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【相対性理論(アインシュタイン/内山龍雄訳・解説)】うえこーの書評#08

 アインシュタインの論文の日本語訳が書かれた本です.私はこの本を頭から順に読みましたが,後半の内山龍雄の解説が平易に書かれているのでそちらを先に読むことをお勧めします.とはいえ,まえがきに書いてあるように「中学1年生程度の代数の知識さえあれば,必ず内容を理解できる」ほど簡単ではないです.出版当時の中学1年生はこれくらい朝飯前だったのかもしれませんが… また,まえがきには「波立つ感情をおさえて,彼(編集者)の苦言につねに謙虚に耳を傾けた筆者の寛容さも少しは評価してもらいたい.」とあり,内山さんの性格が表れています.別の著作『相対性理論』でも「もし本書を読んでも,これが理解できないようなら,もはや相対性理論を学ぶことはあきらめるべきであろう.」と書いている人ではありますが,すごい自信家であったことがうかがえます.

 内容に関して書くと,私はローレンツ力(本書では起電力)がローレンツが発見したときは経験的事実から発見したのに対し,アインシュタインは特殊相対性理論から導き出したところが印象的です.より根本的なところから導出できたのに加え,電場や磁場の強さは観測者によって異なるということが自然と説明することができる論理のきれいさは一読の価値があります.

 また,「光速cの値が常に一定不変であるということは,"光速度不変の原理"からの帰結として導くことはできない」ため,「cが普遍的な数であるという,経験に裏づけられた要請を,新たに原理としてとりあげる必要がある.」(p.116)というところが私が今まで考えられていなかった部分で,気をつけなければならないと思いました.

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